吉野家ホールディングスなど、外食企業各社の業績が持ち直している。さらに、その恩恵は様々な「外食サポート企業」にも及んでいる。これから成長が見込める関連銘柄をいくつか示しておきたい。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年1月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
息を吹き返してきた外食産業
吉野家ホールディングスなど、外食企業各社の業績が持ち直している。
2023年9~11月期決算を発表した19社中では、18社の最終損益が前年同期比で改善。新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが5類に移行したことで人流が回復して客足が伸びたうえ、値上げやメニュー改善で客単価も向上した。9~11月期決算を発表した19社合計の純利益は85億円と、前年同期の17億円から約5倍になった。
ハイデイ日高の23年3~11月期の単独決算は、売上高は31%増の360億円と同期間では過去最高。
営業利益は24倍の36億円だった。そんな同社は、2024年以降、主力の東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県以外の関東地域で店を増やす。現状、1都3県以外は数店だが、エリア拡大で10年後をメドに全体の店舗数を約1.6倍の700店規模に増やすことを目指す。
同様に、展開エリア拡大や新規出店、人手不足対策などとして設備投資を傘下にする外食事業者が増えている。
「外食サポート企業」にも脚光
その恩恵は様々な「外食サポート企業」にも及んでおり、例えば厨房機器大手のホシザキは2023年12月期の連結純利益が前期比36%増の325億円になりそうだと先ごろ発表。従来予想(290億円)から35億円上振れするという。
顧客であるところの飲食店で客足が回復し、設備投資の需要が高まっていることで国内外ともに製氷機や冷蔵庫などの販売が想定を上回っている。
以下に、いくつかの関連銘柄を示しておきたい。
ホシザキ<6465>
2023年12月期の決算発表は2月13日。先に述べたとおり、純利益は前期比36%増の325億円、営業利益は同53%増の420億円と過去最高を更新することが見込まれている。
顧客の飲食店の客足が回復して設備投資の需要が高まり、国内外ともに製氷機や冷蔵庫などの販売が想定を上回る。23年12月期末の配当は従来予想から25円増やし65円とする。
海外では米国や欧州の伸びが大きかったもよう。また、国内ではホテルや介護施設の厨房など、外食店以外の業界への新規開拓も進んでいる。このほど業務用冷蔵庫などの厨房機器の稼働状況や庫内の温度を遠隔で確認し、記録できるサービスを開始。複数の店舗を展開する外食や小売チェーンでの導入を目指している。
株価は、昨年9月に昨年来高値を付けて反落し、昨年12月初旬まで調整。一目均衡表の週足「雲」下限水準で下値をサポートされて底入れしてからは急速に持ち直す動きとなっている。
フジマック<5965> 2月9日発表
外食チェーンなどの飲食店をはじめ、ホテル・レストランなどさまざまな業種の厨房づくりを展開。厨房機器の開発・製造・販売・施工・保守のほかに厨房レイアウトのコンサルティングも手掛ける。
訪日客や観光需要増で稼働率上がる外食や宿泊施設の設備更新需要が一段と増加している。23年12月期は大幅増益を見込んでいる(2月9日発表)が、24年12月も外食や宿泊施設向けが引き続き堅調に推移すると見込まれる。
株価は足元で上昇の勢いがついてきており、昨日(25日)は昨年来高値を更新する動き。それでも、足元の予想PER=9.67倍、実績PBR=0.59倍、予想配当利回り=2.62%と、バリュエーションは低め。来期も2桁増益が見込まれる状況を考慮すると、かなり割安な水準にあると思われる。
Next: 外食産業に復活の兆し。それ以上に伸びるのは飲食店をサポートする企業
テンポスホールディングス<2751>
飲食店向けの厨房機器販売が伸びる。飲食店が出店する際のコンサルティングなどに力を入れ、客単価が上昇傾向にある。飲食事業では、ステーキ店でサラダバーの品ぞろえを8割増の45品目にするなどの取り組みが販売増に寄与。
昨年7月、回転すしや鮮魚卸などを手がけるヤマト(千葉県鴨川市)の買収契約を締結し、同社の収益も全体に貢献。4月権利確定で株主優待の権利が受け取れ、100株以上で8000円分の食事券が受け取れるのも魅力。ヤマトの回転すし店でも使用できる26年4月にかけて人材派遣事業の派遣スタッフを現状の3倍以上となる2000人程度に増やす計画で、新たな収益源も育てていく。
24年4月期は、売上高が前期比23.5%増の386億円、営業利益は同31.9%増の29.3億円、純利益は同23.3%増の17.6億円と過去最高益を更新する見通し。
株価は、今週4日に上場来高値(分割考慮)を更新。目先はやや高値警戒感が強く、一旦調整の場面もあっておかしくないが、26週移動平均線あたりの水準は下値サポートとして意識されやすい。
USEN─NEXT HOLDINGS<9418> 上場来高値
主軸事業である音楽配信サービスの提供先である業務店舗などに、IoT各種商材、ネットワークインフラなどのサービスを提供するほか、個人向け映像配信サービス「U-NEXT」などを展開する。
店舗サービス事業では、全国の業務店、チェーン店などに音楽配信やPOSレジなどの提供、飲食店向け集客支援サービス「ヒトサラ」を運営。飲食店舗をトータルにサポートする。足元は、Paravi(パラビ)と統合した動画配信で会員数が伸びたほか、業務用システム事業で新紙幣発行に向けて特需が発生していることも収益増に寄与。
2023年9~11月期(1Q)連結決算は、純利益が前年同期比79%増の41億円。24年8月期通期の予想は、売上高が前期比8.6%増の3000億円、営業利益は同11.3%増の240億円、純利益は同10.4%増の121億円と過去最高益を更新する見通し。
株価は、今月16日に上場来高値を更新。目先はやや調整部含みとなっており、押し目買いのチャンスをうかがいたい。
Next: まだある成長が見込める外食サポート企業。投資するならどこ?
スマレジ<4431>
クラウドPOS(販売時点情報管理)レジ「スマレジ」を開発、提供。給与計算や休暇管理などの機能も備えたクラウド勤怠管理システムや、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済などに対応した決済サービスなど、周辺サービスで多角化。
このほど、クラウドPOSレジと連携可能なセルフレジ(券売機)のを開発し、3月1日から販売開始すると発表。慢性的人手不足に対応するとともに、訪日外国人客向け多言語対応も可能。
これまでもキャッシュレス決済を端末1台で可能にする「PAYGATE」などを手掛けてきたが、今後は一段とニーズが高まる見通し。
特益と税効果消え、純利益は減益見通しだが、営業利益は大幅増。24年4月期の売上高は前期比35%増の80億円、営業利益は45%増の13億円を見込んでいる。
株価は、足元で調整含みの展開を続けており、一目均衡表の週足「雲」のなかでもみ合いながら再浮上のきっかけを待っている状態とみられる。 ※2024年1月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年1月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。 ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込1,100円)。
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田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
』(2024年1月26日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による