マイナンバーカードの自主返納が増えていることを伝える報道が、大いに波紋を呼ぶ格好となっているようだ。
取沙汰されている共同通信による記事によれば、都道府県庁所在地と政令指定都市の計52市区を対象した調査の結果、5月以降で少なくとも計318件の“自主返納”があったとのこと。
調査は、52市区(東京は新宿区)に対して国外転居やカード破損などの理由ではなく、本人の希望に基づく自主返納数を把握しているかどうか尋ねたものということで、集計していた29市の5月以降の最新データを合計した結果、計318件となったという。
返納届に記されてた返納理由としては「信用できない」「問題が多い」「制度への不安」「危ないカードは持ちたくない」などが多いといい、政府が制度への信頼を回復できなければ、さらに拡大する可能性があるという。
マイナカード自主返納は実際盛り上がっていない?
6月下旬あたりから、SNS上でその声が多くあがるようになった“マイナカード自主返納”という動き。
著名人のなかでは、タレントのラサール石井さんが自身のツイッターでマイナカードを返納したと報告し、それに対する批判意見も含めて大きな話題となっているわけだが、実際のところどれほどの自主返納者が出ているのか……ということで浮上したのが、今回共同通信が挙げた“計318件”という数字だ。
確かに4月は20件程度だったものが、5月以降は318件となったとすれば、それは“急増”とも言えなくはないのだが、とはいえ今年3月13日までの累計申請数が9,500万枚を超えたと伝えられているマイナカードのなかにあって、318件という数字は正直“誤差”レベルといったところ。
それだけに、ネット上ではあれほど盛り上がっている自主返納も、実際のところはそんな動きなどほとんどないのでは……といった声も、ここに来て多くあがっているようだ。
約9700万枚中自主返納が318件で割合的には0.00033%か。確かに急増ですね。
マイナカード、自主返納が急増#Yahooニュースhttps://t.co/I6V8UI29m5
— 係長 (@cakari14) July 2, 2023
『マイナカード、自主返納が急増』#共同通信 が急増って書いてるから何人いるのかと思えば318件(笑)
わざわざ記事にする程の人数かよ。
日本の人口は約1億2千万人だぞ。
情弱集めて政府に嫌がらせしたいのが見え見え。
共同通信の記者、性格悪すぎ。https://t.co/d0RC68V1jS
— 弓月恵太 (@ssomurice_local) July 2, 2023
おいおい、少なすぎるな。
返納!返納!返納ムーブメントが起こってるぞ!って言ってる人達がそもそも返納してない疑惑すらあるなw
マイナンバーカードの自主返納が5月以降、少なくとも計318件あったことが2日分かったhttps://t.co/roquMSkFrE
— イーサン@脱ネット情弱🌸 (@TrickstarsLR) July 3, 2023
ただ、そんななかで気になるのが、共同通信が調査対象としたのが“都道府県庁所在地と政令指定都市の計52市区”だったという点。
日本の総人口の過半数程度は人口20万人以上の都市に居住しているというデータから考えると、今回調査対象となったのも概ねざっくりそれぐらいの数だと考えられるところ。そのうえで調査に応じたのが、そんな52市区中でも29市にとどまり、それでの数字が計318件だったということから、実際の自主返納の数がそれより多いだろうことは、当然考えられそうである。
また、共同通信が集計したデータというのが、調査に応じた29市の5月以降の“最新データ”を合計したものということで、具体的にどの時期までのデータだったのかは不明。ここ最近の“自主返納”騒動を受けての数が、そこに含まれているのかも、気になるといえば気になるところである。
とはいっても、SNS上では“一揆”とまで騒がれているマイナカード自主返納の動きも、実際には大したものではないのでは……という見方がやはり大勢を占めている様子。むしろ今回の報道で“計318件”という数字が出たことで、逆に実際には盛り上がっていないことの“根拠”となってしまっているといった状況だ。
マイナカード返納“無意味論”に対し“返納派”は…
SNS上では、このところのマイナカード自主返納の動きを受けて、もうすでにマイナンバー自体は振られているわけだから、カードを返納したところで個人情報を守るという意味ではまったく無意味だろ……といった“返納無意味論”も、SNS上や一部メディアでも大いに取沙汰されているところ。
それに対し“返納派”からは、昨今相次いでいる“紐付け失敗”による様々なトラブルに対しての抗議として、返納活動を展開しているといった声が多いようなのだが、さらに逆に“無意味派”からは「マイナカードからの漏れた情報よりも、マイナカード返納した人の情報の方が、詐欺グループとかにとって貴重」という、要は“返納派は情弱”だといった、からかい交じりの声も少なからず広がっている状況だ。
何人かコメントされてましたが、マイナカードからの漏れた情報よりも、マイナカード返納した人の情報の方が、詐欺グループとかにとって貴重です
— MURAJI (@murajidash) July 3, 2023
そうか、マイナカードの情報よりも、マイナカードを自主返納した奴の情報の方がはるかに価値がありそうじゃないか。
— ほいみん (@takechan0720) July 2, 2023
マイナカード“返納派”からすれば、今後返納が相次ぐ展開となれば、政府がなりふり構わず進めている“なんでもかんでもマイナカード偏重”といった社会の青写真が根底から覆され、ついでに倒閣も……といった思惑のようなのだが、今回の報道で浮上した“数”を見る限り、その道のりはかなり遠そうというのが正直なところのようだ。
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