リユース市場の拡大が止まらない。古着をはじめとするリユース商品は、Z世代を中心に環境意識の高まりとともに支持を集め、急成長を続けている。日本国内でもその勢いは顕著で、ファッションリユース市場の規模は今後も大きく伸びる見通しだ。本記事では、リユース市場の最新動向と、注目すべき代表企業の動きを解説する。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2025年1月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
なおも拡大が続く!リユース市場
いまや「古着やレンタル市場の拡大は世界的な潮流」であるという。2050年ごろには、世界の古着市場が新品の半分程度になっていてもおかしくないというほどの勢いである。
日本の古着市場も急成長している。矢野経済研究所(東京・中野)によると、ファッションリユース(中古)市場は26年に1兆4,900億円と24年比16%増える見通し。国内の古着市場が世界の潮流と同じように新品の半分まで拡大した場合、50年代には現在の約2倍の規模に達する。
実のところ、古着が選ばれる背景のひとつには、Z世代など若者の環境意識の高まりがある。博報堂が8月に公表した生活者調査では、10~20代の2人に1人が買い物の際に「新品を買わずに中古品を買う」ことを意識していた。
古着のみならず、書籍、家電・携帯電話、腕時計、スポーツ・アウトドア用品、ホビーなどなど、リユース市場は多様に拡大を続ける。現在約3兆円規模の国内市場も、30年には4兆円規模となる見通しだ。
そこで、以下に衣料を中心に広くリユース品を取り扱う代表的な企業を挙げておきたい。
ハードオフコーポレーション<2674>
物価高や環境意識の高まりを背景に、新品より安価なリユース品の市場が拡大。積極的な出店を重ねて昨年11月に国内外1,000店舗を達成。1993年に新潟県で1号店を開業し、その後国内外で店舗網を広げてきた。
売上高は28期連続増収、純利益は2期連続最高益となるなど業績も好調。リユース市場は今後も拡大するとみており、長期的に3,000店舗突破を目指す。今期の中間期末時点で、既存店売上高はアパレルやゲーム、楽器などの販売増が貢献して7.6%増と好調に推移。37カ月連続の前年超え。
前期にオープンした直営店23店舗及び当期にオープンした13店舗の寄与により、全社売上高は14.0%増。過去最高を更新。25年3月期は、売上高が前期比8.8%増の327億円、営業利益は同12.3%増の31億円、純利益は同1.3%増の21億円と、3期連続で過去最高を更新する見通し。
ハードオフコーポレーション<2674> 週足(SBI証券提供)
株価は、昨年7月に上場来高値(=2,281円)を付けて以降、調整含みで推移するも、一目均衡表の週足「雲」下限が下値をガッチリ支えている。足元の水準は、予想PER=11.8倍、配当利回り=4.08%と割安感が漂う。
ゲオホールディングス<2681>
今期の中間期末時点で、書籍、ゲーム等のレンタル、中古・新品販売を複合展開する「GEO」の店舗数は1,065店、古着等を扱うリユースショップ「セカンドストリート」は国内853店。
年々、GEOの店舗数が減少し、一方で「セカスト」の店舗数は国内、米国、台湾、マレーシア、タイで其々増加傾向を続けている。なおも、衣料服飾雑貨等のリユースに転換中の状態にあり、徐々にビジネスモデルの転換が収益に貢献する体制が築かれる。
前期、家庭用ゲーム機の販売が好調だったうえ大型新作タイトルのリリースがあったことより大幅な増収増益となったが、今期は大幅な反動減となる見通し。25年3月期の営業利益は前期比28.6%減の120億円と見込んでいる。
「セカンドストリート」の米国店舗数(24年11月末時点で43店舗)は、2028年までに2倍強の100店にする方針。国内事業で培った精度の高い値付けシステムや査定する人材は強みになる。
ゲオホールディングス<2681> 週足(SBI証券提供)
株価は、足元で52週移動平均線を上抜ける動きを見せており、結果的に週足のMACDが久しぶりにプラス圏に浮上してきた。中長期目線で、興味深い展開となってきている。
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ブックオフGホールディングス<9278>
1月10日に発表した2025年5月期2Qの連結決算は、純利益が前年同期比29%増の9億1,200万円。国内の中古品販売でアニメキャラクターのフィギュアなど趣味商品の売れ行きが好調だった。
国内ブックオフ事業において、トレーディングカード・ホビー、アパレル、書籍、家電・携帯電話などの好調も続く。また、海外事業セグメントでは、アメリカ国内の「BOOKOFF」、マレーシア・カザフスタンの「Jalan Jalan Japan」それぞれにおいて、既存店の伸長と新規出店が寄与し、売上高が前年同期を上回ったことで、第2四半期売上高2,933百万円(前年同期比130.4%)、セグメント利益414百万円(同101.4%)となっている。
25年5月期(通期)は、売上高が前期比7.5%増の1200億円、営業利益は同14.7%増の35億円、純利益は同23.2%増の21億円を見込んでいる。
ブックオフGホールディングス<9278> 週足(SBI証券提供)
株価は、目下のところ一目均衡表の週足「雲」上限の水準に上値を押さえられているが、徐々に過去のしこりは解消されつつあり、週足のMACDはゼロ水準に位置する。
トレジャー・ファクトリー<3093>
総合業態の「トレジャー・ファクトリー」中心に服飾専門店、スポーツ・アウトドア専門店、大型品専門店など業態を多様化し、関東と関西でドミナント展開している。
主力の衣料の高い伸びに加えて、ブランドバッグなどの服飾雑貨や電化製品、ホビーなども好調。夏に伸びが一服した訪日客需要も下期になって勢い戻ってきている。
1月14日に25年2月期3Qを発表。衣料が秋冬物需要の伸びを受け、売上高は前年同期比22.7%増。また、外国人観光客向け販売の伸長などから、ブランド品や腕時計などの服飾雑貨は前年同期比24.0%増となった。ホビー用品は、前期にグループに加わったゴルフリユース業態の売上貢献とアウトドアやスポーツ用品が堅調に推移していることから同54.8%増と高い伸び。
トレジャー・ファクトリー<3093> 週足(SBI証券提供)
25年2月期は、売上高が前期比21.5%増の418億円、営業利益は同20.7%増の31億円、純利益は同21.5%増の27億円と、過去最高を更新する見通し。
Next: まだある「リユース市場」の成長に乗る有名企業…投資するなら?
ワールド<3612>
ご存じ!総合アパレル大手。「アンタイトル」「インディヴィ」「タケオキクチ」など多数のブランドを展開するが、近年は子会社のティンパンアレイが展開する高級ブランドの古着専門店「ラグタグ」の成長が波に乗る。
24年3月からはオフプライスストア「アンドブリッジ」を展開する(株)アンドブリッジを連結子会社化して、ティンパンアレイとの事業連携やノウハウの共有に注力。今後のシナジー効果に期待がかかる。
古着事業においては、海外旅行客のインバウンド需要も追い風となっている。25年2月期は、前期が11カ月の変則決算だったため単純比較はできないが、売り上げ、利益とも大きく伸びている。
ワールド<3612> 週足(SBI証券提供)
株価は、この1月に昨年来高値をつけてきたが、それでも予想PER=7.60倍台、実績PBR=1.0倍、予想配当利回り=3.24%と割安。目先は一定のスピード調整も必要と思われるが、浮上中の26週移動平均線あたりまで調整してくれば、そこで下値が支えられると見られる。 ※2025年1月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2025年1月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。 ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込1,100円)。
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田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
』(2025年1月24日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による