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米雇用統計とジブリ放映が重なる今夜は稼ぎ時?ドル円は「押し目買い」に徹するが吉=ゆきママ

年明け早々ですが、今日は米雇用統計の発表日です。ちなみに、金曜ロードショーは「千と千尋の神隠し」で、雇用統計とジブリ作品が重なると円高・株安に振れやすいというアノマリー(法則)があります。

それだけ予想と乖離しやすく、荒れやすいのが雇用統計の傾向ということですが、果たして今回はどうなるか、為替の現状について解説しつつ、予想していきます。(ゆきママ)

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FRBがタカ派豹変でもドル円の上昇は限定的……鍵は円売り!

先日発表された12月14日・15日分のFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨では、早くもQT(量的引き締め)政策、バランスシート縮小を議論するなど、かなりタカ派的で米長期金利(10年債利回り)が上昇しました。

しかしながら、ドルそのものは底堅く推移したものの、ある程度は織り込み済みだったのか、それ以上は買われず、むしろ株安によって円売りが一服し、その後は反動で円買いに傾き、ドル円は下落するという結果に終わりました。

この値動きから分かるように、年明けからのドル円上昇はドル高という要因よりも、やはり円安が強く作用しており、株価が伸びていくならともかくとして、株安だと伸びきれないでしょう。

そして、株式市場においては、早期利上げはもちろんのこと、早期の金融引き締め、バランスシート縮小を嫌気して下げています。

仮に本日発表の雇用統計が予想を上回るような強さを見せると、雇用の堅調さから早期引き締めが正当化されることになるため、強い数字からドルは強くなっても株価が下げて円高により、ドル円は伸びない展開も十分あり得ますので、まずはダウ平均株価、S&P500の値動きなどもしっかり見ておきましょう。

というわけで、今日の雇用統計のテーマは、労働市場の強さが確認できるか否か、FRB(米連邦準備制度理事会)の積極的な金融政策正常化判断を後押しするか否か、ということになります。

したがって、あまり強いと伸びきれないでしょうし、あまりに弱すぎてもオミクロンの影響といったノイズで片付けられそうですし、ドル円が伸びていくためには、ほどほどの数字で株価を揺らさない数字であることが一番良さそうです。

ちなみにドル高が進まない要因として、主要通貨であるユーロやポンドが既にかなり売られすぎの水準であり、ドル独歩高になりにくいという環境もあります。過去最低レベルまで売り込まれたユーロの下げももはや限界ですし、ポンドに至ってはコロナによる行動制限の緩和から買い戻されているのが現状ですので、やはりドル円の上昇には円売りが必須となっています。

Next: 先行指標をどう見るか?平均時給と米国株の数字に注意



平均時給の数字と米国株の数字に注意

それでは、いつものように先行指標を見ながら、展望と戦略を考えていきましょう。

雇用指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

ご覧のように全体として数字は改善傾向にあり、まずまず強めの数字が出ることが想定されます。

ただ、雇用統計の調査週は12日を含む週ですから、ちょうどこの頃はオミクロン株の感染拡大が懸念されていたころと重なるため、これがややノイズでしょうか。

もっとも、前回11月分の非農業部門雇用者数は+21.0万人増と低調な数字でしたから、この反動から今回12月分は前月比で大きく伸びる可能性も十分なため、決して弱気になる必要はないでしょう。

まずは非農業部門雇用者数で予想並の+30〜40万人程度のほどほどな数字が出て、株式市場を荒らさないというのがドル円上昇のポイントですから、それは期待できそうです。

ただし、利上げペース加速や早期バランスシート縮小を決める材料として、平均時給の数字もポイントとなりますから、ここにも注目しておきましょう。

やや景気の過熱感はピークアウトし、原油も頭打ちで過度なインフレ懸念は後退しつつありますが、予想を上回って前月比で+0.6%以上といった数字が出てくるようであれば、賃金インフレを意識してドル高にはなっても、株価が大きく下がれば円高、ドルの上昇を吸収してドル円は結局反落というシナリオも十分あり得ます。

高値で飛び付かず押し目買いに徹する!

大きなトレンド、方向性としては上なので、ドル円をトレードするなら当然ロング・押し目買い戦略にはなります。

もっとも、雇用統計が理想的なほど良い数字に落ち着く、また、早期バランスシート縮小が意識される中で米国株の上値は重くなっていますから、米ドルがスンナリ上昇していくハードルは高いものと思われます。

なので、初動は非農業部門雇用者数のヘッドラインの数字、予想の+40万人から強いか弱いかでドル円は上下することになりますが、高値では飛び付かず、押し目買いに徹するというのが今日のトレード方針です。

やはり弱い数字が出てドル円が下がったとしても、利上げ加速や早期バランスシート縮小論が後退するなら、それはそれで株価にとってはプラスですから、円売りが支えとなって戻しやすいでしょう。

逆に強い数字が出たからといって飛びついてしまうと、米ドル高によるドル円上昇でも、早期バランスシート縮小正当化を嫌気して株価が下げる形となってしまえば、円高で結局はドル円反落になりかねませんからね。

Next: トレード戦略は「押し目買い」、想定レートは1ドル=115.30〜116.30円



想定レートは1ドル=115.30〜116.30円

日足ベースで見る限り、115.50〜115.60円レベルが目先のサポートとして機能していますから、例えば非農業部門雇用者数が予想を下回ってドル円が下げた場合、このレベルではとりあえず買って良いでしょう。

ドル円チャート(日足)

ただし、平均時給が予想を上回ると早期バランスシート縮小懸念で株安からの円高が想定されるため、その場合は株価の動きを慎重に見ながらですね。株価が派手に下げているなら一旦撤退、いずれにせよ115.00円を割り込むような値動きになるなら、即撤退ですね。

逆に強めの数字が出た場合、初動では伸びていても株価の下落が懸念され、追っかけては買いにくいですから、そうなったら落ちてくるのを冷静に待って115.70〜115.80円で軽めに買い、115.50円を割れたら一旦撤退です。

トレンド的には押し目買い一択ではあるものの、円売りエンジンがかかってこないと上昇余地は限られますので、今日はしっかり米国株の動向を見て取り組んでいただければと思います。

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image by:Samuel Ponce / Shutterstock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2022年1月7日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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