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日本人が知らない「生命保険の真実」お得なプランで大損していませんか?=俣野成敏

生命保険やがん保険などの保険は、そもそも入るべきなのでしょうか? 入るとしたら、どのように選べばよいのでしょうか? 保険見直しの実例を交えて解説します。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2017年6月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目や前編(6月1日号)・後編(6月16日号)もすぐ読めます。

あなたが加入中の生命保険は、本当にあなたのためになるのか?

生命保険に入ると、実際にどれくらい節税できるのか?

保険に入ると、節税になります」。これは保険の営業マンがよく口にするセリフです。これを聞いた人の多くが「自分のために保険に入って、さらに節税にもなるなら」と思い、言われるままに保険に加入してしまいます。けれど、本当はどれくらい節税になるのか、あなたはご存じでしょうか?

生命保険料に関する税金控除額は、所得税と住民税それぞれで保険料の年間支払額によって4段階に分かれています。控除対象は、生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料の3種類が認められています。

所得税の最大控除額は、年間支払額が8万円を超えていれば4万円まで。住民税は、5万6000円を超えれば2万8000円まで可能です。控除対象の3種類全部に加入していれば、所得税控除は最大12万円、住民税の場合で最大7万円までが控除となります。

たとえば、年収500万円の方が月々1万5500円の生命保険に加入しているとしましょう。所得税、住民税の税率を控除も含めてだいたい10%だったと仮定すると、年間18万6000円の保険料を支払うのに対して、節税額は約1万2000円になります(概算。実際は条件等によって変わります)。20万円近くも支払って、戻ってくるのは1割にも満たないワケです。

ひょっとして、あなたは節税になると思って余計な保険に加入してはいないでしょうか?

【関連】日本のサラリーマンが知るべき「持ち家貧乏」と不動産投資の甘い罠=俣野成敏

1. あなたの加入している生命保険は、本当にあなたのためになるのか?

前項でお伝えしたように、いくら所得税が還ってくるからといって、そのために本来は入る必要のない保険まで加入し、無駄遣いをしていては元も子もありません。そもそも控除とは、税金を算出する際に課税対象となる金額が少なくなるだけであって、「保険料がそのまま還付されるワケではない」という点に注意が必要です。

【結局、自分は生命保険に入ったほうがいいのか?】

「生命保険は入ったほうが得なのか?損なのか?」という点に関して言うと、「基本的には入ったほうが損」です。

特に4月の保険料改定以降、払った金額よりも還ってくる金額のほうが少ない商品が圧倒的に多くなっています。だから保険会社が商品をわかりにくくしていることは、前回のメルマガでお伝えした通りです。

ここで簡単に、生命保険(貯蓄型保険と終身生命保険)を資産運用として見た場合のメリットとデメリットを比べてみましょう。

<生命保険のメリット>

・利率が固定されている(運用による元本割れがない)
・国債や債券などの比較的安全とされている資産で運用されている

<生命保険のデメリット>

・積立期間中は資金がロックされるにもかかわらず、リターンが少ない
・多くの商品が、解約すると損をしたり、元本割れを起こす可能性がある

たとえば、死亡したら1000万円がもらえる保険に合計900万円支払うことになっているとしましょう。その状態であれば、確かに得はしています。けれどもし、死ぬまでの期間が30年あった場合に「自分がその期間、そのお金を運用したとしたら、どれくらい増やすことができるのか?」ということと比較をする必要があります。

比較した結果、仮に「自分で運用した方がもっとお金を増やせる」と思うのであれば、保険よりも他の手段で運用をした方が良いということになります。もう「保険で貯蓄もできる」という時代ではなくなった、ということです。

Next: 海外では「エグゼクティブが入るもの」今こそ知るべき生命保険の真実



選ぶ基準は「何をリスクとするか?」

ここで「自分で運用したほうがいい」という結論に達した場合、気をつけなければいけなのは、「運用を始めて2年で自分が亡くなってしまうかもしれない」というリスクがあることです。万一、その際に「1000万円がないと困る」というのであれば、それは保険でしか用意することができません。しかしそれとて積立ではなく、掛け捨て保険に加入し、浮いたお金を別で運用する、ということは可能です。

積立保険にすれば、それだけ保険会社の運用経費がかかります。「どうせ保険に入るなら貯蓄もできたほうがお得」「保険は積立でなきゃ」という先入観は捨てるようにしましょう。

