東京証券取引所は3月21日、経済産業省と共同で女性活躍推進に優れた上場会社を令和5年度「なでしこ銘柄」として選定した。なでしこ銘柄は、東証の上場企業の中から、女性が働き続けるための環境整備を含め、女性人材の活用を積極的に進めている企業を紹介するもの。中長期の企業価値向上を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介する側面もある。本記事では、過去に選定された回数が多く、なおかつ好業績が継続している企業をピックアップした。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年3月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
「なでしこ銘柄」に投資妙味
3月21日、東京証券取引所は、経済産業省と共同で女性活躍推進に優れた上場会社を令和5年度「なでしこ銘柄」として選定した。
なでしこ銘柄は、東証の上場企業の中から、女性が働き続けるための環境整備を含め、女性人材の活用を積極的に進めている企業を紹介するもの。中長期の企業価値向上を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介する側面もある。
12回目の選定となる今回は27社を選定。また、今回の選定から新たに、「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」が特に優れた上場企業を「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として合計16社選定している。令和5年度は、前記コンセプトを引き継ぎつつ、「共働き・共育て支援(男女問わない両立支援)」に関する項目を拡充するとともに、「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」を新たに選定した。
令和5年度「なでしこ銘柄」選定企業27社群の売上高営業利益率と配当利回りを、東証プライム銘柄の平均値と比較すると、令和4年度通期の売上高営業利益率(営業マージン)と配当利回りはともに、東証プライムの平均を大きく上回る。
以下は、過去に選定された回数が多く、なおかつ好業績が継続している企業をピックアップ。
SCSK<9719>
IT業界に共通する人材不足問題への解決に向けた女性IT人材の登用などの取組みが注目される。また、女性幹部の育成面でも本部長育成のためのサポータープラス制度など積極的な育成策が評価できる。
足元は、製造業向けを中心にシステム開発の伸びが目立つうえ、保守・運用も着実に拡大している。
24年3月期は、売上高が前期比6.5%増の4,750億円、営業利益は同10.0%増の565億円、純利益は同5.9%増の395億円を見込む。続く25年3月期は、自動車向け検証サービスなど製造業向けの展開において拡大が続くと期待されており、営業増益基調は続くと見込まれる。
株価は先週、昨年来高値(3,005円)近辺まで上値を試すも、目先は3,000円処で押し戻される状況、ただ、調整局面では26週移動平均線がサポート役としての役割を果たす。
大和証券グループ本社<8601>
内部昇格の女性取締役が複数誕生しており、積極的な育成の成果が上がっている点が高評価。他社に先駆けて取組みを強化してきた歴史があり、取締役の女性比率や男性の育児休職取得率はすでに高い目標を達成している。
足元は、株式・債券でともに市場部門が堅調であるうえ、投信やラップ口座関連の成長を背景にリテール部門が大きく伸びている。通期予想は未定としているが、24年3月期の3Q実績は、売上高が前年同期比58.2%増の9,054億円、営業利益は同151.7%増の1,066億円、純利益は同5.9%増の819億円と大幅な増収増益。25年3月期もリテール部門がけん引する格好で営業増益基調が続く見通し。
期末配当予想は未定だが、中間配当は19円実施(前期は11円で8円増配)。前期の期末配当は12円だったので、今期は最低20円として年39円と仮定すると利回りは3.2%程度になる。株価は3月22日に昨年来高値を更新(1,215円)し、なおも強気の展開が続いている。
Next: まだある注目の「なでしこ銘柄」、投資するならどれ?
アサヒグループホールディングス<2502>
女性の経営層の増加が着実に進んでいる。食の好みの多様化、機能性の高まりは今後も加速するものと思われるため、人材の多様性を活かす戦略が期待される。
足元は、減税効果でビールが全般に好調だが、とくに前期に実施した業務用ビールの値上げが大きく貢献(今期は通期で寄与)。24年12月期も純利益は前期に引き続いて過去最高を更新する見通し。24年12月期の売上高は前期比2.6%増の2兆8,400億円、営業利益は同11.4%増の2,730億円、純利益は同16.1%増の190億円を見込む。
2025年末までに配当性向40%を目指す方針で、今期EPS予想=376円を前提とすれば、年間配当=150円(今のところ会社側は132円を予想)で利回りは2.7%程度となる。
株価は、22年3月安値から23年9月高値までの上昇に対する38.2%押しの節目水準が下値を支える格好となっており、足元は再び強含みの展開となってきている。 ※2024年3月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年3月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。 ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込1,100円)。
<初月無料購読ですぐ読める! 3月配信済みバックナンバー>
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
『
田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
』(2024年3月29日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による