タイ・フィリピンなどに海外移住した経験から言えるのは「日本は在留外国人に優しすぎる」ということ。自国民の税金を外国人に分配する日本はレアケースです。海外移住を目指している方は、「困った時にはその国が助けてくれるだろう」という期待は持たないのが大事です。(『海外移住から帰国した50歳男子の北海道くらし日記』栗原将)
在留外国人に優しい日本
私は2012年にタイに移住して、マカオやフィリピンでも暮らして、2020年に帰国しました。
そんな私が最近、強く感じているのが「日本は在留外国人に対して非常に優しい」ということです。
例えば、ニュースで、在留外国人にも国の健康保険が使えるようにすべきだ、といった内容を目にしました。私自身、タイなどで暮らして、そのような待遇を受けた経験は皆無です。
むしろ、急病で病院に行ったら、まずはクレジットカードの提示を求められて、カードがなくて、
現金もなければ、診療さえ受けられない……といった話を聞いてきました(実際、日本のように、すべての病院に応召義務はありません)。
日本人の海外移住は自己責任
また、生活保護についても同様です。
「困窮邦人」という言葉を現地で目にしたものですが、経済的に生活が成り立たなくなっても、タイやフィリピンの当局が助けてくれる……なんていうことはありません。
少し前、パタヤビーチでホームレス生活になった日本人男性が保護されたというニュースが流れましたが、援助を受けられるとすれば、住民やお寺から施しを受ける程度のものです。
それから、現地の入管とか警察についても、日本では入管を訴える裁判が起こされましたが、
タイなどに暮らしている時、日本人など外国人が現地当局を訴える、なんていう事例はほとんど見ることはありませんでした。
仮に試みたとしても、おそらく、存在自体が消されてしまう末路でしょう。
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税金を在留外国人に分配する日本はレアケース
ところが、日本で暮らしていると、多くの他の国での外国人の処遇・受入体制がどういうものか、
イメージが希薄になりがちです。
基本的に、期待される外国人像とは、富裕層で、自国にたくさんのお金を落としてくれる、高度技能を持っていて自国産業にノウハウを与えてくれるといったプラス面を持っていることが挙げられます。
あるいは、自国民より低い賃金で働いてもらうといった、どちらかといえば、ネガティブな方向性になります。
いずれにしても、日本のように「自国民の税金を在留外国人に分配する」というのは、レアケースです。
なので、外国に移住する際には、「困った時にはその国が助けてくれるだろう」という期待は持たないのが大事です。
『海外移住から帰国した50歳男子の北海道くらし日記』(2021年12月9日号)より
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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