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止まらぬ“オフィス回帰”で成長が見込める5社とは?「出社したくなるオフィス」づくりに企業が注力=田嶋智太郎

新型コロナウイルス禍で下落基調にあったオフィス賃料に反転上昇の兆し。都心で働く利便性の高さ、アフターコロナの出社率上昇、満足度の高い福利厚生の充実などの要因がオフィスへの回帰を促し、人流の復活が賃料相場を押し上げている。本稿では、代表的な関連銘柄を5つ挙げて株価推移を考えたい。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)

【関連】外食産業に復活の兆し。恩恵を受けて急成長が見込める「外食サポート企業」5社とは?=田嶋智太郎

※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年5月31日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

オフィス回帰で活躍の場を広げる企業

新型コロナウイルス禍で下落基調にあったオフィス賃料に反転上昇の兆し。都心で働く利便性の高さ、アフターコロナの出社率上昇、満足度の高い福利厚生の充実などの要因がオフィスへの回帰を促し、人流の復活が賃料相場を押し上げている。

賃料上昇の一番の理由は出社回帰。在宅勤務を導入した企業が出社を奨励しており、オフィスの増床や移転が相次いでいる。福利厚生の一環として企業がオフィスを充実させている点も賃料相場の追い風となっている。近年は求職者優位の市場が続き、「出社したくなるオフィス」は採用活動の武器となる。個別ブースや共有スペースの拡充に加え、スポーツジムや瞑想ルームなどを備えるオフィスも増えてきている。

森ビルが23年に実施した調査では、オフィスの環境づくりのための支出について「コストではなく投資」と回答した企業が前の年比4ポイント増の51%となり、はじめて半数を上回った。不動産デベロッパーはアフターコロナのオフィスを「コミュニケーションの場」と定義。立地や設備などオフィスの付加価値を高めて賃料の引き上げる作戦をとる。

以下に、代表的な関連の銘柄について触れておく。

コクヨ<7984>

事務用品最大手。主力はファニチャー事業で23/12期では全売上高の4割程度、営業利益(全社費用控除前)は7割程度を占める。オフィス家具の製造・販売だけでなく、オフィス空間の設計や内装工事など顧客企業のオフィスづくりを総合的に支援。ほか、オフィス用品通販の「カウネット」も手掛ける。

最近は、働き方の変化に合わせたワークスペースの改装需要の高まりから、オフィス家具などの伸びが高い。海外は香港中心に家具拡大。インド伸長。

24年12月期は、売上高が前期比8.0%増の3,550億円、営業利益は同2.8%増の245億円、純利益は同12.1%増の214億円(過去最高)を見込むが、すでに1Q時の進捗率が営業利益で47.6%、純利益で55.9%に達しており、いずれ上方修正されることは必至。

コクヨ<7984> 日足(SBI証券提供)

配当性向40%目標で、今期は年76円(利回り=2.9%)を計画。株価は、5月2日に年初来高値をつけ、目先は調整含み。押し目買いのチャンスをうかがいたい。

オカムラ<7994>

オフィス家具業界のリーディングカンパニー。オフィス環境機器、商環境機器(冷凍・冷蔵ショーケース、店舗カウンター等)+物流システム機器(工場・倉庫用物品保管棚、物流自動機器・装置)の製造販売を手掛け、関連の物流・施工・サービス等を展開する。

25年3月期は働き方改革に伴うレイアウト変更が活発でオフィス需要堅調続く。また、オフィスデザインのコンサルティング事業で、22年ごろからミューラル(壁画)アートを本格的に提案。オフィス内に色とりどりのアート作品を飾ることで、職場環境の改善につなげる企業も増えている。

加えて、物流施設の省力化ニーズ拡大で自動倉庫も伸びる。

25年3月期は、売上高が前期比3.9%増の3,100億円、営業利益は同4.0%増の250億円、純利益は同3.6%増の210億円と過去最高を更新する見通しだが、会社予想は控えめと見る。

オカムラ<7994> 日足(SBI証券提供)

株価は、5月10日に年初来高値をつけ、目先は調整局面。一目均衡表の週足「雲」上限が下値サポートとして機能すると考えられ、週足のMACDがゼロ近辺まで低下するまで待てるかどうか。

Next: オフィス回帰を追い風に成長が見込める企業は?



