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パターンで攻略する日銀会合 7/29以降の日経平均株価はこう動く=伊藤智洋

今回は、7/29の日銀金融政策決定会合を前にぜひ知っておきたい経験則をご紹介する。追加緩和でも現状維持でも、29日はどんな決定となっても投資家にとってチャンスとなる。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2016年7月24日号の一部抜粋です。次回は8月14日配信予定、興味を持たれた方は、ぜひこの機会に定期購読をどうぞ。本記事で割愛した「パワー・トレンド講座」や、今月配信済みのバックナンバーもすぐに読めます。

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

29日の日銀金融政策決定会合は何が飛び出してもチャンスだらけ

日銀会合前後の日経平均の動きには共通したパターンがある

円・ドル相場は、日銀の黒田総裁とバーナンキ前FRB議長が会見した11日から、円安方向の動きが始まっている。これが日銀会合での追加の量的緩和を示しているのかはまだわからない。

24日、黒田日銀総裁は、中国で行われるG20を前に「必要なら追加緩和を講じる」と述べた。今年の円高は、リスクオフにより、積極的に円高が買われていると言われているが、安心して投機が狙ってきている状況がある。

必要があるかないかと言われれば、通貨は、投機に狙われない安定した動きにならなければいけないのだから、年初からこれ以上へ行ってはいけない場所を示さなければいけなかった。

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それにもかかわらず、これまで、ことごとくほうってきたのだから、必要としている主体は、日本経済ではなく、他の何かなのだろう。

そのため、黒田日銀総裁の話の中身をあまり気にしない方がいい。

それでも、追加の金融緩和があれば、一気に円安となって、日経平均が大幅上昇するし、追加緩和しなければ、円高となって、日経平均が大幅安になると考えられるので、29日の日銀会合前に、どちらかで仕掛けておきたくなる。

そこで、今回は、どうなるかもわからない29日の前に、どうしても怖くて仕掛けられないという人へ、慌てないでも大丈夫という経験則を書いておく。

最近、日銀が金融緩和した13年、14年の2回には、共通したパターンがある。それは、金融緩和を発表した後、すぐに価格が上昇を開始するが、その上げ分は大部分がその年のうちに押し戻されているというパターンだ。

Next: 2013年4月と2014年10月の共通点/もし7/29に追加緩和決定なら?



2013年4月と2014年10月の共通点

図1 2013年4月の日経平均の動き

図1は、2013年4月4日の金融緩和のときの動きである。4月4日は、寄り付き値(12188円)付近が最安値となって、大陽線をつけている。金融緩和を発表後、5月23日までの間に15942円まで上昇した。3000円以上の上げ幅になったのだが、その上げ分は、5月から6月までにかけて、ほとんどを押し戻されている。

図2 2014年10月の日経平均の動き

図2は、2014年10月31日の金融緩和のときの動きである。10月31日は、寄り付き値(15817円)付近が最安値となって、大陽線をつけている。金融緩和を発表後、12月8日までの間に18030円まで上昇した。2000円以上の上げ幅を押し戻されることはなかったが、15年1月16日には、16592円までいったん下げている。

図1と2の中段は、外人投資家の売買状況、下段が個人投資家の売買状況である。金融緩和を前に、外人が買い越しを続け、個人が大きく売り越している。

金融緩和の当日の値位置は、外人投資家が利益を確保できる値位置であり、個人投資家が損を最小限に留めたい場所になっている。

どちらもこのあたりで積極的に買いを仕掛けたくなる場所になっているわけである。

7/29に追加緩和決定なら、上昇分はほぼ吐き出される

7月29日に追加緩和が決定される場合、過去2回と同様、緩和後に上げた分のほとんどを押し戻される可能性がある。

その理由は、8月、9月と円高に振れやすい、NYダウ、日経とも、積極的に買われ難い時期が控えているからである。価格は上昇し続けることはない。上げやすいときに上げて、下げやすいときに必ず上値を抑えられる動きを繰り返している。

追加緩和によって、14864円が底値だということが確認できるが、来年へ向けて、積極的に高値を追いに行く時期は、下げやすい9月を経過してからになるはずである。

Next: 7/29後の相場シナリオ~追加緩和決定ケース/現状維持ケース



7/29後の相場シナリオ~追加緩和決定ケース

以下は、7月29日の日銀会合で追加緩和する場合の動き方である。

7月29日は、寄り付き後、あまり価格が下げることなく堅調に推移し、12時から14時までの間に追加緩和決定のニュースが流れ、上げ幅を拡大する。

その後、8月中旬ごろまでに7月29日の始値から1000~1500円幅程度の上昇を経過し、8月中旬から9月中旬、または10月頃までの期間で、上げた分を押し戻される。

次の押し目をつけた後は、来年へ向けた本格的な上昇が始まる。

7/29後の相場シナリオ~現状維持ケース

29日は、始値から徐々に価格が下げる動きになるなら、追加緩和なしの見方を重視すればいい。その後、追加緩和が決定されるなら、9月以降に改めて仕掛けなおせばいいだけである。

現状維持となる場合でも、最近の円安の幅を見ると、日経平均が14864円を割れないという見方が有力である。だとすれば、8月中には押し目をつけて上昇の準備へ入ると考えられる。安い値位置で買える現状維持の方が、これから入る個人投資にとっては利益にしやすい。

29日は、どんな決定となっても、チャンスだらけなのである。


※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2016年7月24日号の一部抜粋です。次回は8月14日配信予定、興味を持たれた方は、ぜひこの機会に定期購読をどうぞ。本記事で割愛した「パワー・トレンド講座」や、今月配信済みのバックナンバーもすぐに読めます。

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少額投資家のための売買戦略』(2016年7月24日号)より一部抜粋

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