マネーボイス メニュー

データセンター増設ラッシュで「HDD」関連銘柄に熱視線!注目の日本企業4社とは=田嶋智太郎

処理速度が速いSSDにシェアを奪われてきたHDDが土俵際から復活。記録容量を大きく増やす革新技術が実用化の段階に入った。データセンター向け記憶装置の需要が急増するタイミングと合致し、HDD市場は再び成長軌道に乗ろうとしている。関わる企業の業績も回復の度合いを強めており、株価の動きが目立って好調な関連銘柄も少なくはない。以下に当該銘柄の幾つかを挙げておく。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)

【関連】外食産業に復活の兆し。恩恵を受けて急成長が見込める「外食サポート企業」5社とは?=田嶋智太郎

※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年10月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

データセンター増設ラッシュで急拡大するHDD市場

データを保存する記憶装置、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)の容量あたりの単価が5年で6割下がり、ハードディスクドライブ(HDD)との差が急速に縮小している。

両者の容量単価は年々近づいているが完全に逆転するとの見方は少なく、HDDの相対的な安さは続きそうだ。データの読み書き速度より保存量の確保が重視されるデータセンター向けの大容量ストレージ市場では、HDDが今後も優位とみられている。

処理速度が速いSSDにシェアを奪われてきたHDDが土俵際から復活。記録容量を大きく増やす革新技術が実用化の段階に入った。データセンター向け記憶装置の需要が急増するタイミングと合致し、HDD市場は再び成長軌道に乗ろうとしている。

調査会社テクノ・システム・リサーチ(TSR)によると、大容量ストレージ(ニアライン)向けHDDの世界出荷台数は24年に5681万台と、23年(3940万台)から4割増える見通し。生成AIの普及を受けて、開発・運用に必要なデータセンターの建設が増える中、「すでに今年分のニアライン向けHDDは売り切れになっている」(HDDメーカー)との声もある。

そんなか、足元ではHDD用ヘッドやHDDモーター HDD向けガラス基板などの需要が急回復しており、関わる企業の業績も回復の度合いを強めている。株価の動きが目立って好調な関連銘柄も少なくはなく、以下に当該銘柄の幾つかを挙げておくこととしたい。

TDK<6762>

11月1日、同社は2025年3月期の連結純利益が前期比28%増の1,600億円になる見通しだと発表。従来予想から320億円上方修正し最高益となる。

業績拡大を後押しするのはICT(情報通信技術)市場の拡大。業績予想の前提となるスマートフォンの世界生産台数は4月時点の11億4,400万台から11億7,500万台に引き上げ、同社製の小型電池やセンサーの販売に追い風になる。小型電池は生成AI搭載スマホなど、新製品の買い換え需要が追い風。

また、データセンター向けの旺盛な投資を背景にハードディスクドライブ(HDD)の世界生産台数も1億2,000万台から1億2,400万台に見直した。HDD用ヘッドの需要が拡大する。

25年3月期(通期)の売上高は前期比0.8%増の2兆1,200億円、営業利益は同27.2%増の2,200億円を見込んでいる。10月1日を効力発生日として1株を5株に分割。分割前換算の年間配当は140円を予想しており、前期の116円から大幅な増配となる。

TDK<6762> 日足(SBI証券提供)

株価は7月11日に分割考慮後の上場来高値を更新。その後はトライアングルを形成しており、当面は上放れのタイミングを見計らいたい。

Next: データセンター増設ラッシュで急拡大するHDD市場…注目企業は?



ニデック<6594>

10月23日発表した2024年4~9月期の連結決算は営業利益が前年同期比5%増の1210億円だった。中国で苦戦したEV駆動装置で受注を絞るなど守りを固めつつ、世界シェア首位のHDDモーターやインフラ関連事業を伸ばした。4~9月期として2年連続で過去最高を更新した。

HDDモーターでは主力のパソコン用途に加えてデータセンター向けが伸びた。AI関連のデータセンター建設ラッシュが続き、ニアラインと呼ぶデータ保存用のHDD需要が急増している。HDDモーターを含む精密小型モーターセグメントの営業利益は74%増の290億円だった。

また、AIデータセンターのサーバーに使う水冷装置も需要が急増。製品開発を進め、25年3月期に同装置で数百億円の売り上げを見込む。

ニデック<6594> 日足(SBI証券提供)

25年3月期は、売上高が前期比6.5%増の2兆5,000億円、営業利益は同48.3%増の2,400億円、純利益は同48.6%増の1,850億円と過去最高を更新する見通し。株価は一目均衡表の週足「雲」の下方で底練りの展開を続けており、当面は週足「雲」上抜けのタイミングを見計らいたい。

日東電工<6988>

HDDに組み込まれる回路基板で高いシェア。生成AIの普及を背景に、データセンター向け回路材料やタブレット端末向け光学フィルムの需要が拡大。データセンター向けの高容量HDDやタブレット端末の生産が想定を上回り、同社製品の需要が増加している。

同社製の「精密回路付き薄膜金属ベース基板」は微妙なバネ特性によって磁気ディスク上わずか10nmの位置に磁気ヘッドを浮上させ、HDDに情報を読み書きさせる信号を伝送する重要な役割を担う。そうした高い技術力・開発力がHDDの大容量化で再評価される。

日東電工<6988> 日足(SBI証券提供)

25年3月期は、売上高が前期比7.3%増の9,820億円、営業利益は同29.4%増の1,800億円、純利益は同26.6%増の1,300億円と過去最高を更新する見通し。

Next: まだある注目のHDD銘柄…どれに投資すべき?



