いざというときのために生命保険の加入は必須のように思われていますが、日本だけの「共同幻想」です。海外と比較してみると、保険会社にぼったくられていることがわかります。(『神岡真司の人生逆転の心理術』)
※本記事は有料メルマガ『神岡真司の人生逆転の心理術』2021年11月15日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。
ビジネス心理研究家。日本心理パワー研究所主宰。法人対象のモチベーショントレーニング、組織活性コンサルティング、心のパワーアップセミナーなどで活躍。著書に『思い通りに人をあやつる 101の心理テクニック』(フォレスト出版)、『苦手な相手に勝つ実践切り返し術』、『必ず黙らせる「クレーム」切り返し術』(日本文芸社)、『効きすぎて中毒になる 最強の心理学』(すばる舎)など多数。
生命保険の欺瞞的商法
今回のテーマは 「日本における生命保険の欺瞞的商法」 について取り上げます。
なぜ、欺瞞的なのか?――それは日本の生命保険商品が、「保険」が本来あるべき理想の姿として一般国民から信じられている「相互扶助の仕組み」という体を為していないからです。
それにもかかわらず、現実には多くの人々が、保険は「助け合い精神」がはたらく、必要不可欠な「絆」のようなもの……などと大きな勘違いをしているからです。
保険は、資本主義社会における、ふつうの「商品」にほかなりません。
たとえば、飲食店の「商品」である料理の原価率(売上に占める食材費の割合)が、おおむね30%~35%が標準的といわれるように、保険という商品の原価率(支払保険料に占める「保障部分」に回される割合)も、おおむね30%~35%にすぎないからです。
残りの65%~70%が、保険会社の運営費(家賃・人件費・広告宣伝費・利益など)に消えていきます。このへんは、飲食店の場合とほぼ同様なのです。
今回は、生命保険会社が薦める「ボッタクリ商品」について、心理学およびマネーリテラシーの観点から解説したいと思います。
欧米の2~3倍?高すぎる日本の生命保険料
生命保険文化センターが3年ごとに行っている調査(平成30年度=2018年度)によれば、生命保険の世帯加入率は88.7%、世帯の年間払込保険料は38.2万円(月間平均3万1,833円)になっています。住宅ローンに次ぐ大きな出費なのです。
日本人の「生命保険好き」が見て取れますが、ピーク時の1997年には世帯平均で67万円も払い込んでいたのですから驚かされます(月間平均5万5,800円)。
日本の生命保険料は、欧米諸国と比べても2~3倍も割高です。しかしマスメディアは、スポンサータブーなので、そんな記事は一切掲載しません。大口スポンサーである保険会社のCMや広告がなくなったら困るからです。
これまででは、唯一、毎日新聞だけが2001年8月5日付記事で、欧米の同内容の生命保険と比べて2~3倍も保険料が高いことを報じた例があるくらいなのです。
テレビやネットには、保険のCMや広告が垂れ流されていますが、こうした高額の広告費や人件費(生保社員の給与、販売外務員・販売代理店などへの手数料)などの経費のほうに、加入者がせっせと払い込んだ保険料の多くが流されているわけです。
そして、肝心の加入者が万一の時の保障に回る分はわずかです。どれだけの方がこのことを認識されているでしょうか。
つまり、保険は、加入者の万一の時の安心を守るための「相互扶助」のはずが、日本では企業の金儲けのために利用される「騙しの金集め商品」になっているわけです。
Next: 生命保険料の内訳は「保障」に回す分よりもコストのほうが多い
生命保険料の内訳は「保障」に回す分よりもコストが多い
たとえば、30歳男性の保険期間10年で死亡保険金3,000万円の大手生保の月額保険料は7,000円前後ですが、加入者の万一の保障に回される「純保険料」の比率は、35.2%程度しかありません。
残りの64.8%が「付加保険料」と呼ばれる保険会社の利益とコストに消えるのです。
ネット生保での同内容の保険なら月額保険料は3,200円前後ですが、それでも「純保険料」に相当するのは77%ぐらいにすぎません。「付加保険料」が残りの23%にもなります。
ネット生保のほうが、保障に回る金額は多く、まだましな保障ですが、それでも2割以上がコストで消えているのです。
保険はリスクに備えるものですが、コストがやたらと高くついているのです。
こうした事情に明るくなれば、日本の生命保険商品が、「相互扶助」が反映された商品とは到底いえないことがわかります。
どうしてこんなことになっているのでしょうか。
それは、保険料の内訳をつまびらかに語ることが、マスメディアでのスポンサータブーであり、それゆえに多くの人々が、保険は「相互扶助精神」に支えられている……と大きな誤解をしてくれたからにほかなりません。
つまりは、「共同幻想」」を抱かされてきたのです。
当然ですが、保険会社は、資本主義社会において、営利を目的とする限り、加入者とは「利益相反」の関係になるほかないからです。
「利益相反」ゆえの保険会社の悪辣手口
保険商品の「利益相反」のよい例が、保険会社の加入者への保険金不払い事例です。
保険加入時にはさまざまな特約を付けるよう販売側は薦めますが、2001年から2010年までの10年間で、金融庁が把握した保険金の不払い事例は116万件、総額は1,136億円にも上りました。
