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新NISA開始で“高配当株投資”に追い風!長期投資のプロが「成長投資枠」に選ぶ5銘柄とは?買ってはいけない企業も解説=佐々木悠

2024年、投資家にとっての最大のトピックは「新NISA」が始まることでしょう。今回は、新NISAで高配当株投資を行うにはどのような企業が良いのか?そもそもあなたは高配当株投資を行って良いのか?を考えていきます。制度の変更点をおさらいしながら高配当株投資への理解を深めていきましょう!(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

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プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

新NISAで「高配当株」投資に追い風が吹く

まずは新NISAの変更点をおさらいしましょう。

出典:金融庁「新しいNISA」より作成

大きな変更点は、主に5つです。

特に高配当株投資を行うあなたにとって、大きなメリットとなるのは、非課税期間の無期限化と年間投資可能額の拡大でしょう。従来の一般NISAでは、ロールオーバーがあるとはいえ、非課税保有期間は5年という縛りがありました。

それが撤廃されたことから、高配当株を無理に売る必要がなくなります。また、年間240万円まで購入できる点も、ほとんど金額を気にせず購入できるというメリットになります。

また、当然のことながら配当金非課税のメリットも大きいです。譲渡益の非課税は、投資商品が値上がりしない場合、その恩恵を受けることはできません。しかし、配当金の受け取りであれば、確実に20.315%の非課税(23年12月現在)の恩恵を受けることができます。

NISA改正によって、高配当株投資を行いやすい環境が整っていくでしょう。

高配当企業の特徴は?高配当株投資に向いている人・向いていない人

次に、高配当企業の特徴を考えます。それは「安定性」です。

安定的な配当金を捻出する上で重要なことは、企業のビジネスやキャッシュフローに安定感があるかです。例えば手数料収入やストック収入がある企業や、生活インフラの一部となっている企業などが該当します(金融、通信キャリア、リース業界など)。

従って、高配当株投資に適していると考えられる人は退職者や、資産をたくさんお持ちで、資産取り崩しの段階にある方です。こういった方には、企業の安定したビジネスに基づく配当還元は、生活費などへの追加の収入源として期待できるでしょう。

しかし逆に考えると、急激に業績が拡大するとは考えづらい、成熟した大企業に投資することになります。つまり、大きな株価上昇は期待しづらいといえるでしょう。

したがって高配当株に向いていない人は、資産形成期にある若い方だと考えます。時間を味方につけられることから、インデックス投信をつみたてしたり、成長性の高い企業へ投資したほうが、より多くの恩恵を受けられるでしょう。

Next: 利回りランキングを鵜呑みするのは危険?選んではいけない企業とは



選んではいけない企業のポイント

そして、高配当企業を選ぶ上で行ってはいけないことは、配当利回りランキングを鵜呑みにして投資することです。例えば、1年半ほど前の配当利回りランキングの上位は、海運株が上位を占めていました。

しかし、この時点で首位だった日本郵船は、現在「減配」しています。

出典:マネックス証券

したがって、日本郵船は配当の継続性は無かったのです。この場合、減配+業績下落による株価下落で、ダブルパンチを食らう可能性があります(高配当株投資全体のリスクと言えます)。

だから、配当は継続するのか?無理して配当を出していないか?(配当性向が100%を超えていないか)などをチェックする必要があるのです。

先にも述べましたが、新NISAの大きな改正点は、時間の縛りが無くなったことです。目先の配当利回りの一時的な高さよりも、いかに配当が継続するか?を考えるべきです。

ここまでをまとめると、以下がポイントとなります。

  1. NISA改正によって、より高配当株投資と相性がよくなった
  2. 高配当企業は安定的なビジネスが多い
  3. 一時的な高配当利回りに騙されないように注意する

ここからは、新NISAの成長枠で、高配当株投資の候補になりそうな企業を紹介していきます。

Next: 新NISA「成長枠」で投資したい高配当銘柄は?成長性とリスクを解説



厳選企業その1:日本たばこ産業<2914>

まず候補となるのは、日本を代表する高配当企業である日本たばこ産業(以下、JT)です。たばこ販売の安定的な収入が、配当金の資金源となります。2023年12月25日終値時点の予想配当利回りは5.02%です。配当金は順調に増加しています。

出典:マネックス証券

JTは日本だけではなく、世界中でたばこを販売しています。

世界各国のたばこ企業を買収し、グローバル展開を行いました。日本などの先進国では、たばこの需要が横ばいから下落していきます。しかし東南アジアなどの新興国における需要拡大が見込まれることから、今後も配当金の増加と成長が見込まれます。

利益の75%を配当金として還元する方針であり、積極的な株主還元が目立ちます。また、JTの大株主は財務大臣です。国家としても収益源の一つと考えられることから、よほどビジネスが傾かない限り、大幅な減配の可能性は低いと考えます。