HOYA<7741>

10月31日に発表した2024年4~9月期の連結決算は、純利益が前年同期比17%増の1,000億円と、同期間では最高益となった。

AI向け半導体の量産に欠かせないEUV対応の回路原版「マスクブランクス」が伸びたほか、HDDに使うガラス基板が顧客の在庫整理進展に伴って需要が伸びている。特にAI用のデータセンター向けが拡大。半導体とHDD向けなどを合わせた情報・通信事業は42%の増収となった。

HOYA<7741> 日足(SBI証券提供)

25年3月期(通期)では、売上高が前期比13.3%増の8,640億円となる見通し(利益予想は3Q発表時)。株価は10月10日に上場来高値を更新した。

続きはご購読ください。初月無料です

<初月無料購読ですぐ読める! 11月配信済みバックナンバー>

※2024年11月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。

2024年11月配信分
  • データセンター増設ラッシュで急拡大するHDD市場(11/8)
  • 「拡張力」で驚きの大幅増益を遂げる成熟企業(11/1)

いますぐ初月無料購読!


※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年10月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込1,100円)。

2024年10月配信分
  • マネーの逃避先として注目度を高める建設関連株(10/25)
  • 二極化する小売業の勝ち組企業に注目(10/18)
  • 技術力が光る!二次電池関連の中小型株(10/11)
  • 防衛関連以外の「石破新首相銘柄」(10/4)

2024年10月のバックナンバーを購入する

2024年9月配信分
  • 中小型の半導体関連株に注目(9/27)
  • 中長期的な成長期待が高まるラピダス関連(9/20)
  • 9月権利確定の高配当銘柄(9/13)
  • 拡大が続く「キダルト」市場に注目(9/6)

2024年9月のバックナンバーを購入する

2024年8月配信分
  • あらためてチェックしておきたいエヌビディア関連の素材株(8/30)
  • 石化市況底入れで復活の化学各社(8/23)
  • 好決算銘柄を物色する流れが復活(8/16)
  • 甦る 円高メリットの「生活防衛」銘柄(8/9)
  • 需要拡大が続く人材サービスに注目(8/2)

2024年8月のバックナンバーを購入する

2024年7月配信分
  • 「3高」で最高益の食品株に大注目(7/26)
  • 決算発表シーズン到来前、相場の潮目に変化の兆し(7/19)
  • 「エッジAI」拡大期待で再注目のMLCC(7/12)
  • 小粒でもニッチな市場でトップシェア(7/5)

2024年7月のバックナンバーを購入する

2024年6月配信分
  • 今期最高益更新見通しの自動車部品各社に注目(6/28)
  • ますます需要拡大の「超純水」に関わる好業績企業(6/21)
  • 景気回復の欧州で売り上げを伸ばす企業(6/14)
  • 成長のインドで伸びる企業(6/7)

2024年6月のバックナンバーを購入する

2024年5月配信分
  • オフィス回帰で活躍の場を広げる企業に注目(5/31)
  • パリ五輪開催に向けて動意づく!?関連銘柄(5/24)
  • 前倒しの夏商戦関連で好業績期待の銘柄(5/17)
  • 前倒しでスタートした!夏商戦(5/10)
  • 好決算や還元策の発表等で株価急騰の注目企業(5/3)

2024年5月のバックナンバーを購入する

2024年4月配信分
  • 需要拡大のデータセンターを支援する企業(4/26)
  • すそ野広がる半導体関連産業に脚光(4/19)
  • 好決算の発表相次ぐアパレル各社(4/12)
  • 人気復活のブランド品リユースに注目(4/5)

2024年4月のバックナンバーを購入する

2024年3月配信分
  • 中長期の企業価値向上が期待される令和5年度「なでしこ銘柄」(3/29)
  • 節約志向を追い風に伸びる食品スーパー(3/22)
  • 高評価まで「もう一息」の好業績銘柄(3/15)
  • 好業績&高配当が魅力の3月決算企業 権利取りの動き強まるか(3/8)
  • 成長期待高まる「中堅企業」に注目!(3/1)

2024年3月のバックナンバーを購入する

2024年2月配信分
  • 北米で活躍の舞台を広げる好業績企業(2/23)
  • 今、なぜ海外投資家は日本株投資に注力し始めたのか(2/16)
  • 「新たな夜明け」に沸く九州関連銘柄(2/9)
  • 好業績&高配当が魅力の2月決算銘柄(2/2)

2024年2月のバックナンバーを購入する

2024年1月配信分
  • 活躍の舞台拡がる!外食サポート企業(1/26)
  • 人気沸騰 半導体関連銘柄の見どころ その2(1/19)
  • 株価上昇の勢い増す!半導体関連銘柄の見どころ(1/12)
  • 新NISA導入で「好業績&高配当銘柄」に脚光(1/5)

2024年1月のバックナンバーを購入する

【関連】急成長する国産「二次電池」業界、投資家が注目すべき日本企業4社とは?=田嶋智太郎

【関連】高配当株「JT」の高配当は今後も続くか?老後資金の柱にするリスクと3つの落とし穴=佐々木悠

【関連】インデックスファンドより面白い、独立系投信を“5つのP”で徹底比較!ひふみ・スパークス・鎌倉.あなたが買うべきは?=佐々木悠

image by: TimeStopper69 / Shutterstock.com

田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』(2024年10月27日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。