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今夜は戦時の「米雇用統計」注目点は?動かぬドル円、チャンスがあるとすれば豪ドル円か=ゆきママ

ロシアがウクライナに侵攻するという、相場的に大きなトピックがある中での米雇用統計発表となります。いつものように相場の現状や今後のトレード戦略について解説していきますので、どうぞよろしくお願いします。(ゆきママ)

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マーケットの焦点はウクライナ情勢一色

昨日、一昨日とパウエルFRB議長の議会証言で、再来週3月15〜16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)における金利の引き上げというのは、事実上予告されましたから、今回の雇用統計の位置付けは現在の米国の雇用市場の確認ということになるでしょう。

したがって、相場に与えるインパクト、影響というのは自ずと限られます。

マーケットの焦点はウクライナ情勢一色となりつつあり、ロシアの行動とそれに伴う欧米のカウンターによって相場が動いているといっても過言ではないでしょう。

実際、本日(4日)午前にロシアがウクライナの核施設を攻撃、爆発が起きればチェルノブイリの10倍の被害と報じられたことで、ユーロ安に円高、米ドル高に傾いています。

ロシアが侵攻を止めない限り、やはり実質的に当事者国であるユーロは最も売られやすく、リスクオフ(回避)の円買い、米ドル買いが継続しやすいでしょう。

もちろん、一時的に緊張が緩和するとユーロの買い戻しから米ドルが弱めの値動きとなるものの、円売りが支えてドル円は底堅いのが現状です。

警戒すべきはネガティブサプライズによるドル安

繰り返しになりますが、すでに3月の利上げは予告されていますので、今回の雇用統計はよほど強い数字にならなければ、先々の利上げを意識して織り込むような値動きにはなりにくいでしょう。

むしろ、警戒するとすればネガティブサプライズによるドル安ですが、引き続きウクライナ情勢の緊張感は高そうですから、こちらもよほど弱い数字にならなければ影響は限定的でしょう。

Next: 先行指標をどう読む?今回の雇用統計でドル円は大きく動かずか



先行指標をどう読むか

さて、そこで先行指標を見ていくと、

雇用指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

ismの数字は全体的にマチマチの数字となっています。ISM(全米供給管理協会)の雇用指数の弱めの数字は労働者不足が背景といった指摘もあり、やや影響が懸念されるところです。

もっとも、市場予想は非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+40万人増となっており、かなり堅調な数字が見込まれています。

NFPの数字については、マイナス圏に落ち込むとか、逆に100万人を超えるとか、よほどのサプライズがなければ影響はほとんどないでしょう。ドル円が動いても、全戻し、行って来いだと思われます。

また、最も注目される平均時給については、前月比で+0.5%となっており、前回(1月分)の+0.7%から、やや鈍化する見通しとなっています。予想並か下回れば、インフレは落ち着くとの見方につながりやすいですが、ウクライナの情勢が情勢だけに、なかなかドル安にはなりにくいでしょう。

一方、前月並の+0.7%以上の数字が出た場合には、先々の利上げを織り込む形で一段とドル高につながる可能性がありますから、一番見ておきたい数字となります。

湾岸戦争時もイラク戦争時も、米国は原油高や不透明感を背景に個人消費が落ち込み、デフレになりましたから、ロシア-ウクライナ戦争は当事者ではないとはいえ、少し長い目で見た時に重大な影響をもたらすことになりますから、賃金インフレの度合いも勘案して見ておきたいところです。

雇用統計でドル円は大きく動かない?

ウクライナ情勢が情勢だけに、雇用統計で米ドル円がトレンドを作るような値動きになる可能性は低そうです。相場の値動き的に押し目があればといった程度で、全戻し想定で10〜20銭取れるか取れないかが良いところ。

ドル円チャート(日足)

114.80円レベルを底として、115.00〜115.20円で取れればといったところでしょうか。

Next: 今夜のトレード戦略は?チャンスがあるとすれば豪ドル円か



チャンスがあるとすれば豪ドル円か

むしろ、豪ドル円やNZドル円などが面白そうです。

豪ドル円チャート(日足)

イランが核合意で経済制裁解除織り込みからの原油安や、ウクライナ情勢の悪化で83.50〜84.00円レベルに落ちてくれば買って良いと思います。83.00円を割り込んだ場合は、いったん撤退して底を確認したいところです。

いずれにせよ、ひたすらウクライナ情勢が相場を支配していますので、まずはニュースのヘッドラインに注意しながらトレードしていただければと思います。

また、週末に大きな材料が出ることも想定されますから、週を跨いだポジションを持つのは避けたほうが無難でしょう。

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image by:Bumble Dee / Shutterstock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2022年3月4日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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