今週は米国で物価指標の発表が予定されている。少し前までのように「インフレ懸念→金利上昇懸念→景気後退懸念」となって米株価が下振れするのか。それとも6月米雇用統計の堅調さを受けて米長期金利が上昇気味で推移したにもかかわらず、米株価指数が持ち合いとなり崩れなかったように、今週も米株価はしっかりと推移するのか。そのどちらになるかが、当面の世界の株式市況の試金石になると考える。(『馬渕治好の週次メモ「時の花」』)
※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週次メモ「時の花」』2022年7月11日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。市場急変時には号外の配信もあります。
今週(2022/7/11~7/15)の日経平均予想: 2万6,600~2万7,200円
(先週の予想:2万5,800~2万6,800円、実績値:2万5,945.83~2万6,881.75円)
先週前半は、世界市場でまだ景気懸念が優勢で、米長期金利が低下、原油先物など主な国際商品市況が下落するなか、主要国の株価も頭の重い展開となった。特に7月5日(火)は、欧州で、とりわけ悪い経済指標が発表されたわけではないが景気悪化懸念が取りざたされ、ユーロ安を引き起こしながらの株価圧迫となった。
しかしその景気懸念の様相は、週後半には一変し、内外株式市場では景気敏感株や半導体関連株の上昇といった形で、堅調な株価の動きに転じた。
今週は、米国で物価指標の発表が予定されている(7月13日水曜日に6月の消費者物価指数、14日木曜日に同月の生産者物価指数)。それぞれの前年比については、消費者物価指数が5月分の8.6%から8.8%に伸びを高め、生産者物価指数が10.8%から10.7%に伸びが低下するが低下幅は限定的だと見込まれている。
こうした物価指数前年比上昇率の高水準が続くことが、
(1)少し前までのように「インフレ懸念→金利上昇懸念→景気後退懸念」となって米株価が下振れするのか
(2)それとも先週末(7月8日金曜日)の6月米雇用統計の堅調さを受けて米長期金利が上昇気味で推移したにもかかわらず、米株価指数が持ち合いとなり崩れなかったように、今週の米株価はしっかりと推移するのか
そのどちらになるかが、当面の世界の株式市況の試金石になると考える。
(1)(2)のどちらになるかは極めて見通しがたいが、あえてどちらかと言えば、これまでの米景気後退懸念が時期尚早で過度であったと考えることから、株式市況全般には底固さを増すと予想する。
今週(2022/7/11~7/15)の米ドル円相場予想: 136.00~137.70円
(先週の予想:134.50~135.50円、実績値:134.78~136.57円)
先週の米ドル円相場は、前述のように欧州における景気悪化懸念がECB(欧州中央銀行)の利上げ抑制観測を招き、ユーロ売り・米ドル買いを引き起こしたため、対円でも米ドルが堅調に推移する結果となった。
短期的には、ユーロ米ドル相場のパリティ(1ユーロ1米ドル)を攻めようとの投機的な動きが嵩む可能性があり、それに伴う米ドル買いが対円でもまだ進む可能性があろう。加えて、前述の米物価指数の発表が、米ドル買い材料として作用することも想定される。
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【今週の一枚】日経平均株価とニューヨークダウの比率
米ドルに換算した日経平均株価とニューヨークダウの比率をみると、長期的には2017年以降低下基調にあり、そうした傾向は続くと考えている。
ただし、むこう半年くらいの展望では、日経平均が優位に推移すると予想する。その背景としては、以下と考える。
(1)グローバルな投資家は、株価の先行きに弱気になると、米国株に比べて日本株の保有比率を大きく落とすが、株価の上昇を見込むと日本株の保有を大きく引き上げる傾向があり(逆に言えば、米国株は株式投資の「横綱」であって、相対的にはそれほど保有比率を上げたり下げたりしない)、2020年のコロナ禍からのリバウンド局面と同様、日本株の大きめの反発が期待される
(2)日本経済(特に上場企業の収益)の体質は景気敏感の度合いが高く、とりわけ今後世界の設備投資・建設投資が持ち直すと、それに関連した日本企業の収益の反動増や株価上昇が予想される
※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週次メモ「時の花」』2022年7月11日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目もすぐ読めます。
『馬渕治好の週次メモ「時の花」』(2022年7月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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