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相場の常識崩壊!「日経平均2万円、1ドル125円」到達の日は近い=長谷川雅一

現在、日経平均株価も、為替も「あまりにも高い」水準にあり、通常は「売り」を検討するところ。しかし、ここはどうやらテクニカルの常識を捨て、勇気を出して、買いのチャンスを狙わなければならない場面のようです。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』長谷川雅一)

プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。

トランプ相場の威力は黒田バズーカの2倍。押し目はあるのか?

「日経平均2万円1ドル125円」が視野に

アメリカの大統領選挙でトランプ氏の当選が決まった11月8日(日本では9日)から2週間あまり。相場の様相がガラリと変わりました。

この先、トランプ氏が大統領に就任して、一般教書演説が行われるのが2017年1月末予算教書の内容が明らかになるのが2月末です。

その2月末まで、次期トランプ政権への「期待感」が相場を支配するとなれば、現在の相場の「勢い」やチャートの形状から考えて、

ことになりそうだと、僕は予想しています。

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もちろん、そうなるとしても何度か調整をはさみながらの上昇になるでしょう。また、今後、トランプ氏の経済政策についての期待感が「しぼむ」ような材料が出れば、そこで「トランプ相場」は終わるかもしれません。

しかし、今のところマイナス材料が出そうな気配はありませんし、今は、もしも悪材料が出ても、「いや、トランプ氏が何とかするだろう」という期待感さえ生まれやすい状況になっています。

現在、日経平均株価も、為替も「あまりにも高い」水準にあり、通常は「売り」を検討するところ。しかし、ここはどうやら、テクニカルの常識を捨て、勇気を出して、買いのチャンスを狙わなければならない場面のようです。

チャートに出現した「トランプタワー」

今、僕の目の前に為替(米ドル/円)の日足チャートがあります。そこには、13営業日で101円から114円まで駆け上がった、ロウソク足の「塔」があります。

13日で13円の上昇。僕は、「これは、チャートの『トランプタワー』だ」と思いつつ眺めています。過去にこのような強いチャートを見た記憶がありません。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)


日経平均株価 日足(SBI証券提供)

通常、米ドル/円は10円上昇したところで「一服」します。今回の上昇は11月9日の安値101円からのスタートでしたから、111円で「ひと休み」となるのが、いつものパターンです。

ところが今回は、休まず一気に13円駆け上がりました。25日(金)の夜は祝日の影響で取引が閑散となり、米ドル/円は112円台の半ばまで調整する場面がありましたが、米ドル/円の上昇は、まだ終わっていないと見ています。

つまり、休日が終わり、トレーダーが市場に戻ってくれば、また買われる可能性が高そうだ、と。

今後、米ドル/円が調整するにしても、すぐに3円、5円と下がるような動きにはなりづらいし、もしもこのあと110円に接近するようなやや大きな調整があれば、一気に買い戻されて反発するのではないか、と予想せざるを得ない強さです。

Next: 「黒田バズーカ」の2倍の上昇エネルギー。円安・株高はまだ続く



上昇エネルギーは「黒田バズーカ」の2倍

言うまでもなく、この強烈な「円安」が、このところの株高の原動力です。この「円安」が続く限り、株高も止まらないでしょう。

もしも、今の円安・株高の流れが止まるとすれば、トランプ次期大統領が、「今のドル高は行き過ぎだ。容認できない」と「ドル高牽制発言」をする時かもしれません。

しかし、そのトランプ氏が「減税する」「公共投資もやる」と宣言している限り、国債は売られてアメリカの長期金利は上昇しますから、ドル高傾向は続きやすい。

つまり、トランプ氏が作りだした「ドル高」を、トランプ氏自身が止められない可能性すらある、ということです。それほどまでに、今の「ドル高」エネルギーは凄まじいと言えます。

今回のドル高で思い出すのは、2014年10月31日に始まった、いわゆる「黒田バズーカ」によるドル高局面です。このとき、米ドル/円は、6週間ほどかかって(27営業日で)12円上昇しました。