保険に入る際に基準となるのは「何をリスクとするか?」です。自分が死ぬことが最大リスクなのであれば保険が有用ですし、お金を減らすリスクを取りたくないのであれば、「自分で運用をする」という選択もできる、ということです。

【海外では、生命保険とはエグゼクティブが入るもの】

それでは、比較の意味で少し海外の保険事情を見てみることにましょう。

もともと、海外で保険に入る人というのは、基本的に富裕層です。相続等で自分が亡くなった後の分配や相続税を支払うための資金、経営者が亡くなった後の人員補填や新規採用コストなどを目的に、保険に入ります。特に突き抜けたお金持ちにとっては、自分が亡くなることによる衝撃を、極力抑えなくてはなりません。

実は富裕層であればある程、現金資産はあまり持っていないものです。彼らはほとんど不動産株式投資商品などで保有しています。そうなると、相続で分割する時の調整や、相続税を支払うのが大変となります。それを保険で賄うのです。

富裕層の人たちが保険に入るには、専門のコンサルタントが必要です。保険のコンサルタントは1件の契約金額が大きいので、保険のコミッションが薄くても儲かります。しかし日本の保険はたいてい支払い保険料が「月々1万円」「月2万円」…といった世界ですから、コミッションを高くしないと保険の営業マンは生活ができなくなってしまいます。だから日本の保険は手数料が高く設定されています。

とはいえ、日本の金融機関にも、海外の金融機関にはない良さがあります。一例を挙げると、きめの細かいアフターフォローカスタマーサービスのレベルの高さなどです。「それだけ人員を抱えているから」というのは言えると思います。

Next: 私たちが保険で損をするとしたら、いったい誰が得をしているのか?



【私たちの保険料はどのように使われているのか?】

前回、日本の保険の大部分が日本国債で運用されていることをお話しました。今、保険会社の収益は、日銀によるマイナス金利等の影響によって激減しています。もともと日本の保険は総じて販売コストが高く、保険会社の経営を圧迫する大きな要因となっています。

保険料を詳しく見ていくと、「主保険料」と「付加保険料」の2つの要素に分けられます。たとえば積立型死亡保険の場合、「貯蓄要素」と「死亡保障要素」の2つを合算した部分を主保険料と言います。

それ以外の会社の運営経費を「付加保険料」と言います。ここには保険会社の利益の他、先ほど触れた営業へのコミッション代理店へのリベート(割戻し)、告知に使うパンフレット、テレビCMなどの費用が含まれています。日本の保険は海外のものに比べて、この付加保険料があまりにも高過ぎます。それだけ経費をかけているということでもあり、また保険会社がその分だけ利益を取っている、とも言えます。

日本の保険会社は、海外の保険会社と比較して社員数が圧倒的に多いことは先に述べた通りです。また、日本の多くの保険会社が東京の1等地にオフィスを構えています。パンフレットも立派ですし、CMもバンバン打っています。そのおかげで金融に詳しくない人でも、日本生命、第一生命、アフラック、メットライフといった保険会社の名前を知っていますよね?

一方、海外ではどうかと言えば、まずテレビCMを打ちません。万一、CMを打とうものなら、逆に「私たちが預けたお金で何をしているんだ!」と怒られてしまいます。なのに日本の場合は「テレビCMもやっていない保険なんて大丈夫?」と言いかねない有様です。しかしそのテレビCMを打っているお金の出どころがどこかと言えば、私たちの支払った保険料です。

シンガポールやアメリカ、イギリスなどのような金融先進国の保険会社のビルは、どこも大したことはありません。たいていはどこかのビルにテナントとして入っています。一方、日本は西新宿に行ったりすれば保険会社のビルばかりです。

投資家としては、ここで「このお金は誰が出しているのか?」ということが想像できなくてはいけません。「雑誌でよく見る」とか「テレビCMをやっている」ということが、本当に安心材料なのかどうかを、私たちは考える必要があります。

Next: あなたも他人ごとではない! 保険見直し・切り替えドキュメント



2. 「あなたも他人ごとではない!」保険見直し・切り替えドキュメント

現在は「2人に1人ががんになる時代」と言われます。がん保険は、生命保険会社にとってドル箱とも言える存在です。けれど今、しばしばトラブルになっているのが、このがん保険です。もしもの時のために加入したのに、保険会社と揉めた挙句に保険金が下りないケースが多発しています。あなたの保険は大丈夫でしょうか?

