マネーボイス メニュー

真面目な日本人ほど「子どもを貧困に追い込む」ダメ親になりやすい=山田健彦

日本は、相続が3回発生するだけでほぼ全財産を国に持っていかれる高税率の国。子孫にお金を残すのは大変ですが、実は相続税以上に親が知っておくべき大切なことがあります。(『資産1億円への道』山田健彦)

「子どもに財産を残してあげたい」パパ・ママがハマる落とし穴

お金の「表と裏」

紙幣、硬貨には表と裏がありますが、これは我々のお金との向き合い方にも通じるものがあります。お金は貯めて、そして使って、始めてお金として完成品となります。

ところが現実は、両親が稼いで子ども・孫が使うパターンがほとんどですよね。ひどい場合は、一生懸命稼いだお金を「振り込め詐欺」で持っていかれるなんてことまであります。

余談ですが、振り込め詐欺の犯人たちは、振り込め詐欺で巻き上げたお金を「売上」と呼び、その「売上金」を派手に使って「不景気の日本経済を支えているのは俺たちだ!」と豪語しているそうです。この感覚というのは明らかに異常ですね。

【関連】お金が貯まるランチ。京セラ稲盛和夫氏が吉野家の牛丼を好む理由=山田健彦

子孫には財産を残すべき?

かなり前になりますが、政府が「財産を子どもに残しますか?」というアンケートを取ったことがあるそうです。結果は、7割近くの人が「Yes」と回答したとのこと。

これはどうもアジア圏の人に共通する考え方らしいのですが、日本の場合は超高税率の「相続税」が問題になります。

日本では、相続が3回発生するとほぼ全財産を国に持っていかれると言われています。このような状況の中でお金を貯めているだけというのは、税務署のために金庫番をやっているようなものです。

アジア諸国の中には、そもそも相続税というものがない国が香港、シンガポール、マレーシア、オーストラリアのようにあります。

日本マクドナルド創業者・藤田 田氏の教え

日本にマクドナルドを持ってきた藤田 田(ふじた でん)氏が『勝てば官軍』というエッセイ集を出しています。初版は1996年とかなり古い本なのですが、今でも「なるほど!」と思うような鋭い指摘が随所にあります。

その中で「金銭感覚は子どものときから養うべし」という章があり、日本とアメリカの子どもの金銭感覚の違いについて書かれています。

藤田氏によると、アメリカの子どもはお金を得るためには働かなければならないことを親から教えられているので、金銭感覚がシャープ。対して日本の子どもは、お年玉に象徴されるように手を出せば一万円札を載せてくれる大人がいる点が違う、と指摘しています。

その上で藤田氏は、そのように育った日本の子どもたちが大きくなって、会社に勤めるようになったらどうなるか――と警鐘を鳴らしています。社会に出てから、このように金銭感覚がおっとりした人が外国企業等と交渉すると、良いように言いくるめられてしまうことが多いようです。

Next: 日本では無理!? 子どもの金銭感覚を養う「お小遣いゲーム」の真実



日本人の「見えない習慣」

我々日本人には、江戸時代の「士農工商」の教えがベースとして存在しているのでしょうか。「お金を持つと人生を踏み外す」と言われたり、いわゆる清貧の思想などが持て囃されるなどしたせいで、先祖代々、お金のことを子どもに語るのはタブー視されてきた面があります。

しかし、子どもがお金についてのごく基本的な知識を持ち合わせないまま社会人になると、お金で人生に失敗する可能性が高くなります。

失敗を許さない国、日本

かなり以前になりますが、米国の友人と、夏の日本の海岸を歩いていたときのことです。

波打ち際で、小学校低学年と思われる男の子が砂でお城を作っていました。自分の小さい頃を思い出して、しばらく遠くからその様子を見ていました。

波打ち際なのでお城は作っても作っても、寄せる波で崩れていきます。傍にはママが居たのですが、作ったお城が波で崩れていくので、段々アドバイス(?)を始めました。

「その部分をもっと厚くして、波にもっていかれないようにしなきゃ駄目じゃない!」
「ああ、早くしないと次の波が来るわよ!」
「そこはもう駄目だから、もう少し波打ち際から離れたところで作りなさい!」

などなど。

男の子は次第に、次の動作に移るときにママの方を向いて「これで良い?」と確認するような顔つきになりました。

それを見ていた米国の友人は「お前たち日本人は、子どもに失敗させる自由も与えていないのか?失敗からしか人は学ばないのに……」と言っていました。

子どものマネーリテラシーを養う「お小遣いゲーム」

同じようなことは、筆者が小学生低学年向けの「お小遣いゲーム」のお手伝いを務めていたときにも経験しました。

「お小遣いゲーム」とは、参加している子どもが何かお手伝いをすると、それに応じたお金(紙に書かれたおもちゃの紙幣)がもらえる遊びです。貯めたお金でお菓子を買ったり、貯金をしたりします。

ゲームの目的は、「お小遣い帳」の習慣を身に付けることです。小学校の体育館などを借りて行い、主催者側の何人かが、「肩をたたいて欲しい人」「靴を磨いて欲しい人」などなどの役割で椅子に座っていて、その人の肩たたきを30秒すると例えば100円が子どもに渡されます。

子どもはいったん自分の席に戻り、お小遣いとして100円をもらった、と手帳に記入します。そしてその後、その100円をお菓子と交換するか、あるいは別のところで靴磨きをしてさらにお金を貯めるか、といった選択をしながらゲームを進めます。

子どもが何か行動を起こして、いったん席に戻り、お小遣い帳を付ける――ですが、そのときのママたちのアドバイスが、いろんな意味ですごいのです!

Next: 我が子を「お金で失敗する人生」に追い込む日本の親たち



我が子を「お金で失敗する人生」に追い込む日本の親たち

初めて付けるお小遣い帳なので、どちらが収入で、どちらが支出かなど、子どもにとっては当然よく分からないことだらけです。もちろんこの「お小遣いゲーム」は、そのように子どもが試行錯誤することまで狙ったものなのですが、

「この100円は、ここに記入して! 早く!」
「XXXちゃんは、もう記入してお菓子を買ってるわよ!」
「ああ!そこじゃなくて、こっちに書くの!」
「ぐずぐずしないの!」
「早くしなさい!」

もう、叱咤激励のオンパレードです。

ママたちには事前に「見ているだけで、一切、子どもに助言・指導しないこと」を伝え、子どもの席とママたちの席もかなり離しているのですが、実際にゲームが始まるとそんなルールは何のその、凄まじいまでの「教育ママ」が出現するのです。

本当に、日本は失敗を許さない、あるいは失敗をさせない国なのだと思います。

小さな失敗をさせないことが、かえって将来の大きな失敗を導いている事に気がついて欲しいと思います。

【関連】貯金が捗る8マス!「お金持ち思考」が身につく魔法のチェック表=山田健彦

【関連】資産100万ドル以上!『となりの億万長者』に共通する7つの法則=栫井駿介

【関連】逮捕されない、違法じゃない!たった数年で巨万の富を築いた男、その方法とは

資産1億円への道』(2016年7月27,29日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

資産1億円への道

[無料 ほぼ 週刊]
資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。