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リベラルは死なず?枝野氏の「立憲民主党」が自民党の痛手になるワケ=近藤駿介

民進党・枝野幸男氏が新党「立憲民主党」の立ち上げを表明。前原氏とは袂を分かつことになるが、この展開は安倍総理と自民党に少なからず痛手となるだろう。(『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』近藤駿介)

プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。

立憲民主党の誕生で、また1つ「口撃」の常套句を失う安倍総理

「納得できない」枝野氏、新党設立へ

民進党の枝野幸男代表代行は1日午前、小池百合子東京都知事が代表を務める新党「希望の党」との合流について「(民進党の)理念や政策が変わるならいろんな判断がある」と述べ、希望には合流せず、独自の新党結成も選択肢になるとの考えを示唆した。<中略>

枝野氏は同日午前、前原氏と電話で協議。「(希望との合流を決めた9月28日の)両院議員総会で、前原氏がみんなで新しい器で民進党の理念や政策を実現しようと言った。前提が違うなら私も納得できない」と伝えた。

出典:民進・枝野氏、新党も選択肢 「希望」合流めぐり – 日本経済新聞(2017年10月1日配信)

一体、何が納得できないのだろうか。「民進党の理念や政策を実現」できなかったのは、「民進党の理念」が党内で統一されていなかっただけのことだ。

【関連】テレビが伝えぬ「小池劇場」本当のみどころと安倍総理最大の不安=近藤駿介

歓迎すべき「リベラル派の合流」

リベラルを標榜する人達が1つの政党、グループにまとまることは大賛成だ。それは、「保守」と「リベラル」が明確に線引きされ、「保守」なのか「リベラル」なのか判別できない党が野党第1党でいるという悲劇を解消できるからだ。

おそらく「希望の党」にとっては歓迎すべきことで、「希望の党」に対して「数合わせのために理念も政策も無視した野合」という批判ができなくなる自民党にとっては痛手になるだろう。

気になるのは、なぜ「リベラル新党」結成が必要なのかということ。共産党や社民党と野党共闘を組もうとしていた人達なのだから、共産党か社民党に「合流」すればいいだけのように思えてならないが。

「希望の党」なら当選できるかもしれないが、「社民党」や「共産党」では当選しにくいと考えているのであれば、「リベラル新党」でも結果は同じになりそうだ。所詮、そうした候補に明日はない。

Next: 「ネガティブキャンペーン」に駆り出された小泉進次郎



ネガティブキャンペーンに駆り出された小泉進次郎

自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長は1日、東京都練馬区で衆院解散後初めてとなる街頭演説を行い、小池百合子東京都知事が率いる新党『希望の党』について『まるで民進党のコスプレだ。今回の選挙は責任対無責任の構図だ』と批判した。

出典:自民・小泉進次郎筆頭副幹事長『希望の党はまるで民進党のコスプレだ』 – 産経ニュース(2017年10月1日配信)

自民党筆頭副幹事長という立場上、仕方のないことかもしれないが、小泉進次郎議員がネガティブキャンペーンの先頭に立つ姿はあまり見たくない。まだ先のある政治家なのだから。

愚直に政策を訴える」と言っていたはずの安倍総理も、「新党ブームから希望は生まれない」という過去の事実を歪めたネガティブキャンペーンを張っている。

昨年の米国大統領選挙でネガティブキャンペーンの一環として批判の応酬が繰り返されたことを批判的な目で見ていたはずの日本の総選挙も、ネガティブキャンペーンの様相を呈してきた。

日本でもネガティブキャンペーンが展開され、批判の応酬が繰り広げられるというのも、「日米は100%共にある」ことの一環として捉えるべきなのだろうか。


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近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2017年10月2日)より
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