今の問題は「イケイケの株式市場が正しいのか?悲観的な債券市場が正しいのか?」です。どちらに転んでも「大幅調整」は起こるはずですが、トランプ政権とイエレンFRBは、すでに「その後」の話までつけているように思えます。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)
※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2017年3月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
予測される「大幅調整」と、その後の「金融緩和への大転換」とは
3度目の利上げ決定も、ハト派色が目立つFOMC
イエレンFRB議長は3月14~15日に開催されたFOMCで、サブプライム危機後「3度目」となる利上げに着手しました。2015年12月、2016年12月に続く追加利上げです。政策金利を0.75%-1.00%へと引き上げました。
この日のFOMCの政策の中身は、昨年12月FOMCのそれとほぼ変わらず、その後の記者会見の内容もまるっきり「ハト派色」の強いものでした(将来の利上げに対し慎重な見方)。
そのため「ではどうして、この3月に唐突に利上げを急いだのか?」ちょっと分からないことになっています。イエレンFRBは次の「大転換」に備えて、「金利政策の余地を作るために利上げを急いだ」としか言いようがない状況です。
マーケットの事前予測では、イエレンFRBが「タカ派的な色彩を強める」との予測が大半を占めていました(将来の利上げに対し積極的な見方)。事前の予測では、「イケイケで過熱気味なアメリカ株式市場のクールダウンに動く」「そのために年4回の利上げを発表する」という見方がもっぱらでした。
当メルマガでは、もっとタカ派的に、「イエレンFRBはフォワードガイダンスを廃止する」とまで予測していましたが、これは「大間違い」でした…。
現実には、この日のFOMCは、「3月利上げ分も含めて、年内3回の利上げ」を予告しました。すこぶる「ハト派的=金融緩和的」な内容ですが、その後の記者会見でイエレンFRB議長は、アメリカ経済の回復基調に自信を強め、「アメリカ経済の回復宣言」とも受け止められる発言を高らかに繰り返しました。
3月FOMCでの発表の中身をまとめると、
・教科書的には、イエレンFRBの景気刺激的な低金利政策は向こう2年継続する
・教科書的には、イエレンFRBの金融政策が景気刺激的でも景気抑圧的でもない「中立」にまで引き挙げられるのは2019年になる
…ということになります。
Next: 現在は、超大型バブル形成前のほんの前座の「ミニバブル」なのか?
現在は、ほんの前座の「ミニバブル」なのか?
3月15日のFOMC後は、イエレンFOMCが利上げへと動いたにもかかわらず、アメリカの長期金利は、2.57%(3月15日)から2.47%(3月21日)へと低下しました。
おかげで、ドルは下落し、アメリカ株式市場も横ばいのまま「調整局面入り」を何とか免れています。出遅れ感のあるヨーロッパ株式市場と新興国株式市場は、「うなり」をあげて上昇してました。
同様に出遅れ感があるものの、東芝問題や北朝鮮の地政学的リスクに揺れる日本株式市場では、積極的に買い支える主体は日銀しか存在しません。が、大幅に売られる気配もありません。
なぜならば、イエレンFRBが利上げに舵を切る中でも、日欧では中央銀行がマネーのバズーカ砲を継続しているからです。
ドラギECBは、月間800億ドルペース、年間1兆ドルペースで「マネーのバズーカ砲(量的金融緩和)」を継続しています。黒田日銀は、10年金利をゼロ近辺で固定(ペッグ)しながら、年間およそ80兆円規模で、「マネーのバズーカ砲(量的金融緩和)」を継続。世界中で、プリンティングマネーが溢れかえっているのです。
じゃぶじゃぶマネーが株式を買い支える一方で、各国の国債を含む債券をも買い支えて、債券価格を押し上げて利回りを低下させているわけです。長期金利が安定しているので、株価の高値が維持できているわけです(ゴルディロックス相場=適温相場)
でも、これほど壮大な「ゴルディロックス相場(適温相場)」は、いつまで続いてくれるのでしょうか?
もしかしたら、ひょっとすると…今現在の内外株式市場のバブル状態は、「イエレン教授の教科書」通りならば、向こう2年は継続し、2019年あたりには「超大型バブル」を形成して、その後に弾ける――というストーリーも説得力が出てきた気がします。
今の「トランプラリー」は、超大型バブルが形成される前の、ほんの前座の「ミニバブル」に過ぎないのかもしれません。
現在進行形の「トランプラリー」は、まだまだ「ミニバブル」程度のもので、次の調整を乗り越えたならば、その後は「とてつもないバブル」が始まるのかもしれません。
Next: トランプ政権とイエレンFRBはどんなシナリオを描いているのか
トランプ政権とイエレンFRBのシナリオ
私たち個人投資家にとって、とてもとても重要なのは、このような景気刺激的な低金利策が向こう2年間継続した場合に、「イエレンFRBは長期金利までをもコントロールすることが可能なのか?」という問題です。
「将来とも景気回復が続くとして、その景気回復を見越して、途中で長期金利が急騰する場面がそろそろあるのではないのか?」あるいは、「期待先行で急上昇してきたトランプラリーだが、そろそろ市場はトランプノミクスに幻滅するのではないのか?」ということです。
100歩譲って、イケイケの株式市場が正しく、悲観論が支配する債券市場が間違っているとするならば、将来の景気回復を見越して近いうちに長期金利が急騰して、必ずや大幅な調整局面が訪れるはず。
逆に、イケイケの株式市場が間違っていて、超悲観の債券市場が正しいならば、近いうちに期待が剥落して、質への逃避が巻き起きて、長期金利が急低下し株価は調整するはず。
どっちに転んでも大幅調整するはず、というお話は、先週号でもお伝えしたと思います。
イエレンFRBは、3月15日のFOMCで、「3月利上げも含めて2017年内に3回の利上げ」を予測できるくらいにはアメリカ経済の回復に自信を持っているものの、この長期金利だけは、イエレンFRBのコントロール外にあります。イエレンFRBは、QE(量的金融緩和政策)を停止しており、長期金利までもはコントロールできません。
「金融“緩和”策」への大転換?
トランプ政権とイエレンFRBの間では、「近いうちの大幅修正」が起きた後の「金融“緩和”策」について、すでに話がついているかもしれません。
イエレンFRB議長が、FOMC後の記者会見で語ったように、イエレン氏は短時間ながらもトランプ大統領やその側近たちと実際に会っているようです。ムニューチン新財務長官とも2回ほど会見して、「強い信頼関係を構築できる」「良好な意見交換を行っている」とのこと。
もし「近いうちの大幅調整」が訪れたならば、その後の「金融緩和への大転換」は必
至でしょう。この場合の「金融緩和」とは、一概に「利下げ」だけを意味するものではありません。
「年3回の利上げ」予定を「年2回の利上げ」予定へ、あるいは「年1回の利上げ」へと修正するだけでも、それは「金融緩和への大転換」を意味するのです――
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1. 3月14-15日のイエレンFOMCの中身
2. 再び始まった「壮大なゴルディロックス相場」
今現在の「トランプラリー」は、「超大型バブル」前の「前哨戦(=ミニバブル)」?
3. ゴルディロックス相場はいつまで続くのか?
QE後のイエレンFRB議長は、さすがに長期金利までもコントロールできない!
4.トランプと面会しているイエレンFRB議長
大幅調整した後は、「年2回利上げ」「年1回利上げ」へと「大転換」
(「大幅調整」前に急いで利上げしたイエレンFOMC)
5. その後のロバート・シラー博士はかく語りき
アメリカ株式市場は、ボックス相場入りへ?
※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2017年3月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』(2017年3月21日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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