「リスクは怖い」と言っていた投資ビギナーが、株式より余程ハイリスクな仮想通貨にいきなり手を出すケースが増加中。これは一体どういう心理なのでしょうか?(『億の近道』梶原真由美)
ファイナンシャルプランナー。日本ではまだ珍しい顧問契約制のFP会社である株式会社マネーライフプランニング所属。1976年千葉県生まれ。40歳で出産、12歳年下の夫と長女の3人家族。
仮想通貨ギャンブルにハマる人が続出。投資や投機との違いとは?
投資ビギナーがビットコインを保有する心理
最近FP仲間がこんな愚痴をポロリと言いました。「仮想通貨を投資として考えている人が多すぎてちょっとウンザリする」。確かに、私も仮想通貨について知人、友人から「仮想通貨を友人に勧められたんだけど、どう思う?」と数人から聞かれたことがあります。
また直近では、「株式・債券・投資信託を使っての資産運用は、もう少し手元の資金が貯まってから始めます」と話していた方から約1年ぶりにメールが来たのですが、「仮想通貨を購入し、値上がりしているがどうしたらいいか?」といった内容が記載してありました。
不思議に思うのは、株式・債券市場の説明をしても「リスクは怖い、投資は難しい」と話す人が、さらにリスクの高い仮想通貨を保有、または購入を検討していることです。
これは一体どういう心理なのかを考えてみました。
仮想通貨への投資はずばり「楽しい」
「仮想通貨は金融の革命だ!」なんてフレーズを見かけたりしますが、おそらく、株式や債券よりも、仮想通貨は保有していてワクワクするのだと思います。
つまり「楽しい」んですね。パチンコや競馬等の賭け事で「勝った!」「負けたぁ~」と盛り上がることと似ています。
賭け事=ギャンブルですが、仮想通貨を保有している人のうち、それがギャンブルだと認識している人がどれくらいいるでしょうか? そもそも、仮想通貨はギャンブルなのでしょうか?
Next: 楽しいビットコインは「投資」か「投機」か「ギャンブル」か?
「投資」と「投機」と「ギャンブル」の違い
実は明確な区分はありませんが、以下のサイトの説明がわかりやすかったので引用させていただきます。
【投資】
・資本を投じる経済活動
・投資行動は経済活動の活性化につながる
・プラスサム(期待値がプラス)【投機】
・資本を機会に投じる経済活動
・投機行動は経済に流動性を提供する
・ゼロサム(期待値がゼロ)【ギャンブル】
・娯楽として楽しむゲーム
・直接的な経済生産性はない
・マイナスサム(期待値がマイナス)
上記に加えて、投資・投機・ギャンブルの区分には「時間軸」も密接に関係してきます。
例えば株式の場合、中長期保有では『投資』になりますが、デイトレードのような短期売買の場合、「売買機会への資本提供」「経済への流動性提供」など『投機』項目に該当してきます。
「楽しい」ビットコインはどれに該当?
ビットコインなどの仮想通貨の場合はどうでしょうか?
仮想通貨は、円や米ドルなどと同じモノやサービスと交換可能な通貨です。円や米ドルなどと異なる点は、特定の国家による価値の保証を持たない、いわば国境の無い通貨であるということです。
まだ法定通貨(円や米ドルなど)と違って、流通量も小さく交換可能なモノやサービスもまだ少ないので、『投資』の条件である「経済活動を活性化」させる影響力は現在のところ持っていないでしょう。
また仮想通貨は、FXなどと同じく、期待値がゼロのゼロサムです。しかし、期待値がマイナスではなさそうです。
こういった視点で考えると、現段階の仮想通貨は『投機』と言えるのではないでしょうか? しかし、時間軸が極端な短期売買だったり、保有目的が価格の上下を楽しむ娯楽だったり、目的によっては『ギャンブル』になるでしょう。
将来、流通量も増え、健全に市場も成長し、さまざまな決済方法として採用されれば「経済活動を活性化」させる影響力を持つことになるので、その時には仮想通貨は立派な『投資』と成りうるでしょう。
Next: ビットコイン投資を「ギャンブル」にしないために必要なこと
目的がブレると、ただのギャンブルになってしまう
いかがでしたでしょうか?
このように時間軸や動機・目的によって自分が購入しようとしている金融商品が投資・投機・ギャンブルのどれに該当するのかは変わってきます。
「みんなが買っているから」
「バブル(のような気がする)だから」
と安易に手を出し、価格の変動幅にびっくりして怖くなり、すぐに手放してしまうと、それは投機にすらならず、ただのギャンブルになってしまいます。
何のための購入なのか? いつまで保有するのか?などを明確にしておくと、こういった勘違いは減るのではないでしょうか。
『億の近道』(2017年9月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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