S&P500は史上最高水準へと駆け上がり、投資家の資産を大きく膨らませている。好調な企業業績とAIへの期待が背景にある一方、バフェット指数は200%超、シラーPERは37.87という歴史的な割高水準を示している。過熱感を警告する声は強まるが、楽観に包まれた市場はなお上値を追い続けている。バブル的な熱狂が続くなか、個人投資家はどのように向き合うべきなのか。(『 鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編 鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編 』鈴木傾城)
※有料メルマガ『鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編』2025年8月24日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
絶好調の米国株
S&P500が上昇を続けている。現在は6,466ドルであり、記録的な上昇と言ってもいい。S&P500関連銘柄を保有している投資家は絶好調のはずだ。私もETF【VTI】をかなり大きく保有しているので資産は膨れ上がった。
S&P500 月足(SBI証券提供)
VANGUARD TOTAL STOCK MARKET ETF<VTI> 月足(SBI証券提供)
この背景には、好調な企業業績とAI技術への期待がある。特にテクノロジーセクターが市場を牽引し、投資家の楽観ムードがずっと続いている。【VTI】もこうした銘柄が大きく含まれているので、成長はすべて取り込んでいる状態だ。
株式市場は過熱中?著名投資家たちが警告しているが…
悪い話ではない。だが、一部では過熱感を指摘する声もある。トランプ関税による混乱、インフレの再燃、地政学的リスク、FRB(連邦準備銀行)の金融政策の変化など、リスク要因はいくつもあるからだ。
現在、バフェット指数は213.3%に達しており、これは歴史的に見ても極めて高い水準である。この指標は、株式市場全体の時価総額を名目GDPで割ったものであり、株式市場の規模が実体経済をどれほど上回っているかを測る目安である。
一般的に100%を超えると警戒域とされ、150%を超えると過熱感が強いと見なされる。そのため200%を大幅に上回る現在の数値は、株式バリュエーションが極端に膨張していることを示している。
このような過熱状態にもかかわらず株価がさらに上昇しているのは、AI関連をはじめとした成長期待による投資家の熱狂が大きい。特に生成AIや半導体分野は投資マネーを強力に引き寄せ、その熱狂は驚くほどだ。
この状態をOpenAIのCEOサム・アルトマンは「バブル状態である」「市場のAIへの期待はすでに過剰である」と断言している。世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツを率いるレイ・ダリオも、同じ意見だ。
アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロックも「現在のAIバブルは、ドットコムバブルよりも大きい可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
だが、バブルの局面では、多くの投資家がリスクを意識しつつも「音楽が止まるまでは踊り続ける」心理に支配されるため、過熱が自律的に沈静化することは少ない。短期的にはさらなる上値追いも否定できず、バブル的な上昇相場が続く可能性は高い。
では、私たちはどうしたらいいのだろうか?
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今、米国株式市場は割高な水準にあることを示唆
もちろん、「AIはこれまでの技術とは違う」「AIは特別なものなのバブルに見えるがバブルではない」という声もある。「AIの潜在能力はこんなものではないので、AI銘柄は高く見えてもそれは正当化できる」
それで、パランティアのように、100円のものが1万2,000円で買われるような評価がつくものもある。「AIの成長はすごいので、100円のものを1万2,000円で買ってもまだ安い」というわけだ。
こうした評価を含めて米国株は上昇し、S&P500連動ETFの【VOO】【VTI】、果ては高配当ETF【VYM】も一緒に上昇していることになる。そして、バフェット指数が200%超というところにまで到達した。
2025年8月時点のシラーPERを見ても37.87と報じられており、これは歴史的な平均値である17.0程度を大きく上回る水準である。
シラーPERは、ノーベル賞経済学者ロバート・シラー氏が考案した株式市場のバリュエーション指標である。S&P500の現在の株価を、過去10年間のインフレ調整済み平均利益で割って算出される。
これにより、景気循環による一時的な業績変動を平準化し、より長期的な視点から市場の過熱感を判断することが可能となる。平均値が17.0のところ、現在は37.87なのだから、やはり過熱感が強いのが見て取れる。
この高い数値は、現在の米国株式市場がITバブル期や1929年の大恐慌前夜といった、過去のピーク時と同様に割高な水準にあることを示唆している。にもかかわらず、投資家は楽観に包まれている。
