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日経平均1年10ヶ月振りの下げ幅で当面の底打ちか?それでも大底と言えぬ5つの指数動向=山崎和邦

1月の日経平均の下げ幅は1,789円であったが、下降第1波の9月7日30,700円から1月27日の安値までは、正確に4,000円幅を下げた。コロナ第1波の3月の時以来の下げ幅となるが、その時の大底とは様相が異なる。このまま上昇相場に乗るとは考えないほうがよい。(「週報『投機の流儀』」山崎和邦)

※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2022年2月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

米市況との当面の関係

先週末の米国市場では、NYダウは35,089ドル(▼21)と小幅安、ナスダック指数は14,098(+219、+1.5%)と、前日のハイテク株の大幅下落の反動高となっている。雇用統計の結果を受けて、一段の金融引き締め観測で景気を冷やすとの見方で景気敏感株が売られたが、一方では利ザヤ拡大期待で金融株は買われた。

北京五輪後のウクライナ情勢、3月FOMCを控え、相場不安定の中で不安材料に乗った投機筋の売り崩し等はあろう。「相場に振らされる側」ではなく「相場を見極める側」となれるようなポジション管理を徹底したい。

2021年6月に過去最高水準にまで達したSKEW指数は、大きく低下している。120水準のボトムと株価のボトムは概ね一致しており、季節性を踏まえても、「(短期的な)買い」の目線で2月相場と対峙したい。

1月は2020年3月以来、1年10ヶ月ぶりの下げ幅

2020年3月と言えば、2020年3月15日号で「(換金して現金で持続しようと長く呼びかけてきたのは)この一日に用いんがため」と檄を飛ばした3月19日の16,500円を大底とした、あの時の下げ幅のことを言う。

1月は、1ヶ月で見れば1,789円の下げであったが、昨年のダブルトップ(この可能性があると、昨年晩秋から本稿では述べてはきたが、結局はそうなってしまった)の9月の30,700円台から見れば、正確に4000円幅を下げた。これが昨年の9月以降の3波である。

第1波の9月~10月で約▼3,500円、及び11月~12月の下降第2波の下げ幅は約▼2,400円、及び第3波の約▼3,300円であるが、常に「どんな下降趨勢でも、必ず中間反騰はあるものだ」と本稿で繰り返し述べてきた通り、大きな中間反騰を2度演じているので、結果的には下降第1波の9月7日30,700円から1月27日の安値まで、正確に4,000円幅を下げたことになる。

NYダウの話をすれば、1896年発足以来の130年間、20%以上下げると大勢の趨勢変化としてきたが、それは14回しかない。激動しているように見えるが、激動するのは「世界一の世界景気敏感株だ」と言われる日本市場だ。

それでも「20%安で大勢下降」とするなら、約6,000円下がらなければ大勢の趨勢変化とは言えない。「20%安の24,000円」という上手い買い場はなさそうだ。そうはいっても、大きな景気変動の都度、日経平均株価は20%以上を上下して方向を変えてきた。

戦後5大景気の景気動向指数の方向転換と日経平均の方向転換を示すと、下表のようになる。

「当面の陰の極」と「コツンと来た感じ」とは違う

1月第4週までは悲観ムードで1,900円以上を下げたが、月末の28日から2月2日の4営業日で下げ幅の約6割~約7割を回復した。1月第4週までの悲観ムードは、一転して買いモードに変わった。これは売られ過ぎの買い戻しというリバウンドだろうと本稿では見ている。ここで、相場の流れが大きく上昇傾向に出たとは考えない方が無難であろう。確かに、1月末は「当面の陰の極」ではあったが、これが「底を打った」ということにはならないであろう。

騰落レシオから見ても、25日線との乖離率から見ても、松井証券が発表する信用取引の評価損益から見ても、売られ過ぎのレベルではあって「当面の陰の極」であったが、本当の意味で「コツンと来た感じ」というほどではない。

この「コツンと来た感じ」というのは証券界の標準語であるが、この主観的な表現に定義はない。乖離率でいくらか、騰落レシオでいくらなのか、出来高でどうなのか、追い証の発生率でどうなのか、信用取引の評価損でどうなのかという定義がない。ただ、過去のことを参考にするしかない。

昨年3月15日号の時を参考にすれば、

1)バフェット指数は完全に100%を大きく下回って警戒ゾーンを脱していた。

2)1週間の下げ幅は3,300円に達した。

3)PBRは0.8倍になった。

4)騰落レシオは40%。

5) 25日線との乖離率はマイナス20.5%という状態だった。

ちなみに16年2月の壮年期相場の崩壊時は、騰落レシオは53%を示現した。これと同じ状態がこれからあるとは思えないが、「当面の陰の極」と「コツンと来た感じ」とは違う。

