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「11月からは下げ相場」当たるアナリストは何を見ている?前年との比較で動くマーケット=角野寛

マーケットは前年との比較で動いています。その理由は、経済指標を中心に動いているから。さまざまな統計資料のほとんどは、前月比か前年比で報道されるからです。そこで、未来が確実にわかることがあります。(『角野實のファンダメンタルズのススメ』)

【関連】優秀な人ほど日本を降りていく、岸田内閣「富の再分配」の異常性。国民や投資家は増税ではなく“稼げる社会”を求めている=角野實

※本記事は有料メルマガ『角野實のファンダメンタルズのススメ』2021年10月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。

マーケットは前月比・前年比で動いている

連日、温度が毎日のように下がってきています。考えてみれば、去年もこの時期にコロナ感染者が増えると予測をしていましたが、結果は年末まで増えず。

いつも言うように、マーケットは前年との比較で動いているのです。その理由はマーケットが経済指標を中心に動いているから。さまざまな統計資料のほとんどは、前月比か前年比で報道されるからです。

そこで、未来が確実にわかることがあります。

2022年の経済・株価・為替は?

「来年のことを言うと鬼が笑う」とよく言われる格言がありますが、そんなことはありません。確実にわかることがあります。

たとえば、私はパウエル議長やイエレン財務長官がインフレになる可能性がある、と言っていたよりも前かその前後に「今年はインフレになるよ」といっていました。その理由は、去年のことをよく覚えていたからです。

要するに、2020年1-3月は、コロナに伴うロックダウンによって経済が無茶苦茶だったのです。

つまり、物価が本来あがるべき水準にはなく、低いままになっていたわけですから、当然のように「今年は例年以上に物価が上昇する」ということになるのです。

つまり、例年以上に消費者物価や金利などが上昇するのは確実で、しかも「誰でも」わかっていることなのですが、誰も気づかないだけの話なのです。

意味がわからない方が過半だと思いますが、この件は重要なので、今後も何度も記していきます。

経済は「低迷」へ向かう

では、2022年の「経済」はどうなるのか。

昨年(2020年)のロックダウンなどの無茶苦茶な経済と比較すれば、今年(2021年)は良くなります。ただし、株価が前年比から30〜40%も上昇するのはさすがにやりすぎですので、売りだと騒いだのです。

今年は、昨年に成長できなかった分をON(オン)して経済成長したのですから、通常の成長であれば、確実に経済は低迷します。なので、2022年は今年ほどよくならないと思います。

日本銀行は来年の見通しを発表しましたが、2022年は悪いけど、2023年はよくなると物価見通しに関して発表しています。

これは今年の経済ができすぎで、来年はうまくいかない、なぜなら、今年の上昇がひどすぎたから、というだけの話です。

来年の経済が悪くなれば、再来年は(来年の悪い数字と比較して)よくなるのだから、再来年にはまたよくなるよ!というのは誰もが納得する話です。

要は、去年や先月が極端に悪すぎたり良すぎたりすれば、必ずその比較で、よくなるか悪くなるかはわかるよ、ということなのです。

Next: 前回指標との比較で未来が見える。日本株と円はどう動く?



前回指標との比較で未来が見える

コロナの感染状況を見れば最悪でしたが、経済というのは前年・先月・前期比較だから、前回が最悪なのであれば、今回は最高になる。前回が最高であれば、今回は悪くなる…ということなのです。