一般的に、シラーPERが高い場合は将来の株式リターンが低くなる可能性がある。個人的にも、長期投資家が今の状況から米国株を買っても、たいして「おいしい状況」にはならないだろうと考えている。
過去の統計からも、市場全体のバリュエーションが極端に割高な水準に達した場合、その後10年程度のリターンは限定的になる傾向が確認されている。すなわち、今の高バリュエーションが続けば、将来の実質的な投資成果は大きく削がれる可能性が高いということである。
大勢が強気であればあるほど、市場はより危険に
もちろん、バブルはいつ破裂するのかわからない。膨らまされた風船がいつ破裂するのかわからないのと同様で、投資家は「まだ大丈夫」「もっと上がる」「もっと膨らむ」「まだ儲かる」「今降りるのは馬鹿だ」と、どんどんリスクを負う。
「これから利下げがきて、パーティーはもっと盛りあがる」という声もある。実際、パウエル議長が利下げをほのめかす発言をした瞬間に、株式市場は湧き上がって最高値をつけた。バブルは意外に長く持つのはよく知られている。
市場はどんどん利下げを織り込みにいっているし、たしかにそんなところで株式市場から足抜けしたら、「馬鹿ではないか?」と思われてもしかたがない。バブルの高揚感は強烈であり、参加しなければ機会損失に感じられる。
だが、大勢が強気であればあるほど、市場はより危険になる。
私自身は、すでに今年のはじめから―― この記事の著者・鈴木傾城さんの新著『圧倒的「病み垢」女子』(刊:四汐舎)が8月26日に出版されました。 「病み垢界隈」とは、心に傷や孤独を抱える若者たちが集まる匿名コミュニティ。ここでは「病んでいる」ことがアイデンティティとなり、自傷行為やオーバードーズが赤裸々に語られ、共感の「いいね」が飛び交っています。 その闇を体現する「やむやむさん」は、機能不全家族での育ち、家庭内暴力、発達障害による生きづらさといった壮絶な背景を持ち、オーバードーズを「人生そのもの」と語り、常に死を意識して生きています。社会が「排除」や「矯正」を試みても、彼女は自ら助けを求めることなく、ただ「楽になりたい」という思いで死の計画を練り続けるが――。 鈴木傾城氏による彼女へのロング・インタビューを通じて、現代社会の裏側で静かに、しかし強烈に生きる「病み垢女子」の実態が明らかになります。ぜひ、本書をお手にとってご覧ください! 『圧倒的「病み垢」女子』 (著:鈴木傾城/刊:四汐舎) <目次>
新刊情報:『圧倒的「病み垢」女子』
はじめに
うち、生きることに執着ないんで
第1章 [過剰摂取]
目を閉じると星が流れる
60錠から80錠を一気に飲む
ODしていたら幻覚で見える子がいる
ODしてるから正常に戻ってる
救急車に乗ったのは20回くらい
第2章 [試行錯誤]
1時間くらい吐いてた
これでやっと死ねっかな、みたいな感じ
自分を客観的に、もうひとりの自分が見てる
いろいろ試してメジコンに戻った
第3章 [ボーダーライン]
集中力が続かない
14歳にして、鬱病
聴覚過敏なのに、聞き取れない
出かけるときは鍵をかけない理由
第4章 [自殺志願者]
人間、死にたいのが普通
2回結婚していて2回離婚している
出会い系で知り合って1年くらいで……
会ったその日、彼は万引きしてた
絵に描いたような自滅型
ちょっと危ないからシェルター入ろうか
致死量レベルでオーバードーズ
第5章 [人体実験]
身体の中の邪悪なもの
瀉血、ピアス、タトゥー、首絞め
眠剤飲んでも、ぜんぜん眠れない
生きてて意味がないという感覚がある
人体実験してるなんて言われてたことがある
結局、病み垢界隈をさまよって生きている
第6章 [家庭崩壊]
生まなきゃ良かったと言われた
今日の分は、これでしのいでね
両親がパチンコに狂って家庭が崩壊
父親は逮捕、母親は死去
近親相姦
レイプ、そして中絶
第7章 [死ぬ計画]
血を吐いて助からなかった
亡くなったせどさんのこと
最後あたりは顔がパンパンに
リスカ以外に、アムカやレグカもある
どうやって死ぬか計画を練っている
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- 歴史的な高値圏の米国株式市場。もっと上がるかもしれないが私はこう考えている(8/24)
- 平均的な収入で生きている投資家が「億超え」の資産を作りたいと思うのであれば(8/17)
- 「100円のものを1万2,000円で買う」ような投資をしている人が大勢いる理由とは?(8/10)
- 株式市場が暴落したら配当率は上昇。暴落したらむしろ買いたくなるのが配当投資(8/3)
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『
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マンさんの経済あらかると
』(2025年8月24日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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弱肉強食の資本主義が蔓延し、格差が急激に広がっていき、いよいよ日本人の間にも貧困が蔓延するようになってきています。経済暴力の中で日本人がどのように翻弄されているのかを、危険なまでの率直さで取り上げ、経済の分野からいかに生き延びるかを書いているのがこのメルマガ編です。