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悪用されるノーベル経済学賞!? 私たちがつい「散財」してしまうワケ=川畑明美

行動経済学の権威、リチャード・セイラー氏がノーベル経済学賞を受賞しました。ただ、彼の研究成果は、お金を貯めたい増やしたい人にとっては油断大敵のものでもあります。(『教育貧困にならないために』川畑明美)

プロフィール:川畑明美(かわばた あけみ)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。

おすすめメニューに潜む罠。あなたは「ナッジ」に操られてるかも

行動経済学の権威がノーベル賞受賞

消費」など人々の身近な経済活動を心理学と経済学の両面から分析したアメリカ・シカゴ大学の教授、リチャード・セイラー氏がノーベル経済学賞の受賞者に選ばれました。

セイラー氏は、「行動経済学」の権威として知られています。具体的には「ナッジ(Nudge)」という考え方を提唱しました。この「ナッジ」とは、注意や合図のために肘(ひじ)で人をそっと突くことを指す英単語です。

いろんな場面で活用される「ナッジ」

例えば、ナッジとは次のような事例です。

レストランのメニューで特定の料理にだけ「おすすめ」と表示されていて、それを注文したくなったり、コンビニのレジ前に足跡のシールがついていて、自然とそこに並んでしまったことはありませんか?

このように、あくまで選択の余地を残しながらも、消費者を特定の選択肢に誘導させる手法がナッジです。

「ナッジ」という言葉を知らなくても、これは意外と身近で使われている行動科学です。

オバマ大統領が「ナッジの活用」を提唱し、米国民の貯蓄行動を変えて、退職後の生活を支える貯蓄率を向上させた例もあります。

他にも、マーケティングや営業の場面でさまざまに活用されています。顧客を満足させつつ、自社の誘導したい選択肢へと導く方法なんですね。メニューに「おすすめ」と書いてあったら、なんとなく選んでしまいますものね。

Next: ちょっと待った。私たちは知らないうちに散財させられている?



私たちは散財させられている?

ここで注意したいのは、上手に「ナッジ」を活用されると、消費者である私たちは知らず知らずのうちに、必要以上に消費させられてしまうことです。

オバマ大統領の例のように、貯蓄額を上げる目的で使われるのならまだ良いのですが、もしあなたがお金を貯めたいなら、営業マンのセールストークを聞くときには、ちょっと「ナッジ」の存在を意識してみるといいですね。

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ノーベル賞を受賞したセイラー氏は、「経済的な意思決定の分析において、経済学と心理学の橋渡しをした」と評価されています。今後、行動経済学は、経済学全体に取り入れられる可能性があると話している大学教授もいるようです。あなたもぜひ、行動経済学を意識してみましょう!

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教育貧困にならないために』(2017年10月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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