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【6月米雇用統計】七夕の夜は順張りドル買いが吉!想定レンジは112~115円=ゆきママ

今日は世間では七夕ですが、トレーダーにとっては米雇用統計の発表される重要な一日。果たしてどうなるのか、今回も詳しく解説していきたいと思います。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

今宵はロング有利。「値ごろ感」からのショートは大火傷のもと

賃金インフレがなくとも引き締め継続か

一昔前の雇用統計といえば、非農業部門雇用者数の増減のみを見て一喜一憂するお祭りでしたが、最近は目まぐるしく変わる金融政策の見通しを考えながら展開を考えていくことが必要になりました。つまり、アメリカの金融政策を決定するFRB(連邦準備制度理事会)のプレゼンスがそれだけ強まったということでしょう。

そして、このFRBは6月のFOMC(連邦公開市場委員会)において、バランスシート縮小の大枠について決定し、一部のメンバーは2~3ヶ月以内の実施を想定していることが明らかとなりました。まだまだ物価的には低インフレ状態が続いており、この物価を左右する賃金も冴えない伸びが続いているにも関わらず…です。

これは非常に大きな方針転換です。FRBはこれまでの歴史上、賃金インフレを厳粛に受け止めるとされ、政策の変更を占う上ではとにかく賃金が注目されてきましたが、それが変わりつつあるということですからね。

FRBの一部メンバーの主張としては、物価インフレには程遠いものの、株価の異常な高騰といった資産インフレを抑え込むためには金融政策の引き締めが必要だとしています。しかも、これはイエレンFRB議長を始め、ダドリーNY連銀総裁といった中心メンバーの意見ですから、物価インフレがなくともバランスシート縮小といった引き締めを行う可能性は高いと考えられます。

したがって、今回の雇用統計については、平均時給が事前予想を多少下回ったとしても、金融政策の引き締めという大きなドル買い要因がありますから、積極的にはなかなか売りにくいのではないかと思います。まずはこれを踏まえた上で、トレード戦略を練っていきましょう。

Next: 今の相場の流れが継続か。先行指標はまずまず好調な数字が並ぶ



先行指標はまずまず好調な数字が並ぶ

それでは、先行指標の数字を見ていきましょう。前回より弱めの数字が並んではいるものの、トータルで見れば引き続き比較的好調な数字が並んでいます。

先行指標の結果(数値はいずれも速報値)と雇用統計の事前予想値

前回はADP雇用報告の強すぎる数字を元にして、期待感先行でハードルも上がってしまいましたから、今回の「ほどほど」ぐらいの数字でちょうど良いのではないかと思います。

特に製造業部門での堅調な雇用指数というのは心強い限りです。一般に製造業はその他サービス業と比べて賃金が高いとされていますので、ポイントとなる平均時給(賃金上昇率)についても期待が持てそうです。

また、事前予想値に目を向けると、非農業部門雇用者数が+17.8万人と前回からの反動もあるのか少し強めの数字。平均時給は前月比+0.3%・前年比+2.6%と製造業の良好な雇用指数が反映されており、これらをしっかり上回ってくるようであれば、今の相場の流れというのは継続する可能性が高そうです。

Next: 基本はロング、押し目はチャンス。想定レートは1ドル=112~115円



基本はロング!想定レートは1ドル=112.00~115.00円

現在の相場状況はドル高というよりクロス円全体が円売りに傾いていて、ドル円もドル高というよりは円安に支えられている格好です。加えて、最初に書いたように物価インフレがなくても金融引き締めが実施されそうですから、積極的にドルは売りにくいでしょう。

これらのことから今回はよほど悪い数字が出ない限り、ドル円の下値は支えられる可能性が高そうです。したがって、トレード戦略としてはロング(買い)で平均時給が事前予想値の前月比+0.3%を下回ってもマイナス圏でないのであれば、押し目を狙っていきたいところです。

もちろん、非農業部門雇用者数を無視するわけではありませんが、こちらもマイナス圏に落ち込むといったよほどのネガティブサプライズがなければ大丈夫でしょう。労働状況の逼迫という究極の言い訳もありますから、概ね+10万人を超えていればほぼ合格点かと思います。

ドル/円 日足チャート

ドル円チャートに目を向けると、とりあえず日足ベースで見る限りサポートライン(太青線)が形成されており、112円後半がポイントとなります。ここを割り込むと、111円後半に位置している一目均衡表の雲がターゲットとなりますが、非農業部門雇用者数と平均時給が事前予想値を大幅に下回ることでもなければ、まず割り込むことはないと考えています。

上値に関しては、本校執筆時点で(7日11:30)1ドル=113.70円台と今週の高値を更新していますから、5月11日につけた114.362円は既にターゲットとなっており、とりわけ平均時給が予想並みか上回ってくるのであればもう一段の上昇が期待できそうです。

流石に円売りがかなり進んでいて一足飛びで115.00円を超えるのは厳しそうなこともあり、想定レートは1ドル=112.00~115.00円としていますが、トレードとしては繰り返しになりますがロングを中心に組み立てるのが無難でしょう。

ちなみに、今回のメインシナリオは、そこそこ好調な数字が出ることを想定していますが、このままの円売りの流れから114円を超えて雇用統計発表を迎える場合は、少し高すぎますので反落リスクを警戒した方は良さそうです。もっとも、数字が悪くない限り下がったら当然押し目ですし、113円半ば以下の程よいレベルで発表を迎えるのであれば問題ありません。

ここ最近は上値の重い状態が続いてきましたので、なかなか上昇トレンドについていくのは大変かもしれませんが、トレンド発生時に値ごろ感で反対方向の売買をすると大火傷もありますから、まずは順張りでついていって頂ければと思います。それでは、今日の雇用統計もお互い頑張りましょう!

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年7月7日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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