東証一部の信用買残の評価損益比率は▲15%に拡大してきた。「相場を見極める側」としては、信用取引での追証で値段構わず売らざるを得ない「相場に振らされる側」の投げ玉に買い向かう姿勢で臨みたい。

株式市場は「生き馬の目を抜く」ところであり、既に「青春期相場」を過ぎた現局面はその傾向が強まっている。

Next: 業績上振れ銘柄に買いが入ったが、賞味期限には注意せよ



業績上振れ銘柄に買い

業績が上昇している電機・半導体・海運株は最近下げが目立っていただけに押し目買いが入り、相場全体の押し上げにつながった。

ただし、「業績上振れ銘柄に買い」には賞味期限があることを承知しておきたい。

銀行株の代表である三菱UFJ<8306>は、この相場状況下でも高値を更新してきている。

電気機器の時価総額は大きく拡大し、2022年1月相場はその行き過ぎた反動・修正安で、時価総額を大きく減らした。相場が不安定な中で、消極的な物色ではあるが、一部資金は安定的な銀行株へシフトしたと考えられる。「株は利益を確定して完成品」となるだけに、今後はその流れがどこまで継続するかが焦点となってくる。

コロナ禍のピークアウトは読めない

2月中旬で感染一服となると想定してみよう。各国の感染者数は1ヵ月間程度急増したが、以前のピークの3倍程度をメドにピークアウトする傾向だという。この問題は人類が長年やってきた微生物との闘いで、人口の半分になった中世欧州のペストもあったが、最終的には人類が勝ってきた。日本の感染も、いつかは終わる。

株式市場では2月上旬でのピークアウトを織り込みたがっているように見えるが、こればかりは「相場に聞いても分からない」。

各国は集団免疫に近い状況に達したことがピークアウトの背景だとすれば、日本は全体としては累計の感染者数や3回目ワクチン接種数はかなり少なく、2月上旬でピークアウトしない可能性もある。その場合は、社会活動の抑制が急に強まることや政権批判が強まる可能性もある。

先週のNY市場は4日続伸した。2日の朝方発表の米雇用指標の悪化を嫌気して、景気敏感株は売り優勢だった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸した。

先週半ばからグロース株に売り

日経平均は4営業日で1,300円以上も上昇した後だったから、5営業日目の2月3日(木)にはグロース株を中心に幅広い銘柄に戻り待ちの売りが出た。

グロース株の売りは指数を押し下げる効果がある。米ハイテク株で構成するナスダック100指数の先物が日本時間で大幅に下げ、東京市場でもグロース株の重荷となった。

25日線との乖離率が大きいものから買われた

1月は1,900円以上下落をしたが、先週水曜日までは4日間続伸し、上昇幅は1,368円、1月1ヶ月分の値下がりの6割以上を回復した。中味を見ると、25日線との乖離率が大きいものから買われている。25日線との乖離率が7%以上のものが主力銘柄の中でも8銘柄ぐらいあったが、その銘柄はやはり買われていた。

25日線との乖離率が10%前後に達する銘柄の上昇が目立つ。1月の急落場面で売りが集中した銘柄を中心に上昇した。例えば、乖離率15%のサイバーエージェント<4751>、乖離率14%の富士通<6702>、楽天グループ<4755>などであった。もっともこれは空売り筋の買い戻し、あるいはつなぎ売りの買い戻しによるものかもしれないから、この回復の持久力には必ずしも確信はない。

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■ 第2部:中長期の見方
(1)「株式市場に不吉な前兆、これは下落相場の始まりか」
(2)消費者心理を表す消費者態度指数は2ヶ月連続で悪化
(3)中長期の見方:中間選挙はバイデンの苦戦が予想される。
(4)この1年の大型株の台風の目は海運株と銀行株だった。
(5)国際比較の上で、割安でも買われない日本株
(6)JPモルガン証券は、1月下旬からマクロ系ファンドは日本株売りに傾いた─彼らも失敗はすることあり
(7)東芝の迷走、病巣は日立に比べて技術者トップが少ない。
(8)脱炭素問題と東電

■ 第3部;国策に売りなし、国策には乗れ
(1)当面の小さな事例─日本郵政株(6178)の売り出し
(2)昭和の大きな事例─佐藤内閣の昭和40年不況脱出と史上最長の「いざなぎ景気」の作出→3年後にGDP世界2位
(3)平成の大きな事例─
<1>1992年の大失政・宮澤内閣の大蔵官僚
<2>1995年と98年の恐慌防衛策の小さな成功・村山・小渕内閣
<3>2003年の大英断─公的資金で解決・小泉竹中プラン   
<4>2012年の「日本を取り戻せ」・安倍内閣

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image by:Tanakorn Akkarakulchai/ Shutterstock.com

山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2022年2月6日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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