つまり、いつも言うように「何を比較して」良いのか・悪いのかを明確にしておけば、未来のある程度のことは確定するのです。

もちろん、今のマーケットのような横ばいのようなときには、「何もわからん」ということにもなります。

たとえば、9月の日経は最高でした。だったら、10月の日経は最悪になる。その通りですよね。先月に新値まで行った。なら、今月は最悪になるよね、ということです。

ダウは新値を更新しました。では、来月はどうなるの?ということです。

ドルはわからないが、円は高くなる

ただ、為替は趣が違います。為替というのは、ドル円の計算が「ドル÷円だよ」と言っています。

今月は円が最悪の結果でした。去年と比較して、8%も安くなっています。年初と比較すれば、9.8%も円安です。

この最悪の状態が来月や来年になれば、その最悪のものが、最高にとって代わるのです。

でも、それは円単体の話であり、ドルは考察の対象になっていません。

ドルは今年はじわりじわりと上がったとも言えます。去年と比較して、今日現在1%しか動いていません。

今後のアメリカ経済は今年が良かったので、来年は悪くなるでしょう。そうなると雇用は、あまりよくない。しかし、雇用は最高潮に良かったとは言い難いわけです。

となると、「ドルはよくわからん」ということになりますが、はっきりしていることは「円が高くなる」こと。

ドルが同時に弱くなればものすごい円高でしょうが、ドルが強い場合には「ドル高・円高」で、株価などのリスク資産が弱くなると読めてしまうのです。

となると、いまの株価など砂上の楼閣であると結論付けることができるわけです。

Next: よく当たるアナリストは、比較の対象を知っている



よく当たるアナリストは、比較の対象を知っている

この通りになるかはわかりません。しかし、今後、よく当たるといわれるアナリストや、国家の見通しが出てくるでしょう。この路線に沿ったものしか出てこないはずです。

よく当たるアナリストや見通しというのは、何と比較をすれば良いのかを心得ているのです。それだけの話です。

〇〇が高い、〇〇が安いというのはよく報道で見ますが、それをなんとなく見てはいけません。高い・安いという概念は、比較対象があって成立するもの。なんとなく高い・安いというのは、感情的な結論であって、科学的には〇〇と比較して高い・安いと言わなくてはいけない、ということです。

マーケットの場合は、常に「前年」や「前月」なのです。

ベース効果とは?

上記で説明したことを、最近では「ベース効果」と言うようです。ベース効果というのは、前年や先月と比較しての高い・安いを判断するということになります。

当たり前の話を、小難しい言葉にしてわけのわからないようにしてしまうのは、いつもの経済用語のことです。

本当は経済なんて簡単なのに、「ベース効果」なんて言うと皆さん身構えますよね?(笑)。

つまり、誰でもわかることを小難しい言葉にして、誰も立ち入れないようにしているのがマーケットであり、経済学なのです。つまり、日常生活で起こっていることと、金融市場で起こっていることは、何ら変わりがない。なのに、それをあたかも違うことが起こっているような錯覚を起こさせ、難しいものにしてしまっているのが経済学であり、マーケット論だと私は思っています。

上記はダウとドルの関係です。青がドルインデックス、緑がダウになります。ちょうど、いつものように1年間の動きです。すなわち2020/10/22〜2021/10/21の推移です。

青のドルが上昇すると、緑のダウは大きく下がっています。どうでもいい話ですが、パウエルはこの緑が急落する前に株を売却したと批判されているのです。法律でいえば利益相反であり、法律に抵触するのかはわかりませんが、日本でいえばインサイダー取引と認定されてもおかしくない事案です(笑)。

つまり、ドルが高くなれば株価は急落し、安くなれば株価は上昇するというのを、このグラフで理解してください。

そして、ベース効果の話にいきます。

去年の11月からドルが急落しているのを見てください。マーケットというのは去年か、先月と比較して動くのですが、この場合は去年です。去年の青のドルは急落をしています。クリスマス商戦を控えているのに、雇用が悪かったのです。これはその前のシーズンに人を雇用しすぎた反動がきているのです。雇用はドルとリンクしているので下がったのです。

今年の場合、雇用はたぶん、これ以上のパンデミックはワクチン接種促進で起こらないと考えるのが妥当でしょう。つまり、去年と同じようには、ドルが急落しない。比較は前年としますので、ドルは去年と比較してどうなりますか?という話なのです。「高く」なります。

では、それに伴って、株価はどうなりますか?という話です。

言うまでもないでしょう。ですから、私は夏から「株価は放っておけば下がるよ、下がる可能性が高いよ」とお話ししているのです。

Next: 11月からの下げ相場に要警戒。その直前にはドル安・株高も?



11月からの下げに要警戒。その直前にはドル安・株高も?

