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2022年に来る「日本株の逆襲」バリュー投資家がいま仕込む銘柄は?コロナ後に成長する3つのテーマ=栫井駿介

2021年は皆さんの投資にとってどのような1年だったでしょうか。この記事では2021年の相場を振り返り、そこで現れた特徴から2022年がどのような相場になり、どんなテーマに注目すべきかということを考えてみたいと思います。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

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プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

「買うべき銘柄」を再定義

まず前提として皆さんに知っていただきたいのは、相場の予想というのは現実的には不可能だということです。少なくとも相場全体という意味では、2020年の新型コロナウイルスのように、どこからどんな材料が飛び出してくるかわかりません。いわば「どの方向から石が飛び出してくるかわからない」難易度の高いゲームです。このような「相場観」だけに自らの財産を賭けるのは現実的ではありません。

一方で、もっと局所的な動きなら、ある程度予測することも可能な場合があります。例えば、2021年はコロナ禍の影響により半導体が大幅に不足しました。その結果、半導体メーカーや半導体製造装置メーカーの業績は右肩上がりで上昇したのです。半導体という分野を詳しく研究することで、この経済状況に関しては確信を持つことができたでしょうし、それを受けて個別の銘柄の株価が割高でないのなら、自信を持って買うことができたのではないでしょうか。

東京エレクトロン<8035> 日足(SBI証券提供)

東京エレクトロン<8035> 日足(SBI証券提供)

もっとも半導体の例は、私自身にとって大いなる反省でもあります。私は2021年の半導体の活況を予想していながら、それらの銘柄にほとんど手を出せていなかったのです。買えなかった理由は、目先のPERが必ずしも安くはないという理由からでした。しかし、好調な市況によって業績が向上するなら、本当のPERは十分低いということができたはずなのです。

私はこのような反省を受けて、つばめ投資顧問として買うべき銘柄を以下のように定義し直しました。

1. 波乗り銘柄(1~2年):気づいたら買ってみる。見込み違いの場合やシナリオが実現したら売り
2. 激安銘柄(3~5年):じっくり待って買い下がる。割安感が解消されたら売り
3. 長期成長銘柄(10年以上):いつ買ってもよく、下がったら買い増す。基本的に売りは考えない

このように定義すると、相場全体の変動など特に気にならないようになりました。

仮に相場が大きく下落したとしても、経済が好調で業績を上方修正するような「波乗り銘柄」なら、再び持ち直すでしょう。もちろん、相場が好調なら急上昇することもあり得ます。
どう考えても安すぎると言う「激安銘柄」なら、3年から5年のうちに適正な評価を受けるのを待てばよいだけです。

また本当に企業としての強みを持ち、長期間にわたって利益を伸ばし続ける「長期成長銘柄」なら、目先の株価の変動など関係なく、早い段階でたくさん買うことを意識すれば良いのです。
2021年は、割安感ばかりに囚われていると相場の上昇に全くついていけない状況になりました。もちろんそれでもいつかは報われるものだと考えていますが、資金効率は決して良くありません。今目の前で起きていることに集中するのも、投資家として必要な資質だと気づかされた1年でした。

株価が大きく上昇するには、何らかの材料が必要になります。いくら良い企業であっても、これがないことには急上昇するのは難しいものです。だからといって材料にばかり集中するのは素人同然で最もやってはいけないことなのですが、そもそも素晴らしい企業に素晴らしい材料が発生する予兆があるのなら、その前に買っておくというのが賢い投資家のやることではないでしょうか。

Next: 上がり続ける米国株と一進一退の日本株。その違いは何か?

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