日本の衰退について見聞きしてはいましたが、ほぼ2年ぶりに海外渡航をして、もはや日本が経済大国に戻ることはないと肌身で感じました。人口が増えず、イノベーションも起きない。この先に待っているのは30年前の中国のように、安価な労働力で商品を作る国という未来です。(『海外移住から帰国した50歳男子の北海道くらし日記』栗原将)
2年ぶりの海外渡航で感じた日本の没落
思い起こせば、2020年12月、タイ バンコクから帰国して以来、ほぼ2年ぶりの海外となるフィリピン マニラに渡航してきたのですが、色々と面倒な手続きはあったものの、海外渡航して本当に良かったと感じています。
そして、特に胸に刻まれたのが、日本は経済的には既に先進国からは脱落しているが、将来、さらに落ち込んでいく可能性が極めて濃厚ということです。
私の渡航前にも、SNSで海外を飛び回っている人からは、全く同じ趣旨の投稿がアップされていたものの、日本にいるだけでは「腐っても、日本はG7 加盟国だよね」みたいな感じで、タカをくくっていたのですが、海外渡航したら、日本の没落ぶりを身に染みるくらい痛感しました。
世界とは比較にならない日本のインフレの低さ
日本のインフレなんて、世界的に見ればさざ波です
フィリピンの9月インフレ率は前年比でプラス6.9%と、日本とは余裕で倍以上となっています。
3年ぶりに、ジョリビーやマクドで食べてみたのですが、皮膚感覚では現地通貨ペソ建てで2割くらいの値上げ。
そして、ペソは対円で2割5分位の上昇(つまり円安)ということで、円建てでは4割5分、つまりはほぼ5割くらい高くなっている訳です。
牛丼が50円程度値上がりしたら大騒ぎになる日本とは、比較にならない値上げな訳です。
なお、私が行ったフィリピンは、実はペソは対ドルで史上最安値更新に向かっている位の自国通貨安ですから、ドル高のアメリカ旅行と比べたら、全然大したことはないのですが、それでも値上げとかインフレを体で感じる良い機会となりました。
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日本が世界トップクラスの経済大国に復活する可能性はゼロ
残念ながら、マクロ的に日本が世界トップクラスの経済大国に復活する可能性はほぼゼロと断言します。
どうしてもフィリピンと比べてしまいますが、別にフィリピンに全て負けるとは全く考えていません。
フィリピンには激しい貧富の格差という、これまた解決が難しい問題があり、おそらく、さらに今後も拡大していきます。
しかしながら、フィリピンの郊外を朝、車で走っていて驚いたのが、1キロ位ごとに小学校があり、朝の体操をやっていたのですが、どこも校庭が数百人の児童で埋まっていたことです。
つまりは、今後、10年とかすると、これらの児童が大人になり、労働者となって、生産活動に参加してくる訳です。
同時に消費者ともなります。
しかし、日本は若年人口減で高齢化問題がさらに深刻化してきます。
一方、人口増加はフィリピンのようでなくても、経済大国アメリカには世界中から才能が集まる仕組みが完全に出来上がりました。
アジアであれば、シンガポールがアメリカに近い存在になりつつあり、すでに日本を越していきました。
「貧乏な日本人にはビザを出さない」といった姿勢を読み取ることができるくらいであります。
果たして日本はというと、電気代2,000円支援みたいな、ばら撒きはやっていますが、これ以外の成長戦略は見えてきません。
それどころか、成長戦略をやろうとすると、野党や一部マスコミが「弱者切り捨てだ」とアンチキャンペーンを張り、つぶしていくことだらけです。
日本は30年前の中国に成り下がる
日本は、フィリピンみたいに汚職や非効率は改善されなくても、人口が勝手に増えていき、経済が伸びていくグループにも属さず、一方のアメリカやシンガポールみたいにイノベーションを重視し、世界から才能を集めていくグループにも属していないのですが、そうなると考えられるのは、30年前の中国みたいな、人件費の低さで世界の下請け工場となることと、あとはインバウンド観光が伸びていくような方向性ですね。
ただし、これで起きるのは、給料は発展途上国レベルとなり(多分、このまま昇給しなければ、いずれそうなっていく)、一方、旅館やホテルは外国人利用で値上がりし、日本人の庶民には手が届かなくなることです。
なお、旅館やホテル従業員の給料が上がらないのか?と思うかもしれませんが、外資に買収された所は、そんなに甘くないと思います。
私自身、アメリカにも行って、もっと刺激を受けないとダメだなと思っているところです。
『海外移住から帰国した50歳男子の北海道くらし日記』(2022年10月21日号)より
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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9年間のタイ、フィリピンでの海外移住生活から帰国し、北海道暮らしをはじめた50歳男子が、久々の日本生活から感じることや、海外生活のメリット・デメリット、そして、地方暮らしの実際について独自目線で語っていきます。