行動制限の解除で観光需要の回復が期待されるなか、ホテルや旅行各社で求人が増えており、外食では配膳ロボットの導入、小売りではレジ担当者の負担軽減などなサービスのデジタル化が加速している。今後も続くだろう「人手不足」で業績アップが見込める企業を考えたい。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2022年8月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
どこも人手不足…投資家が注目する5つの企業とは?
日頃、外食や買い物などに出掛けると、明らかに「どこも人手不足だなあ」と感じる今日このごろ.。
実際、パーソルキャリアが発表した7月の中途採用求人倍率は、前月比0.07ポイント高い1.98倍。新型コロナウイルス禍からのリオープン(経済再開)を見据えて外食やホテル各社で求人が増えている。
企業の採用意欲が高まっているものの、転職希望者数は減っており、求人倍率は上昇傾向にある。とくに、「レジャー・外食」が前月比6.3%増となり、全13業種のなかで最も高い伸び率となっている。
行動制限の解除で観光需要の回復が期待されるなか、ホテルや旅行各社で求人が増えており、外食では配膳ロボットの導入、小売りではレジ担当者の負担軽減などなサービスのデジタル化が加速している。
例えば、すかいらーくでは、今年末までに800以上の店舗で無人のセルフレジを導入する計画。こうした企業努力を支援する企業の活躍に注目したい。
東芝テック<6588>
こうした時代に多くの企業が頼りにしている企業の1つが、POS(販売時点情報管理)システムなど流通端末で国内シェア5割という東芝テック。
前期は、POSシステムや複合機の販売が好調で、営業利益が前の期に比べて4割伸びた。
主力のPOSシステムを含む小売り向けなどの「リテールソリューション事業」では、「新規領域」の売上高を24年度に21年度比で約9.6倍の568億円まで高める目標を掲げており、セルフレジや無人決済システムなどを中心に同事業領域の拡大を進める。
今年3月まで、POSシステムなどは親会社である東芝の非中核事業に振り分けられていたが、島田太郎新社長が就任してからは、新たに「注力分野」として位置づけし直された。POSシステムから得られる膨大な顧客データを有効に利活用することの意義は極めて大きいとの判断からであると思われる。
23年3月期は、売上高が前期比1.1%増の4500億円、営業利益は同55.6%増の180億円、純利益は同48.7%増の80億円を見込む。
足元の株価は、一目均衡表の週足「雲」に上値を押さえられる格好となっており、当面は同水準を明確に上抜けるかどうかが焦点。週足「雲」を上抜ければ、週足のMACDがプラス圏に浮上することとなり、そこから上値余地が拡がりやすい。さしあたり、2月高値の5,140円が上値の目安になると見られる。
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ヴィンクス<3784>
小売り・流通向けソフト開発を柱とし、なかでも足元は国内小売業のDXニーズの高まりを背景に、小売り向けPOSシステムなどが好調な推移を続ける。店舗管理のソフトウェアの引き合いも強く、重い開発費や人件費をこなして高い利益水準を維持している。
21年12月期に引き続いて今期も連続で純利益は過去最高を更新する(前期比3.3%増の16.7億円となる)見通し。年間配当35円を予想しており、前期実績の20円から大幅な増配となる(足元の利回りは2.3%)。
8月4日に発表した2Q決算において通期予想は据え置いたが、2Q時の進捗率は営業利益で60%、純利益で64%と高めに推移している。8月12日に1,615円まで上値を伸ばす場面があり、年初来高値を更新した。26週移動平均線と52週移動平均線がともに上向きで、今後も中期的に上昇トレンドが継続すると見られる。
スター精密<7718>
柱である自動旋盤等の工作機械が中国の通信機器、欧州の自動車向けなど中心に高い伸びを続けるほか、食品の宅配サービスなどの需要拡大の影響で、小型プリンターの販売も欧米を中心に伸びる。
今年2月からレシートプリンターとタブレットなどの注文端末を無線でつなぐ機器を飲食店向けに発売。機器を有線でつなぐ必要がなくなり利便性が高まる。「スマレジ」や「楽天ペイ」など多様なアプリケーションを通じて、同社製のプリンターや周辺機器と連携することで、中小の小売店や飲食店の効率的な運営をサポートする。
22年12月期は、売上高が前期比25.1%増の805億円、営業利益は同45.6%増の108億円、純利益は同37.6%増の79億円と大幅増益を見込む。
7月末ごろに26週移動平均線が52週移動平均線(52週線)を上抜けるゴールデン・クロスが示現しており、足元は52週線も上向きに転じて強気ムードが強まっている。
Next: 人手不足はまだ続く。POSレジ・決済システムに強い2社に期待
USEN-NEXT HOLDINGS<9418>
店舗・施設向け音楽サービス、動画配信サービス「U-NEXT」が柱。「U-NEXT」は格闘技やゴルフなどスポーツイベントや、日本映画などコンテンツを拡充したことでユーザー数が増加。また、店舗向けサービスでは飲食店向けの配膳ロボットの販売が好調に推移する。
「Uレジ」、「Uペイ」といったPOSレジ・決済システムを提供するが、昨今はお店のメニューをスマホに表示して、そのまま注文できる「マイメニュー」やスマートフォンから注文&事前決済ができるオーダーシステムなど、多様なサービスを提供している。
22年8月期は、売上高が前期比5.6%増の2,200億円、営業利益は同8.8%増の170億円、純利益は同5.7%増の85億円を見込んでいる。
株価は、20年7月安値から21年9月高値までの上昇に対する76.4%押しの水準まで調整した(今年6月)ところからの切り返し。当面は、一目均衡表の週足「雲」下限までの株価の戻りが期待される。
テンポスホールディングス<2751>
23年4月期は主力の業務用厨房機器が環境の好転や提案営業強化、Web販売拡大などで大きく伸びる。情報サービスも内装工事、POSシステム販売、不動産仲介、人材派遣中心に好調に推移。飲食店専用設計のipodを使った posシステム「テンポス・エアー」や利用客にスマホでのオーダーから「セルフ会計」まで行ってもらえる「ユニポス」などのシステムも提供する。
5月に「ぐるなび」との業務提携契約の締結を発表し、以降は自社が提供する経営支援サービスに、ぐるなびが持つ販促支援システムなどを取り込み、飲食店経営者との一段の関係強化を図っている。
23年4月期の売上高は前期比16.8%増の338億円、営業利益は同61.1%増の30億円、純利益は同21.8%増19億円と過去最高水準の更新を見込んでいる。
株価の下値は一目均衡表の週足「雲」上限水準に支えられており、重要な節目である2,400-2,500円処を上抜けてくるかどうかが注目される。 ※2022年8月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2022年8月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。 ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込1,100円)。
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田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
』(2022年8月26日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による