マネーボイス メニュー

マイナカード、5月末での返納数“45万枚以上”との報道。不信感による返納は一部ながらも“返納一揆”本格化の6月以降の数字は惨憺たるものに？

money voice A.Y

マイナンバーカードの返納数が、45万枚以上にのぼったと一部メディアによって報じられ、ネット上に衝撃が走る格好となっているようだ。

これは「デイリー新潮」が報じたもので、記事の冒頭に「今年5月末には返納数が計約45万枚にまでのぼった」との記載が。

さらに記事では、石川県金沢市においては4月の返納数は1件だったのが、5月から6月下旬にかけては21件、さらに大阪府堺市では、5月頭から6月20日までの時点で44件の返納があったとあり、5月以降に個人情報の誤登録などのトラブルが相次いで判明したことで、「高齢者を含め、マイナカードそのものへの警戒感が増幅しているということのようなのだ」と記されている。

45万枚以上がすべて“制度への不信感”が理由なのか？

マイナカードの返納といえば、つい先日共同通信が、全国の都道府県庁所在地と政令指定都市の計52市区を対象に独自調査を行ったところ、5月以降で少なくとも計318件の“自主返納”があったことがわかったと報じられたばかり。

【関連】マイナカード自主返納「318件と急増」報道に冷ややかな視線。SNS上では“一揆”と大盛り上がりも実際は…？返納者に押される“情弱”との烙印

果たして“318件”という数が急増なのかどうなのか……という点も含めて大いに議論を呼んだ話だったわけだが、それと比べると今回の“45万枚以上”という返納数は、なかなかな大きな数である。

デイリー新潮の記事では、この“45万枚以上”という数字の出所は書かれていないのだが、以前総務省の担当者が、参院地方創生・デジタル特別委員会において、返納を含め所有者の希望で失効したマイナカードの枚数を約42万枚（3月3日時点）と答えたと報じられており、この数字が5月末に至って約45万枚にまで増えた……と考えるのが自然のようだ。

ところで、共同通信の記事であがっていた“318件”という数字だが、これは“本人の希望に基づく自主返納”に限定し、各自治体にその数を問い合わせたものだったようだが、いっぽうで総務省が答えている数字には、そういった“制度への不信感”以外の理由による返納も含まれている模様。

例えば、広島市においては今年の5～6月で107件の返納があったというのだが、そのうち“制度への不信感”を理由にしたものが20件だったのにくわえ、カードは不要ということでの返納が13件あったようだが、それ以外の理由として「紛失し再発行後に古いカードが見つかった」が22件、「有効期限満了などで失効」が22件、「国外転出」が14件、「保有者の死亡」が11件あったということ。

つまり、今回報じられた45万枚以上の返納というのが、すべからくマイナカードへの不満によるもの……というワケでは無いようで、その点はある程度は割引いて考える必要があるようである。

続々噴出する“マイナカード不信”ネタ

とはいえ、あまりに出鱈目すぎる紐づけなど、マイナンバーカードを巡るトラブルがここ数か月で相次いで発覚し、その個人情報管理の杜撰さから、情報漏洩の危険を訴える声が高まるなかで、政府への不信感の高まりもあり、カードを返納する人が増えているというのも実際のよう。

特に保険証との一体化に関しては、高まる批判に対して松本剛明総務相が、暗証番号の設定が不要なマイナンバーカードを検討していると明かすなど、ある意味での“懐柔策”を繰り出したものの、「それ今の保険証や…」「わざと悪用しやすいようにしてない？」と猛ツッコミを受けて逆効果に終わるなど、グダグダもここに極まれりといった状況だ。

しかも、ここに来て波紋を呼んでいるのが、あるメディアが全衆院議員に対しマイナカードの所持を問うアンケートを行ったところ、岸田首相をはじめ先述の松本総務大臣などマイナカード推進派の自民大物議員の“回答拒否”が相次いだという話。

回答した議員の取得率自体は89.3％と、全国民における取得率よりも高い結果が出たようなのだが、そのなかでも保険証や銀行口座への紐づけをしていない者もかなりいたようで、要は議員の間でも“疑心暗鬼”が広がっているとも言えそうなのだ。

さらについ先日には、2026年中を視野に導入を目指す新しいマイナンバーカードに関して、新しい読み取り機が必要になるという可能性も浮上したとのこと。これが仮にそうなれば、マイナカード普及にかかる予算はさらにかさむことは必至で、また医療施設などは読み取り機の更新で、また費用が掛かるだろうということで、不満が噴出しているというのだ。

今回、デイリー新潮があげた“返納数45万枚以上”という数字も、今年5月末時点でのもの。ネット上での“返納一揆”が本格化したのが6月で、さらに今月に入っても、こういった国民の不信に繋がる“燃料投下”が相次いでいる状況で、果たしてそれらを反映した上での返納数はどうなってしまうのか、大いに見物といったところだろうか。

Next: 「デキの悪いシステムを国民に押しつけておいて…」



ツイッターの反応

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

【関連】稼げなくなったYouTuber続出…日本国内向けの配信者は廃業ラッシュも。もはや広告収入だけで食べていくのは至難の業＝今市太郎

【関連】韓国、貿易赤字500億ドル目前で倒産ラッシュへ。強い労組と年功序列制が韓国企業を蝕んでいる＝勝又壽良

【関連】メリットしかない新NISA、目玉の「非課税枠の再利用」が投資家と相場に与える４つの影響とは？＝佐々木悠

Image by： umaruchan4678 / Shutterstock.com

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね！しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。