リスクは、ロシア情勢です。

ウクライナ侵攻から丸2年が経過しようとしています。当初はJTに対する影響が懸念されたものの、現在は「制裁措置を順守した上で事業を継続」しています。最新決算でもロシア地域の売上が業績に貢献していることから、慎重ながらも上手く事業を行っている状況が読み取れます。

Next: 利益のほとんどを株主還元?プロが選ぶ新NISAでの投資先候補



厳選企業その2:ソフトバンク<9434>

次に紹介するのは通信キャリアのソフトバンクです。

主な収入源は携帯等利用者による電話料金であり、これが定期的な業績をもたらします。23年12月25日、終値時点の予想配当利回りは5.00%です。2020年3月期から1円のみの増配ですが、高配当と言える水準を維持しています。

出典:マネックス証券

主力のコンシューマー事業はSoftBank、Y!mobile、LINEMOなどを提供する携帯キャリアサービスを運営しています。法人に対しては、固定通信サービスやデータセンターを提供するサービスを展開しています。

また、傘下にはZOZO・PayPay・LINE・Yahoo!など様々な関係会社が存在しています。他の通信キャリア企業と比べ、EC・決済・インターネットプラットフォームなどジャンルが違う顧客が存在していることが強みとなります。

配当に関しては、自己株式の消却と配当還元を含めた総還元性向が85%程度、という方針です。つまり、利益のほとんどが株主還元されるのです。

ソフトバンクの大株主は、投資会社であるソフトバンクグループ(以下、SBG)です。SBGにとっては、ソフトバンクの配当金は貴重な収入源であることから、よほどのことがない限り、大幅な減配の可能性は低いでしょう。

リスクは借入が多い財務体質と金利上昇です。

通信インフラ事業は、基地局の設置などが必要な設備ビジネスと言えます。これを借入によって賄ってきたわけですが、金利上昇局面では、財務を圧迫する可能性があります。

借入の大半は固定金利と説明しているものの、リスク要因と捉えるべきでしょう。

Next: まだある新NISA「成長枠」で投資したい高配当銘柄



厳選企業その3:三菱商事

3番目に紹介する企業は三菱商事です。2023年12月25日終値時点の予想配当利回りは3.17%です。こちらも順調に配当金を増やしています。

出典:マネックス証券

2023年は三菱商事含む総合商社の株式が注目された1年でした。ウォーレン・バフェットが投資したことに加え、東証のPBR1倍割れへの提言も追い風となりました。

総合商社は「モノを仕入れて売る」という伝統的な卸売ビジネスに加え、「次に伸びそうな産業に投資する」という投資ビジネスを行っています。

その中でも、三菱商事は連結対象会社の数が競合他社に比べて多く、世界中に広がるネットワークが強みと言えるでしょう。投資先に対して、自社が持つネットワークを活かし、投資先の成長を促すのです(例えば投資先の良品計画に対し、傘下であるローソンの販売チャネルを提供することで、良品計画の販路拡大に貢献する、など)。

出典:各社有価証券報告書より作成

配当金の魅力は累進配当の方針を打ち出していることです。累進配当とは、配当金を維持・あるいは増配を継続する方針です。

三菱商事はバフェットからも100年後も生き残る、と言われた企業の1つです。それは、三菱商事が時代に合わせて投資先を変化させ、常に新しいビジネスを追求しているためであると考えます。

商社は「規模が巨大で、(事業が)理解しやすく、実績もある」とし、傘下に多様なビジネスを持つことがバークシャーに似ているとも指摘。「これから約100年、そして永遠に生き延びるだろう」(出典:朝日新聞より引用)

リスクは海外売上比率が高いことから、円高による収益の落ち込みの可能性が考えられます。また、今期24年3月期は、昨年に資源価格が大幅に上昇した反動を受けて、金属資源関連の減益が目立ちます。

とはいえ、配当金の継続方針と事業の継続性を総合的に考えると、配当株投資の1つとして検討しても良いと思います。

残る2社は…

新NISAの成長枠で、高配当株投資の候補となる残り2社の解説は、つばめ投資顧問の有料会員サイト上で行いたいと思います。これを機に、ぜひつばめ投資顧問への入会を検討してみてください。

ここまで挙げた3社と上記の2社はあくまで、現時点での高配当株投資の候補です。企業は生き物ですから、将来的に業績が悪化し、配当株投資として適さなくなる可能性も考えられます。そこで、今回取り上げた5社については、つばめ投資顧問の有料会員サイト上で決算情報などの継続的なアップデートをして参りたいと思います。

高配当株投資の候補となる他の2社の解説が気になる方、ここで解説した企業も含めた5社の今後の動向が気になる方、新NISAで長期投資を行いたい方、ぜひ一度つばめ投資顧問のサービス内容を確認してみてください。


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image by: Keisuke_N / Shutterstock.com

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年1月3日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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