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スーチーのミャンマーは何と引き換えにロヒンギャ族を虐殺しているのか?=浜田和幸

ミャンマー国軍のロヒンギャ族迫害が国際的な非難の的になっている。ノーベル平和賞を受賞したスーチー氏のミャンマーで、なぜこんな惨劇が起こるのか?(浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』浜田和幸)

※本記事は有料メルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』2017年10月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:浜田和幸(はまだ かずゆき)
国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。

「ノーベル平和賞に値しない」ミャンマーに群がる各国の思惑とは

ロヒンギャ族に対する「民族浄化」

ぶっちゃけ、ミャンマーの最高指導者スーチーさんは国際的な非難の的になっている。ミャンマーの民主化の象徴的存在だが、「ノーベル平和賞に値しない」との声まで聞かれる。

何が問題かと言えば、ミャンマーの少数民族ロヒンギャ族ミャンマー国軍から迫害を受け、43万人もが難民として隣国のバングラデシュに脱出しているにもかかわらず、有効な対策を講じず、事態の悪化を招いているとされるからだ。

国民の大半が仏教徒であるミャンマーでは、イスラム教徒のロヒンギャは以前からよそ者扱いを受けてきた。ミャンマー西部のカライン州は人口約300万だが、その内100万人がロヒンギャ。ミャンマー政府は1982年に国籍法を制定して以来、ロヒンギャには市民権を認めず、選挙権はおろか、基本的人権も与えようとしていない

こうした事態に反発し、ロヒンギャ独立を求める一部の暴徒がミャンマーの国軍と衝突したことから、事態は「民族浄化」と呼ばれるほどの悲惨な状態に陥ってしまった。

背景に天然ガス、石油をめぐる各国の利害対立

日本政府は難民を支援する立場から、4億5000万円の義援金をバングラデシュ政府に送ることを決定した。しかし、ロヒンギャ問題の背景には複雑なアメリカ、中国、サウジアラビアなどの利害が絡まっている。このことを理解しておかないと、単なる人道的支援では問題は解決されないだろう。

実はロヒンギャが居住する地域の沖合ベンガル湾では、2004年に天然ガス石油が発見されたのである。

アメリカのシェルなど石油資本も参入を図り、アメリカ政府の支援を受け、ミャンマーへの進出を加速させた。しかし、多額の資金援助を背景に、開発利権を獲得したのは中国の国営石油会社CNPCであった。

これらの資源を中国本土に送るためのパイプラインがロヒンギャの住む一帯に建設されつつあり、天然ガス用は既に完成し、石油用も本年中には完成する予定であった。これらができあがると、中国は中東からの石油も南シナ海を経由することなく、ミャンマー経由で入手できるようになる

Next: ロヒンギャを虐殺し、パイプライン完成を目指すスーチー政権



中国との関係を重視するスーチー政権

ところが、環境破壊や汚染が進み、ロヒンギャからの反対や妨害運動が起こったため、パイプラインの建設工事が遅れるようになってしまった。そのため、中国との関係を重視するスーチー政権は、力ずくで工事に反対するロヒンギャを隣国に追い出そうとの腹を決めたようだ。

さらにはそこに、ロヒンギャと同じイスラム教国であるサウジアラビアが資金を提供し、ロヒンギャ独立運動を支援し始めたため、事態はますます複雑化するようになった。この絡まった糸は容易には解けないだろう。

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迫りくるリング・オブ・ファイアの脅威

ぶっちゃけ、このところ頻発する地震や火山の噴火には「自然界の怒り」のようなものを感じるばかりだ。日本に近い朝鮮半島でも、中国との国境沿いにある白頭山の噴火の予兆が明らかとなり、中国政府は立ち入り禁止措置を発令した――

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・迫りくるリング・オブ・ファイアの脅威(10/6)

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浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』(2017年10月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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