イトーキ<7972>

オフィス家具大手でオカムラ、コクヨに次ぐ。オフィス家具や内装・建材、家庭用家具を製造・販売するワークプレイス事業が中核。ほかに、収納棚、オフィスセキュリティ設備、物流設備機器、商業設備機器などを扱う設備機器・パブリック事業+什器レンタルやソフト開発などのIT・シェアリング事業を手掛ける。

今年2月には、オフィスの稼働データやオフィスワーカーの活動データを分析し、稼働後のリニューアルの成功確率を上げ、オフィスの効果を最大化するオフィスデータ分析サービス「Data Trekking(トレッキング)」をリリース。オフィス移転やリニューアル需要旺盛。オフィス家具伸びる。設備機器・公共施設向けも堅調に推移している。

24年12月期は、売上高が前期比3.4%増の1,375億円、営業利益は同17.3%増の100億円、純利益は同18.5%増の70億円(過去最高)を見込んでいるが、すでに1Q時の進捗率が営業利益で60.3%、純利益で58.5%に達しており、いずれ上方修正されることは必至と見られる。

イトーキ<7972> 日足(SBI証券提供)

1Q発表時に通期予想を上方修正がなされなかったことで株価はいったん下押しているが、むしろここは買いのチャンス到来と見ていいものと思われる。現状、配当利回りは3.3%。

内田洋行<8057>

オフィス家具およびICT(情報通信技術)システム・機器を扱う専門商社。足元は、インボイス(適格請求書)制度が始まり、企業向け業務システムの改修案件は好調。小中学校の児童生徒に端末を貸与する政府の「GIGAスクール構想」を追い風にタブレット端末販売も伸びている。

オフィスへの出社率が高まり、会議室運用支援サービスも好調。

24年7月期は、売上高が前期比3.4%増の2,550億円、営業利益は同1.1%増の86億円、純利益は同5.8%減の60億円(過去最高)を見込む。3月の2Q発表時、期待されていた通期業績の上方修正がなく、失望売りを招いた。目下の株価は目先的な底練りの展開を続けるが、じきに来期(25年7月期)の増益を見越して再び強気に転じてゆくのではないかと期待される。

内田洋行<8057> 日足(SBI証券提供)

週足のMACDはいったんマイナス圏に沈むも、足元でシグナルラインを上抜けてきている。

Next: まだある企業のオフィス回帰で注目される企業。どれが買い?



ドトール・日レスホールディングス<3087>

外食大手。中核事業会社として「ドトールコーヒーショップ」等を展開するドトールコーヒー(ドトール)、「洋麺屋五右衛門」「星乃珈琲店」など複数業態でレストランを中心にチェーン展開する日本レストランシステム(日レス)を傘下に持つ。

足元は、賃上げを背景にオフィス街でのビジネス客のフードなど、高単価商品の消費が増える。また、インバウンド(訪日外国人客)も回復して、コスト高の影響を補う。

25年2月期に国内で前期比16%増の80店舗の新規出店を計画。25年2月期は、売上高が前期比4.2%増の1,464億円、営業利益は同32.2%増の96億円、純利益は同21.0%増の66億円を見込んでいる。株価は、足元で一目均衡表の週足「雲」のなかに潜り込んでおり、まずは週足の基準線上抜け、次に週足「雲」上抜けの動きになっていくかを見定めたい。

ドトール・日レスホールディングス<3087> 日足(SBI証券提供)

週足のMACDはいったんマイナス圏に沈むも、足元でシグナルラインを上抜け、ゼロ水準まで浮上してきている。そろそろ、プラス水準での値動きになるものと期待される。

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田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』(2024年5月31日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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