今回は3月本決算企業で、9月に中間配当の権利が受け取れる高配当銘柄に注目したい。以下に、9月権利確定の高配当銘柄のいくつかを挙げておく。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年9月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
9月権利確定の高配当銘柄
今回は3月本決算企業で、9月に中間配当の権利が受け取れる高配当銘柄に注目したい。
8月上旬に日本株が急落した後、高配当株の戻りが鈍い。長らく高パフォーマンスが続いていたが、短期志向の海外勢の資金が流出したことなどが響いている。もっとも配当に注目する個人投資家の買い意欲は衰えてはいない。
一般に高配当株は下落局面で底堅いとされる。だが高配当銘柄で構成する「日経平均高配当株50指数」は7月末から8月5日までに日経平均株価と同程度の20%下落となった。その後30日までの上昇率は21%で日経平均(23%)を下回った。この急落局面を買い場とみたのが個人投資家である。
個人投資家の資金は安定的に高配当株に向かっている。QUICK資産運用研究所によると、配当をテーマとする国内株投信は22年5月以降、27カ月連続で流入超過が続いている。週間ベースでは日本株が急落した8月第一週には151億円と3ケ月ぶりの高水準の流入となった。
日本証券業協会が大手証券10社を対象に実施した調査では、NISAの成長投資枠を通じた1~7月の買い付け額は6.5兆円。単純計算では1年に使える成長投資枠のうち2割程度しか稼働しておらず投資余力は大きいとみることもできる。
以下に、9月権利確定の高配当銘柄の幾つかを挙げておく。
有沢製作所<5208> 中間42円・期末42円(前期は年60円)
プリント基板向け電子材料が主力で、電気絶縁材料や産業用構造材料、ディスプレイ材料等の製造事業を展開。国内と中国市場でスマートフォンや半導体の需要が回復傾向にあり、主力事業である電子材料の売り上げが好調に推移。8月8日に2Q累計の業績予想を上方修正した。
産業用構造材は水処理用が堅調な伸び。また、航空産業の回復でハニカムパネルも伸び、営業益急反発。
25年3月期は、売上高が前期比16.1%増の489億円、営業利益は同2.1倍増の32億円、純利益は同46.4%増の24億円を見込んでいる。
25年夏には、中田原工場(新潟県上越市)内に「イノベーションセンター」が竣工する予定。フレキシブルプリント基板用の電子材料などの生産や開発するための試作機(アイコーター)を導入した工場で、他社や研究機関などと研究開発に取り組む拠点として、新事業の創出を目指す。
年間配当から弾き出される予想配当利回りは5.79%と高水準。
有沢製作所<5208> 日足(SBI証券提供)
株価は目先調整含みで、押し目買いのチャンスと見られる。
インフロニアHD<5076> 30円・30円(前期も年60円)
前田建設や前田道路などの準大手ゼネコンを傘下にもつ持株会社。中核をなす前田建設は、国内民間建築に注力するほか、香港、台湾など海外でも土木・建築工事を積極的に手掛ける。
今期は住宅など建築事業が伸びるうえ、インフラ運営事業でバイオマス発電所の売却益を計上することも利益を押し上げると見られる。土木は前期ほど好採算案件がないものの、官民案件ともに受注時の採算を確保して利益率は高水準。
25年3月期は、売上高が前期比5.9%増の8,399億円、営業利益は同15.6%増の590億円、純利益は同17.9%増の384億円と過去最高益更新を見込んでいる。
インフロニアHD<5076> 週足(SBI証券提供)
足元の株価は、予想PER=8.54倍、実績PBR=0.74倍、予想配当利回り=5.02%と割安圏にあり、週足のMACDはマイナス圏で底打ちから上昇傾向。
Next: 注目が集まる9月権利確定の高配当株。投資するなら?
西松建設<1820> 100円・120円(前期も年220円)
準大手ゼネコンで、ダムやトンネルなど土木に実績があるほか、不動産開発事業にも注力。
完成工事が多かった前期の反動で今期は減収。営業益と経常益は減益だが、前期に特別損失を計上した反動で最終増益の見通し。受注残高は増加傾向にあり、中期経営計画の目標を引き上げている。来期は大幅な増収増益となっておかしくない。
25年3月期は、売上高が前期比14.1%減の3450億円、営業利益は同4.4%減の180億円、純利益は同0.1%増の124億円を見込む。
5月に配当目標を「配当性向70%」から「DOE5%程度」に変更。同業他社に比べ著しく高い水準となっていた配当水準を修正したが、それでも予想配当利回り=4.24%と高水準。
西松建設<1820> 日足(SBI証券提供)
9月3日に年初来高値を更新し、目先はやや高値警戒感がある。
東ソー<4042> 42.50円・42.50円(前期も年85円)
総合化学メーカー大手の一角を占め、塩ビ樹脂や苛性ソーダではアジア最大級の生産規模。
石油化学分野だけでなく、機能商品や水処理事業も展開する。
石油化学事業で製造設備のトラブルが解消し、販売数量が伸びる。また、塩ビやウレタンなど化成品の需要も回復し、医薬向け製品も増加で増収。石炭価格の下落で採算が改善し、今期は増益見込み。
25年3月期は、売上高が前期比8.4%増の1兆円、営業利益は同26.2%増の1000億円、純利益は同2.9%増の590億円を見込んでいる。
東ソー<4042> 週足(SBI証券提供)
足元の株価は、予想PER=10.18倍、実績PBR=0.73倍、予想配当利回り=4.59%と割安圏にあり、当面は一目均衡表の週足「雲」を受け抜けるかどうかに注目しておきたい。
Next: まだある9月権利確定の高配当銘柄。個人投資家が注目すべきは?
日本精工<6471> 17円・17円(前期は年30円/増配)
自動車や工作機械などに使用される各種ベアリング(軸受)が主力製品。ベアリングのシェアは国内で1位(最大手)、世界で3位。
軸受けは自動車向けが堅調。産業機械事業も堅調で、下期には中国や欧州の景気悪化で低迷していた工作機械や半導体装置向け軸受けの需要回復も見込む。中国では電機や鉄道向けも伸びる。
25年3月期は、売上高が前期比3.9%増の8,200億円、営業利益は同31.4%増の360億円、純利益は同2.2倍増の190億円を見込んでいる。
日本精工<6471> 日足(SBI証券提供)
配当方針はDOE2.5%を下限として設定。足元の株価は、実績PBR=0.52倍、予想配当利回り =4.80%という水準にあり、株価の700円処は下値サポートとして意識されやすい水準と見られる。 ※2024年9月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
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』(2024年9月13日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による