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パワー半導体銘柄に再評価の波。データセンター需要で株価上昇が見込める日本企業4社とは?=田嶋智太郎

電気自動車(EV)需要の減速で逆風にさらされてきたパワー半導体が、ここにきて新たな成長局面を迎えている。膨大な電力を消費するデータセンター向け需要の拡大を追い風に、高効率電源を支えるキーデバイスとして存在感を急速に高めているのだ。SiCやGaNといった次世代素材の進化も重なり、市場規模は拡大基調が続く。AIインフラ投資が本格化するなか、“第2のキオクシア”とも呼べるスター銘柄は生まれるのか。主要企業の動向を整理する。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)

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プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

データセンター向けで見直されるパワー半導体

ここにきて、市場で「パワー半導体」の関連株が見直しの潮流に乗り始めている。これまで、パワー半導体は電気自動車(EV)の世界的な需要減速に伴って向かい風にさらされる場面が続いていた。ところが最近は、膨大な電力を必要とするデータセンター(DC)において、高効率の電力館間ニーズに対応するキーデバイスとして引き合いが殺到し始めているという。

それは、スマートフォンやパソコン(PC)向けというイメージが強かったため、先端半導体関連人気の蚊帳の外に置かれて入れていたメモリー半導体が、このところDC向けに爆発的な需要が発生しているのに似た現象と言える。つなり、パワー半導体関連銘柄のなかにも「第2のキオクシア」と呼べるようなスター銘柄が登場する可能性が出てきているということである。

ちなみに、世界的なパワー半導体の市場規模は拡大傾向にあり、2027年には2023年比で42%増の4兆5,031億円に達する見通しとしているデータもある。

最近のパワー半導体については、従来のシリコン製に加えて炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)といった新素材の開発が進んでいることも見逃せない。SiCは高電圧や大電流に対応でき、EVの航続距離延長に貢献するとされてきた。一方、GaNは高周波での電流制御に強みを持ち、データセンターや通信基地局での活用が大いに期待されている。

そこで、今回はパワー半導体関連の代表的な銘柄を以下にいくつか挙げておきたい。

ルネサスエレクトロニクス<6723>

同社は2月5日、26年1~3月期の営業利益率(国際会計基準、非GAAPベース)が32%になる見通しだと発表した。前年同期から4.9ポイント、直前四半期の25年10~12月期比でも1.2ポイント改善する。同四半期の売上収益予想の中央値に営業利益率を乗じて営業利益を計算すると1200億円(前年同期は838億円)となる

データセンターのサーバーなど人工知能(AI)インフラ向けに半導体の販売が伸びる。電気自動車(EV)の販売減速などで車載半導体は伸び悩むが、採算性の高いデータセンター向けの販売構成比の上昇が利益率を押し上げる。26年はデジタルのパワー半導体がけん引し、AI関連の売上収益は前年の2倍の規模になる見通し。去年は画像処理半導体(GPU)向けが伸びたが、今年はハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)のカスタム半導体(ASIC)向けの大きな伸びが見込まれるという。

ルネサスエレクトロニクス<6723> 週足(SBI証券提供)

26年12月期については第1四半期の予想のみが公表されているが、市場は収益期待を強めており、GSや野村は目標株価を大きく引き上げ。2月9日に昨年来高値を更新(3,138円)し、足元は24年高値の3,397円を視野に入れ始めている。

ローム<6963>

同社は2月4日、26年3月期の最終損益が100億円の黒字(前期は500億円の赤字)になりそうだと発表した。90億円の黒字だった従来予想から10億円上振れ。自動車向けパワー半導体の販売が想定を上回るうえ、引き合いが強いAIサーバー向けは売上高が想定を3割上回る見通しとしている。

注力する次世代素材の窒化ガリウム(GaN)製パワー半導体を巡っては、台湾TSMCに生産委託している一部の製品について今後、浜松市の工場で生産する方針を明らかにした。23年から生産委託してきたが、TSMCは27年7月までにGaN事業から撤退することを決めている。

当面は、主力の車載向けで省エネ性能を高めた新製品を投入。AI向けデータセンター関連でも攻勢をかける。米エヌビディアとは、AIデータセンターのサーバーなどに使う電源部品の開発で協業。主流のシリコン基板に限らず、SiCや次世代素材の窒化ガリウム(GaN)を使ったパワー半導体の供給を増やしていく方針を掲げている。

ローム<6963> 週足(SBI証券提供)

株価は、23年7月高値=3,563.7円から25年4月安値=1,069円まで下げ続けた後、強く切り返して2月25日には昨年来高値=2,843.5円まで回復している。

Next: まだある再注目されている「パワー半導体」銘柄……投資するなら?



住友ベークライト<4203>

同社は2月2日、26年3月期の連結純利益が前期比32%増の255億円になる見通しと発表。従来予想を20億円上回る。AIの普及を受けて、パワー半導体などのチップを保護する「封止材」がデータセンターや電気自動車(EV)向けで伸びている。

半導体封止材は、柱の中国で国産化政策を追い風にスマホ・PCから車載まで全般が好調。今後は中国に引き続いて台湾でも今期に封止材の新工場が稼働することで需要を取り込む。半導体用接着剤に使う銀の価格上昇が利益圧迫要因となるが、増収効果で相殺し事業利益段階から増益となる。27年3月期も足元の基調を維持し、増収増益となる公算が大きい。

住友ベークライト<4203> 週足(SBI証券提供)

株価は、2月26日に上場来高値を更新(6,063円)。やはり、半導体関連材料が想定以上に売り上げを伸ばしていることが主な株高の要因と見られる。

三菱電機<6503>

大容量のパワー半導体で世界首位。足元は、データセンターや通信基地局で使われる半導体を増産する。増産するのは「光デバイス」という半導体だ。光信号を電気信号に、電気信号を光信号に変換する機能を持つ。三菱電機によると、データセンター向け光デバイスは世界シェアが5割に達する。

電気自動車(EV)市場の成長鈍化で需要が伸び悩むパワー半導体向け投資の一部を振り向けるなどし、28年度の生産能力を24年度比で3倍にする。EVの減速をAI需要がカバーする。

また、EVの駆動モーター用の高効率パワー半導体の用途を広げた新製品を新たに投入。高性能な炭化ケイ素(SiC)製パワー半導体チップで、再生可能エネルギー用電源システムや産業用ロボット、EVの充電装置などの用途に対応する。24年にサンプル提供を始めたEVの駆動モーター向けだけでなく再エネの電源システムなどにも使えるようにした。

三菱電機<6503> 週足(SBI証券提供)

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image by:Sach336699 / Shutterstock.com

田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』(2026年2月27日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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