当メルマガでは10月20日にも、ダウに関してテクニカルが上をうかがっていると記しました。予想以上に早く新値を取りました。

もう一度、以下の資料をみてください。

去年のドルは、10月末から11月1日にかけて急騰をしています。この理由は覚えていませんが、急騰した事実があります。

これを今年と比較した場合、その水準は現在のドルよりも上にあります。つまり27日以降にドルが前年比でマイナスになってしまい、ドル安になる可能性があるのです。ドル安は株価の上昇、為替でいえばドルストレートの戻り、その代わり、円高ですけど(笑)。

つまり、上記で11月から下がる予測は理解できたと思いますが、その前にドル安による急騰がある可能性があるよ、と言っているのです。それが懸念材料です。

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2021年10月配信分
  • 移動平均から未来を予測する(10/22)
  • そろそろいいところに来ている?(10/21)
  • なぜドル安になるのか?(10/20)
  • 2つの事実を考える(10/19)
  • ファンドのサイズとは何か?(10/18)
  • 日本円の今後(10/17)
  • 今の状況がわからないのであればわかっていることをピックアップする(10/16)
  • イールドハントのマーケット(10/15)
  • ドルの重要性をもう一度確認しましょう(10/14)
  • 現金の価値が上昇というのは?(10/13)
  • 通貨価値からみた現在の為替の妥当水準(10/12)
  • 今のマーケットでの疑問(10/11)
  • 各銘柄の解説(10/9)
  • 岸田内閣の問題点(10/8)
  • 世の中の雰囲気がおかしいと感じます(10/7)
  • なぜ下がるのか?(10/6)
  • なぜ切り返すのがわかるのか?(10/6)
  • ポンドについて(10/5)
  • もう一度キホンを(10/4)
  • 売っても売っても下がらないことを底練りといいます(10/2)
  • 日銀は緩和するのか、しないのか?(10/1)

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2021年9月配信分
  • コロナショックと現在がおなじような状況である理由(9/30)
  • 矛盾したマーケット(9/29)
  • ドルは高いのか、安いのか(9/28)
  • マーケットは去年の動きを辿っている(9/27)
  • なぜ株価は放っておいても下がるのか?―ロジカルに考えようー(9/26)
  • イギリスに注目(9/25)
  • FOMCの結果は?(9/24)
  • 本日は日銀金融政策決定会合(9/22)
  • 相場はわかっていることを実践するだけの話です(9/21)
  • 今週はFOMC(9/20)
  • あたらしいテクニカルを1つ(9/17)
  • 円が上抜ける可能性があります(9/16)
  • 危険を察知するにはどうしらいいのでしょうか(9/15)
  • 今まで書いてきたことを整理してみます(9/14)
  • 金融緩和がこれからどうなるかが焦点(9/13)
  • なぜ下がったのかを考えなければどこまで下がるのかはわからないものです(9/12)
  • ヨーロッパも緩和縮小(9/10)
  • 円高ドル高をもう一度確認します(9/9)
  • なぜドルは高いのか?(9/8)
  • もう一度、キホンに戻る(9/7)
  • 世界情勢はよいのか、悪いのか?(9/6)
  • 今の動きをまとめます(9/3)
  • 9月2日になりました。(9/2)
  • ユーロ圏インフレは大丈夫なのか?(9/1)

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2021年8月配信分
  • 大事なことのまとめ(8/31)
  • テーパリング?(8/30)
  • ドル安になった理由(8/29)
  • 思い込みを排除する(8/27)
  • アメリカの人権外交の意味(8/26)
  • 理由はわからないが円は急騰する可能性がある(8/25)
  • 前年比でマーケットは動いている(8/24)
  • なぜ米中対立はおこるのか?(8/23)
  • FRBは何をやろうとしているのか?(8/20)
  • だらだらと下げる可能性が高い(8/19)
  • リスク回避とはどういうことなのか?(8/18)
  • さまざまなこと、アフガン、高すぎるマーケット(8/17)
  • 消費者信頼指数とドル(8/16)
  • 金利は当面の間、上昇する(8/13)
  • 消費者物価指数と本日は、失業保険申請者数(8/12)
  • なぜ日本は金融緩和や財政緩和を拡大しないのか?(8/11)
  • テーパリングとはどういうことなのか?(8/10)
  • 東京五輪と明日の価格を知るためにはどうしたらいいのかの話(8/9)
  • 好調な雇用をうけての今後のマーケット(8/8)
  • 雇用統計とドルの関係(8/6)
  • 雇用統計は相当良いだろう(8/5)
  • 気になるニュース(8/4)
  • ISM製造業の解説(8/3)
  • 中国の指導体制について(8/2)
  • 主に米経済を総点検(8/1)

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角野實のファンダメンタルズのススメ』(2021年10月21日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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