主要国に比べて驚くほど安く見える日本の不動産に、海外勢からの投資・購入の物色が凄まじく高まっている様子。ようやくインバウンド消費が再開したタイミングで海外からの観光客を中国資本が迎えるという、実に複雑な状況が進行しはじめています。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
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円安で狙われる日本の不動産
足元では為替介入以外なにもしない財務省と日銀のおかげをもちまして、昨年に引き続きドル円は140円を超える円安水準で推移しはじめています。
そして、主要国に比べて驚くほど安く見える本邦の不動産に、海外勢からの投資・購入の物色が凄まじく高まっている様子。
「円安にもメリットはある」などと間抜けなことをぬかしているうちに、本邦の不動産物件の相当な数が外国人の手に渡る時代がやってきそうな状況になっています。
とりわけ現状が過去の海外のハゲタカ勢が投資を行った時代と大きく異なるのは、主要な投資家が中国や台湾の富裕層になっていること。
日本の状況は、少子高齢化と人口減少さらに国自体の経済の衰退が重なって、驚くべき変化を遂げることを覚悟せざるをえないところに差し掛かっていることが見え始めています。
日本の観光ビジネスで儲けるのも外国資本…
2020年初頭から始まった新型コロナウイルスの感染は、宿泊施設や飲食店に多大な影響を与えることになり、多くの事業者が破綻や事業の売却を考えることになったのは言うまでもありません。
こうした状況に円安を追い風として投資に向おうとしているのが海外勢で、とくに中国人投資家が宿泊施設のなかでも旅館というビジネスモデルに高い興味を抱いていることが見え始めています。
確かに海外投資家にとっては温泉を利用して本邦ならではの宿泊サービスを展開する旅館ビジネスというは、非常に興味深いものであるようです。
ようやくインバウンド消費が再開したタイミングで中国からの顧客を中国資本が迎えるという、実に複雑な状況が進行しはじめていることがわかります。
Next: 本邦の主要旅館の4割は中国人投資・経営になる?
本邦の主要旅館の4割は中国人投資・経営になる?
事業売却をしようとしているのは地方など僻地の温泉旅館だけではなく、近隣では箱根湯本や熱海など首都圏の温泉旅館でも、中国人投資家が経営を肩代わりする時代が到来しているようです。
もちろんこうしたビジネスに投資する向きは温泉旅館のビジネスモデルに深く関与していくというよりは、あくまで投資先として選択している様子。
いったん事業を取得してもいつまでそれを維持していくことになるのかはまったく不明ですが、日本ならではの温泉旅館ビジネスもすでに海外勢の投資対象となっていることからは、目を背けることができない状況です。
安倍元首相の就任当初、「美しい日本」がどうだとか、東京五輪招致の際には日本の「おもてなし」がどうだといった話が出回ったのは記憶に新しいところ。
しかし今や、その愛された伝統的な文化を組み入れた旅館ビジネスを支えるのは中国・台湾資本なのである……という事実を目の当りにしますと、かなり複雑な心境が込みあげてくるところです。
国内の調査機関であるホテル旅館経営研究所の分析では、2032年までに実に本邦における温泉旅館の所有率の4割が外国人によるものになるといった恐ろしい予測も飛び出しており、こうした流れはすでに止めようのないところに陥っていることが判ります。
ホテルも銀座のクラブのビルでも同様の状況が進行中
もちろん海外勢の事業買収は、温泉旅館だけに留まることはありません。
一般企業の買収からはじまって、旅行業界ではホテルビジネスにも同様の動きが始まっている状況。もっと下世話なところで言えば、コロナでほぼ壊滅状態に陥った東京・銀座のクラブビジネスでもビルを丸ごと中国人投資家が購入したことから、中に入るクラブにまで資本を投下するといった動きがあるようです。
外からの見かけではコロナがいったん終息的状況になったことから、多くの個別ビジネスが元に戻りつつあるように見えます。
しかし気がつけば、その多くを中国人投資家が席捲して買い占めているという、かなり哀しい現実が待ち受けているのが実情です。
Next: もはや米国の口車に乗って中国と対立している場合ではない…
もはや米国の口車に乗って中国と対立している場合ではない…
80年代後半、日本がバブルに踊り、さらに主要国が集まってプラザ合意のようにドル安が世界的、作為的に進行した際には、米国マンハッタンの象徴となった有名ビルを日本企業が購入してそうとうヒンシュクを買うことになったものです。
それが今回の円安では、米欧勢ではなくアジア勢とりわけ中国が席捲して買収に名乗りをあげている点が注目されます。
岸田政権はすべからく米国の口車にのって中国と敵対し、下手をすれば戦争に突き進みかねない状況ですが、現実の実態経済を見ますと、すでに中国および中国国民を敵視するような時間では無くなっていることを痛感させられます。
少子化対策ひとつとってみても、異次元のお題目からは大きくかけ離れ事実上なにもしない岸田政権。そのかげに隠れるように、本邦の人口減少・高齢化の波は経済に想像以上の影響を及ぼしはじめ、それが相当進行していることを正確に理解しなくてはならない時間帯です。
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