S&P500は史上最高水準へと駆け上がり、投資家の資産を大きく膨らませている。好調な企業業績とAIへの期待が背景にある一方、バフェット指数は200%超、シラーPERは37.87という歴史的な割高水準を示している。過熱感を警告する声は強まるが、楽観に包まれた市場はなお上値を追い続けている。バブル的な熱狂が続くなか、個人投資家はどのように向き合うべきなのか。(『 鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編 鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編 』鈴木傾城)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
絶好調の米国株
S&P500が上昇を続けている。現在は6,466ドルであり、記録的な上昇と言ってもいい。S&P500関連銘柄を保有している投資家は絶好調のはずだ。私もETF【VTI】をかなり大きく保有しているので資産は膨れ上がった。

S&P500 月足(SBI証券提供)

VANGUARD TOTAL STOCK MARKET ETF<VTI> 月足(SBI証券提供)
この背景には、好調な企業業績とAI技術への期待がある。特にテクノロジーセクターが市場を牽引し、投資家の楽観ムードがずっと続いている。【VTI】もこうした銘柄が大きく含まれているので、成長はすべて取り込んでいる状態だ。
株式市場は過熱中?著名投資家たちが警告しているが…
悪い話ではない。だが、一部では過熱感を指摘する声もある。トランプ関税による混乱、インフレの再燃、地政学的リスク、FRB(連邦準備銀行)の金融政策の変化など、リスク要因はいくつもあるからだ。
現在、バフェット指数は213.3%に達しており、これは歴史的に見ても極めて高い水準である。この指標は、株式市場全体の時価総額を名目GDPで割ったものであり、株式市場の規模が実体経済をどれほど上回っているかを測る目安である。
一般的に100%を超えると警戒域とされ、150%を超えると過熱感が強いと見なされる。そのため200%を大幅に上回る現在の数値は、株式バリュエーションが極端に膨張していることを示している。
このような過熱状態にもかかわらず株価がさらに上昇しているのは、AI関連をはじめとした成長期待による投資家の熱狂が大きい。特に生成AIや半導体分野は投資マネーを強力に引き寄せ、その熱狂は驚くほどだ。
この状態をOpenAIのCEOサム・アルトマンは「バブル状態である」「市場のAIへの期待はすでに過剰である」と断言している。世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツを率いるレイ・ダリオも、同じ意見だ。
アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロックも「現在のAIバブルは、ドットコムバブルよりも大きい可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
だが、バブルの局面では、多くの投資家がリスクを意識しつつも「音楽が止まるまでは踊り続ける」心理に支配されるため、過熱が自律的に沈静化することは少ない。短期的にはさらなる上値追いも否定できず、バブル的な上昇相場が続く可能性は高い。
では、私たちはどうしたらいいのだろうか?
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