当マネースクールで保険を切り替えられた事例をご紹介しましょう――
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【Vol.53】「国内生命保険」(1)目次

(1)イントロ:
「長いものには巻かれろ」はすでに時代遅れ?!

(2)本文:
「生命保険は結局、入った方が得?損?」(1)
~2017年の保険料改定がもたらすもの~

1. 生保業界は「日本の縮図?!」
◎生保業界にも忍び寄る二極化の波
◎こんな保険商品にご用心

2. 金融業界を俯瞰すると「本当の日本」が見えてくる
◎今の日本は「タコが自分の足を食べる」のに似ている
◎日本の金融機関もリスクを取り始めた

3. 企業が動き始めた以上、我々も「外を見ざるを得ない」

★本日のワンポイントアドバイス☆★
投資家になるためのお金との向き合い方3か条

☆今週の宿題★☆
 生保特集をヒントに日本の金融を理解しよう

(3)次回予告(予定):
「生命保険は結局、入った方が得?損?」(2)
~2017年の保険料改定がもたらすもの~

(4)今週のQ&Aコーナー:
母が亡くなり、遺産相続は今がいいか後がいいか、どっち?

(5)ニュースのビジネス的着眼点:
PBは供給者にとっても「美味しいビジネス」

(6)編集後記:
「今回はイギリスからお届けしています!」

【Vol.54】「国内生命保険」(2)目次

(1)イントロ:
生命保険に入ると、実際にどれくらい節税できるのか?

(2)本文:
「生命保険は結局、入った方が得?損?」(2)
~2017年の保険料改定がもたらすもの~

1. あなたの加入している生命保険は、本当にあなたのためになるのか?
◎結局、自分は生命保険に入ったほうがいいのか?
◎海外では、生命保険とはエグゼクティブが入るもの
◎私たちの保険料はどのように使われているのか?

2. 「あなたも他人ごとではない!」保険見直し・切り替えドキュメント
◎保険金支払いは、すべてのがんが対象になるとは限らない
◎生命保険を切り替える際の注意点

3. どんなことにも“修行時代”がある

★本日のワンポイントアドバイス☆★
 自分にぴったりのアドバイザーを見つける方法

☆今週の宿題★☆
 生命保険を実際に自分の目で精査してみよう

(3)次回予告(予定):
「生命保険は結局、入った方が得?損?」(3)
~2017年の保険料改定がもたらすもの~

(4)今週のQ&Aコーナー:
もし、購入した株が上場廃止になったらどうなるの?

(5)ニュースのビジネス的着眼点:
企業は本格的にやってくる人員不足にどう対処する?

(6)編集後記:
今、時代は「ハンドメイド」!

【Vol.55】「国内生命保険」(3) 目次

〔1〕イントロ:
保険があれば「不可能なことも可能になる」場合がある

〔2〕本文:
「生命保険は結局、入った方が得?損?」(3)
~2017年の保険料改定がもたらすもの~

1. 我々の仕事はAIによって奪われてしまうのか?
◎日本がフィンテックで遅れをとっているワケ
◎「機械化された未来」とはどのようなものなのか?

2. 今すぐ我々が取り組めることとは何か?
◎支出を減らせば、収入が増えたのと同じ効果がある
◎事例1:貯金がないのは保険のせいだった!保険料を15万円以上削減!
◎事例2:支払いを止め、払った分だけの保障を受ける方法がある!

3. マネーリテラシーが高くなれば、選択肢がその分増える

★本日のワンポイントアドバイス☆★
保険を見直す際に行うべき2つの自問

☆今週の宿題★☆
保険料が家計に占める割合を確認してみよう

(3)次回予告(予定):
「生命保険は結局、入った方が得?損?」(4)
~2017年の保険料改定がもたらすもの~

(4)今週のQ&Aコーナー:
投資をする際のオススメの情報源はありますか?

(5)ニュースのビジネス的着眼点:
「ドラフト会議」という発想までは良かったけれど…

(6)編集後記:
初ユーロスター!体験記.


※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2017年6月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目や後編(6月16日号)もすぐ読めます。

【関連】政府も後押し!本気で儲けに行く「サラリーマンの副業」入門以前=俣野成敏

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俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2017年6月8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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