「増税クソメガネ」「減税ウソメガネ」などとSNS上で揶揄されてきた岸田首相だが、3月28日に「物価高を乗り越える2つの約束」を発表した。内容としては、物価上昇を上回る所得を必ず実現すること、物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させることで、今回の予算・税法には物価高を乗り越えるための所得税を増やす施策が多数盛り込まれている。そのなかで注目を集めているのが6月の「定額減税」だ。しかし、一度だけの定額減税で物価高に対応できるのかという声も多く上がっており、現場の負担が増えるだけとの不満も少なくない。
賃上げの限界も…1人あたり4万円の定額減税は一度限りの施策
今年の春闘では平均5.25%の賃上げ率となり、およそ30年ぶりの高い伸び率となった。ただし、一部では実質月々数百円ほどの賃上げである大企業もあるなど、蓋を開けるとそこまでの大きな上がり幅とはいえないようだ。
そんなホットトピックスといえる賃上げと価格高騰についてだが、4月からも食料品の値上げは続き、中小企業では業績の改善が見られない限り、賃上げについても限界がある様子。一般市民の財布の中身は増えるのか、はたまた減っていくばかりなのか、手元のお金が気になるところだが、3月28日の参院本会議にて2024年度予算が成立し、岸田首相は記者会見を行った。
国民の皆さんに「物価高を乗り越える2つの約束」を申し上げます。
まず
今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現します。
そして
来年以降に、物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させます。今回の予算や税法には「物価高を乗り越える所得増」に向けた政策が数多く盛り込まれています。 pic.twitter.com/g473tFUDKe
— 岸田文雄 (@kishida230) March 28, 2024
その際に「25年以降に物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる」と表明。さらに1人あたり4万円の「定額減税」の実施などを盛り込んだ税制改正関連法が可決・成立された。これは今年6月以降、所得税と住民税が1人あたり合計4万円減税されるというものだ。
ややこしい事務処理のせいで現場が疲弊する可能性大
- 給与所得者……6月の源泉徴収額から所得税(1人3万円)が減税、6月分の住民税(1人1万円)は徴収せず、減税後の年税額を7月以降11カ月で均等に徴収。
- 事業所得者……所得税(1人3万円)を原則確定申告時に減税、住民税(1人1万円)は6月徴収分から減税。
- 年金所得者……6月支給時の源泉徴収額から所得税(1人3万円)減税、住民税(1人1万円)は10月徴収分から減税。
物価高に対応して所得税と住民税、あわせて4万円の定額減税が実施されるわけだが、納税者だけでなく、配偶者を含めた扶養家族の分も減税となる。ただし、引き切れない分はそれぞれ6月以降に順次減税など、内容がかなりややこしい。また、富裕層とされる年収2,000万円以上の人は対象外だ。
この定額減税は、家計の負担を減らせるという一面がありながらも、減税制度導入における事務手続きは現場の担当者の負担になることは間違いない。企業の担当者からはすでに「なんでもかんでも現場に押し付けないでほしい」「年末調整で一括還付にしてほしかった」などの声もあがっている。
Next: 税務署の担当者も困惑…「一律給付にして」「年末調整でいいじゃん」
X(旧ツイッター)の反応
普通に働いてる人からしたら、欲しいのは「政府からの支援」じゃなくて「給料明細見て天引きの額にがっかりしない世界」じゃない?
物価高大変!とか言うなら税金と社保抑えてくれれば良いのに。
手続きが難しすぎて不評の定額減税以外やらないつもりなのかしら。— まめつぶ👻 (@0mame_mametsubu) March 27, 2024
定額減税ホントに…
事務負担を会社に押し付け、更には、市区町村にまで………本来有難がられるはずの減税がここまで嫌われ者になるってなかなかないぜ… pic.twitter.com/XrUhhNlBJc
— こんちゃん_税理士 (@con_tax_) March 21, 2024
1回きりの定額減税(所得税3万+住民税1万)の為になぜこんな複雑な仕組み考えたの?
税額控除しきれない世帯に差額補填するくらいなら一律4万円給付にするだけで相当事務コスト下げられたと思う。
どうしても減税にしたいなら年末調整で4万の税額控除が妥当かと。
普通に還付額4万増えるし。 pic.twitter.com/EVXRy8vm8P— Murai (@marboow) March 22, 2024
定額減税の何がやばいって、税理士だけじゃなくて給与担当者、税務職員、市役所、年金関係者等の日本中の源泉関係者を巻き込むことだよな。
出来の悪い映画を見てるよう。— いっつん(ひとり税理士)R5.10開業 (@ff3dNJb0lCsXoI2) March 23, 2024
定額減税のQ&Aに
「やむを得ない事情がある場合には月次減税事務ではなく、年調減税事務においてまとめて実施しても差し支えない。なおやむを得ない事情はその程度を問わない。」
という一文が入るのを首を長くして待っています。— 加藤博己@京都乃税理士 (@katoh_tax) March 24, 2024
定額減税のパンフレットが全国に配布されだして、ようやく皆さん絶望してる様子。びっしり16ページ。複雑な事務処理、殺到する問い合わせ、説明会の開催、対応システム開発、そもそもコレの印刷郵送コスト… pic.twitter.com/eGolXAyjG7
— SQ (@jojohftfsq) March 19, 2024
定額減税、調べれば調べる程
「いや、一律給付で良くない?」
という疑念が湧いてきます
これただ単に「減税」という言葉を使いたかっただけじゃないよね…まさかそんな…— 西国@税理士 (@merad1984) March 22, 2024
定額減税こ説明会に行ってきたんだが、正直税務署の人も困っておられた😥
あくまでも「令和6年の」なので所得税額が少なくて金額に満たない分は「給付」になるそう
税額も給付金額もそれぞれだから仕事増えるよね🙄
コロナの給付金の時みたいにした方がみんな楽だと思うんだけど😩 pic.twitter.com/Gxj3e0Ju6D— リカ@調停離婚成立しました (@divorcerestart) March 28, 2024
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参考:国税庁「特設サイト」,時事通信社,三菱総合研究所
Image by:首相官邸ホームページ