それでも「かなりの急騰だ」と感じましたが、今回は13営業日で13円。あのときの約2倍のスピードでの急上昇となっています。

相場の上昇エネルギーが2倍だ」と言い換えることもできるでしょう。今、多くのトレーダーが、迷わず「買い」を続けているのです。

「円安・株高」はさらに続く

もちろん、どんな強い相場にも「終わり」が来ます。今回の「トランプラリー」も、いつかは終わり、米ドル/円はまた、本来の「円高路線」に戻るでしょう。しかし、今のところトランプ相場の終わりは見えません。

このところの「円安」の原動力は、アメリカの長期金利の上昇です。アメリカの長期金利は、現在、2.3~2.4%付近にありますが、まだ上昇余地があり、マーケットには、さらに金利が上がる要素しか見当たりません。

一方、日本の長期金利は、政府によって上昇にブレーキがかけられている状態です。こうなると、まだ当分の間、日米の金利差は開きやすい。

アメリカの長期金利が上昇傾向にあることが、誰の目にも明白で「わかりやすい」ため、「ドル買い」が続きやすい状況です。加えて、これまで続いてきた「円に対する信任」がやや弱くなっているようにも感じます。

つまり、この「円安・株高」の流れは、なかなか止まらない。さらに続くのではないか、と思います。

Next: いまから株やドルを買うとして、いくらで買えばいいのか?



株と為替の買いポイント(値段)は?

では、株やドルを買うとして、いくらで買えばいいのか? 考えてみましょう。

まず、チャートから、米ドル/円の買いポイントを割り出すと、「110.00円付近での買いが有利」となります。米ドル/円が110円まで下がったら買えばいい、ということです。

しかし、相場は上がる一方ですから、「いくら待っていても110円など来ない」という可能性があります。

となれば、買った直後に調整するようなケースも想定しつつ、勇気を持って、目をつぶって、今すぐ「ドル買い」を始めるか、あるいは、「あまりにも過熱感があるから、この相場は見送りだ」とするか、どちらかでしょう。

日経平均の方は、「18,000円を割ったら買い」というチャートです。ただ、こちらも、待っていても18,000円まで下げる場面があるかどうか、わかりません。

やはり買ったあとの調整を覚悟しつつ、「えいや!」とばかり、すぐに買いに入るか、「こんな高いところで買えるわけがない。下落を待とう」と、いったん買いを見送るかの、どちらかでしょう。

実際、このタイミングでの買いは「大失敗」に終わる可能性があります。テクニカル的には、とても買えない水準ですから。

さて、あなたはこの相場、ここから買われますか? それとも静観されますか?

トランプ氏という「劇薬」に振り回される世界

目の前の相場は、完全な「リスクオン」ですが、トランプ政権は「バラマキ」をやると公言しているわけですから、アメリカの財政は大丈夫なのか? と心配になります。実際、トランプ氏が公約を実行すれば、アメリカの財政赤字の拡大は必至です。

思い切った経済政策は「劇薬」で、効果も高い代わりに副作用も大きくなる恐れがあります。そもそも、次期大統領のトランプ氏自身が「劇薬」です。トランプ氏の経済政策が長期間、順調に進むとは考えづらい。

これから、とりあえず4年間、トランプ氏に世界の政治経済が「振り回される」のは確実です。どうか、お手柔らかに願いたいものです。

目の前のリスクオン相場に浮かれてばかりいないで、我々は、その次に来る反動やリスクを、今から考えておかなければなりません。

Next: なぜ「トランプ頼み」の日本は思い切った政策を取れないのか?



日本の景気を劇的に改善する方法

TPPは完全に頓挫しましたが、日本政府は(というか安倍総理は)なかなか、TPPをあきらめきれないようですね。金融政策も同様で、まったく効果がないものを「ひきずって」います

今回の「トランプ相場」は、まるで日本の金融政策をあざ笑うかのようです。

政府日銀が必死で、あれこれやってもまったく効果がないのに、アメリカの大統領が代わるだけで簡単に円安になり、世界のマーケットの流れが激変するのですから。

ダメなものはダメと諦めて、さっさと次に行く。変えるべきは大胆に変える。このあたり、アメリカを見倣うべきでしょうね。

今回のトランプ政権の「目玉」の1つは、思い切った減税です。日本も、たとえば「消費税廃止(0%)」を打ち出せば、劇的に景気がよくなるのに。アメリカがちょっと羨ましいような気がしてきます。

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長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2016/11/26号より一部抜粋、再構成
※記事タイトル・太字はMONEY VOICE編集部による

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