保険会社は管理体制がアバウトで、「加入者から特約の請求がなかったので、保険金の支払いを見逃した」などとトンデモナイ言い訳をしたものです。
こうした悪辣な体質は、「医療保険」の契約においても見られます。
「脳卒中で倒れても、医師の診断後60日以上にわたって言語障害などの後遺症が続かなければ保険金の支給は対象外」などとなっているからです。保険会社は、加入者に支払うべき保険金を、いかに少なくできるかに腐心しているわけです。
「利益相反」になるゆえんなのです。
Next: 無駄だった医療保険。日本には「高額療養費制度」がある
医療保険は無駄。日本には「高額療養費制度」がある
そもそも医療保険など日本では必要ないのです。
日本の健康保険制度には「高額療養費制度」があり、どんなに高額の医療費がかかっても、平均的な所得の人なら10万円以内の医療費負担になるよう、後から健保組合が医療費を補填してくれる仕組みがあるからです。
たとえば、何かのガンになって、入院・手術で医療費が月間合計で100万円かかり、健康保険の3割負担で30万円支払ったとしても、この30万円が健保組合の「高額療養費制度」で、3カ月後ぐらいに払い戻されるため(事前に手術や入院が分かっていれば「限度額適用認定証」という書類を取っておくことで、自腹での建て替えも少額で済みます)、実費負担は、ほとんどの人が10万円以内に収まってしまうからです(所得によって払戻額が異なります)。
生命保険の勧誘に当たる「営業社員」は、このことをお客さんには決して教えてくれません。当然ですが、「医療保険」に入ってくれなくなると、保険会社は大打撃だからです。
「保険の見直し」で儲かるのは代理店
近年では「保険の見直しサービス」などと宣伝する代理店もありますが、手数料の一番高い生命保険商品を薦め、当初2年間は保険会社から保険料の40~50%もの手数料のバックを得ています。
なかには、2年間で保険料額の100%バックの高額手数料稼ぎもあり、2年毎に保険を解約させ、新規加入させる手口が多く見られるのです。
保険代理店側が保険会社からもらえる販売手数料は、2年間は高額ですが、3年目からぐんと下がるからです。2年毎に、保険の「見直し」をさせることが儲けにつながるからなのです。
決して「保険の見直し」などという言葉に釣られてはいけないのです。
はるかにコスパがよい「都道府県民共済」
こうした生命保険に入るぐらいなら、保険と同内容ではありませんが「共済」に加入したほうが最強のコスパになります。
たとえば、生命保険の「純保険料」に相当する還元率が97.12%もあるのが、共済の草分けの「埼玉県民共済」です。事業費がたったの2.88%なので驚きです。埼玉県民の2.5人に1人が加入しています。
このうち共済給付金(51.54%)を支払った後の余剰分として、割戻金が45.58%もあります。つまり、毎月の掛け金の半分近い金額が加入者に戻されます。
Next: 保険はボッタクリすぎる?必要であれば「共済」がお得
保険よりも「共済」がお得
ちなみに入院から死亡までの幅広い保障をしてくれる「医療生命共済」の場合なら、毎月の掛け金2,000円コースであっても、半分近くが戻るので、毎月の実質掛け金はたったの1,000円程度になります。まさしく激安の掛け金なのです。
これで事故や病気での入院は1日目から120日まで1日8,000円、入院中の手術は5万円、外来での手術は1万円、不慮の事故による重度障害は1,000万円、病気による重度障害は400万円、不慮の事故による死亡が1,000万円、病気による死亡が400万円です。掛け金4,000円コースならこれら保障が2倍になります。
共済の保障と、健保組合の「高額療養費制度」を利用すれば、手術や入院で、数十万円かかったとしても、実質負担は限りなく小さくなるのです。
こうしたことを知らない人が多いため、「医療保険」などの無駄の塊のような「騙しの金集め商品」に加入してしまうのです。
テレビや新聞の保険会社の広告の数を見ればコストはわかる
無知は「共同幻想」の出発点になるのです。
いかがでしょうか。無駄な保険料を払うよりも、日本の「都道府県民共済」のほうが、ものすごくコスパがよいのです。なぜなら「共済」こそが、「相互扶助精神」に裏付けられている仕組みだからなのです。
「共同幻想」から、目を覚ましましょう。
毎日、テレビや新聞、雑誌に流される保険会社の広告を見たら、どれだけ保険料のうち、コストに回されているかを想像してみることが大事です。
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- 「詐欺被害続出!」――人はなぜ「騙される」のか? 銀行・証券会社も詐欺グループと同類か?(11/8)
- 説得力の向上法(11/1)
※本記事は、神岡真司氏のルマガ『神岡真司の人生逆転の心理術』2021年11月15日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。
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『神岡真司の人生逆転の心理術』(2021年11月15日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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