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日銀「年内利上げ」観測で注目の銀行株…いま買うならどれ?株価上昇が見込める4銘柄=田嶋智太郎

このところ、市場で銀行株への注目度合いがあらためて高まっている。米中が関税率を引き下げることで景気後退の懸念が緩和。日銀が堅持する利上げ路線を後押しするとの見方が広がっている。今後ますます注目度を高めそうな銀行株を以下に挙げておきたい。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)

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※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2025年5月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

「年内利上げ」観測で注目される銀行株

このところ、市場で銀行株への注目度合いがあらためて高まっている。米中が関税率を引き下げることで景気後退の懸念が緩和。日銀が堅持する利上げ路線を後押しするとの見方が広がっている。

日銀は今週13日、4月30日~5月1日開催の金融政策決定会合の「主な意見」を公表。「実質金利は大幅なマイナスで、利上げしていく方針は不変」、「米国の政策転換次第で追加的な利上げを行う」など、利上げを意識した意見が持ち込まれていた。こうしたことを受けて日銀の金融政策に関する予想も大きく変化。4月に一時10%に低下していた年内追加利上げの確率予想値は足元で79%に上昇している。

そんななか、15日までに5大銀行グループの2025年3月期決算が出そろった。合計の連結純利益は前の期比30%増の4兆3,973億円となり、2年連続で最高益を更新。勢いは今期も続き、26年3月期の純利益は計4兆7,600億円と3年連続の最高益をうかがう。

また、地方銀行は上場する73行・グループの連結純利益の合計が前の期比29%増の1兆2,519億円となり、9期ぶりに過去最高を更新。日銀の利上げに伴って、各行は貸出金利の基準となる短期プライムレート(短プラ)を0.4%引き上げ、利息収入を増やした。9割(64行)が増益か黒字転換となり、4割(26行)が最高益を更新。26年3月期も最高益を更新する見通しとしている。

むろん、トランプ米政権の関税政策による影響が懸念されるところは大いにある。とはいえ、それを前提に今期の業績見通しをかなり保守的に見積もっている銀行も少なくない。製造業が集積する地域の地銀も業績を慎重に見積もる傾向が見られている。

その意味で、銘柄選択には十分な慎重さが求められることを心得たうえで、今後ますます注目度を高めそうな銀行株を以下に挙げておきたい。

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>

同社は、26年月期の連結純利益で初の2兆円を予想し、自己資本利益率(ROE)の10%台乗せも視野に入れる。

25年3月期は、経常収益が前期比14.6%増の13兆6299億円、経常利益は同25.4%増の2兆6694億円、純利益は同25.0%増の1兆8629億円と過去最高を更新した。年間配当は64円(24年3月期は41円)を見込み、26年3月期は70円程度と予想。配当性向は40%程度を基本としていており、予想配当利回りは足元で3.5%程度と考えられる。

26年3月期は、前期利上げで貸出金利息が一段増となる見通し。また、有証利息配当金や資産運用など手数料も好調に推移すると見込まれる。

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306> 週足(SBI証券提供)

株価は、今年3月に上場来高値=2,239.5円を更新し、後に大きく調整を交えるも、すでに下落幅の61.8%戻しを達成して2,000円台回復を視野に入れる。

八十二銀行<8359>

2025年3月期の連結決算は、純利益が前の期比で29%増の479億円。2期連続で最高益を更新し、26年3月期も八十二銀行を軸に預貸金利ザヤが拡大する見通し。

中小企業向けの貸出金が着実に増加傾向を辿っており、有証利息配当金も増勢。経常増益が続くと見られている。日銀の政策金利引き上げを受けて貸出金利息を伸ばしているほか、株式などの売却益も増加。25年3月期の期末配当は従来予想から8円増配し年間42円とする(前の期は年間24円)。26年3月の年間配当も52円と連続増配を見込んでいる。

八十二銀行<8359> 週足(SBI証券提供)

3月には静岡銀行、山梨中央銀行と包括業務提携を締結。3月下旬に年初来高値(=1169.5円)を更新し、後に783.4円まで下押す場面もあったが、5月半ばまでに再度年初来高値を更新し一時は1,213円まで上値を試した。

足元の予想配当利回りは4.6%前後と魅力の水準。PBRは0.54倍の水準に留まっており、株価の上値余地は十分と見られる。

Next: まだある注目の銀行株。投資するなら…



楽天銀行<5838>

今週12日に発表した25年3月期(前期)決算と同時に公表された26年3月期(今期)予想がサプライズとなり、13日の株価はストップ高となった。

前期は、経常収益が前の期比で33.7%増、経常利益は同47.8%増、純利益は同47.4%増の508円となり、会社計画の489億円を大きく上回った。続く今期も、経常収益が前期比33.7%増、経常利益は同27.5%増と大きく伸びる見通しで、純利益は同26.7%増の634億円と市場コンセンサスを大きく上回る会社見通しとなっている。

楽天グループの顧客基盤を活かしたクロスセルが奏功し、口座数と預金残高が順調に増加。メイン口座率も上昇が続いており、前期は32.7%に達している。事業規模が急拡大していることによって経費率が大幅に低下している点は目を見張る。

楽天銀行<5838> 週足(SBI証券提供)

株価は、足元で調整含みとなっているが、当面の下値余地は限られると見られる。

NEXT FUNDS 東証銀行業株価指数連動型上場投信<1615>

東証銀行業株価指数(配当込み)に連動する投資成果を目指す上場投資信託(ETF)。毎年7月15日を決算日とし、年1回の収益分配を行う。

4月末時点の組入銘柄数は68で、3メガバンクをはじめりそなホールディングス、三井住友トラストグループ、コンコルディア・フィナンシャルグループ、千葉銀行、しずおかフィナンシャルグループ、めぶきフィナンシャルグループなどが組み入れ上位銘柄。

NEXT FUNDS 東証銀行業株価指数連動型上場投信<1615> 週足(SBI証券提供)

4月末時点の騰落率(分配金再投資)は、過去1年で14.7%、3年で141.9%。銀行株を個別にチョイスしなくとも、全体に日銀利上げのメリットが享受できる。

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image by: yu_photo / Shutterstock.com

田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』(2025年5月16日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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