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10年で5倍の価値に!「コインオークション」の魅力と今後の狙い目=田中徹郎

10年前のコインオークションのカタログを見ると、今の相場との違いに驚きます。5倍以上に値上がりした銘柄と、ほぼ変わらない銘柄との違いは何でしょうか?(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)

プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
(株)銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。

数多くの銘柄の中で「大化け」したアンティークコインの共通点

意外なほどに値上がりしているコイン相場

今、僕の机の上に10年前のコインオークションのカタログがあります、国内大手コイン商が平成19年に開催したものです。当時の落札価格を見ますと、今の相場との違いに驚かされます。

例を挙げますと、

  1. 中国、自動車ダラー、1928年、VF:17万円
  2. 中国、孫文、1932年、三羽鳥、MS64:19万円
  3. 中国、袁世凱、開国記念、1914年、UNC:32万円
  4. イギリス、ビクトリア、ウナ&ライオン15枚セット、AU~UNC:720万円
  5. イギリス、ビクトリア、オールドヘッド、プルーフ10枚セット、AU~UNC:120万円
  6. イギリス、ジョージ5世、プルーフ12枚セット、UNC:66万円
  7. 英領インド、ウィリアム4世、2モハール金貨1835年、(リストライク)、UNCプルーフライク:72万円

とりあえず目につくのはこんなところです。相場をご存知の方は驚かれると思いますが、これがホンの10年前の相場だったのです。

ご参考までに、上記と同等コインの直近落札価格を以下紹介させていただきます。

  1. 中国、自動車ダラー、1928年、VF:60万円前後
  2. 中国、孫文、1932年、三羽鳥、MS64:80万円前後
  3. 中国、袁世凱、開国記念、1914年、UNC:180万円前後
  4. イギリス、ビクトリア、ウナ&ライオン15枚セット、AU~UNC:4000万円前後
  5. イギリス、ビクトリア、オールドヘッド、プルーフ10枚セット、AU~UNC:600万円前後
  6. イギリス、ジョージ5世、プルーフ12枚セット、UNC:400万円前後
  7. 英領インド、ウィリアム4世、2モハール金貨1835年、(リストライク)、UNCプルーフライク:600万円前後

上記のような感じです。

どんなコインが値上がりする?

高額なコインほど値上がり率が高いとお考えの方もおいででしょうが、上記をご覧いただくと、必ずしもそうではないことがわかります。

例えば「7. 英領インドの2モハール」や「6. ジョージ5世」のように、100万円以下のコインでも驚くほどの値上がりを見せたコインもあるのです。

同じ銘柄なら状態が良いコインほど上昇が期待できる…おそらくこれは間違いないでしょう。

ただ、必ずしも今高価な銘柄が、例えば中堅クラスの銘柄より強い値上がりを見せるかといえば、それはよくわかりません。むしろ、ウナ&ライオンのように先行して暴騰した銘柄は、敬遠される可能性もあるでしょう。

急騰したエリザベス2世の5ポンド金貨が、昨年後半をピークに急落した事例をみても、煽り系コイン商のセールストークの危うさを感じないわけにはいきません。

Next: 大化けするコインは、価格横ばいの負け組コインと何が違う?



10年間ほとんど値動きしない銘柄も

一方で上記10年前のカタログと現在の相場を比べますと、逆にほとんど値動きしていない銘柄があることがわかります。

例えば、アメリカの一部のコインたちです。平成19年のオークションカタログを見ますと、当時のアメリカコインの落札価格は以下のようになっています。

9. アメリカ1799年1ドル銀貨、VF:26万円
10. 同1862年シーティッドリバティ1ドル銀貨、1862年プルーフUNC:32万円
11. 同1881年、貿易銀、プルーフAU/UNC:30万円

面白いことに、これらコインの現在の相場は、当時とほとんど変わりません

ですから、仮に皆さんが10年前のオークションに参加したとして、最初の7枚を買うか、あとの3枚を買うかによって、10年後の成果に驚くほど差がついたわけです。

将来性がある銘柄は?

このように考えますと、コインの銘柄選びがいかに大切かがよくわかります。

基本的には成長性の高い国のコインを選ぶべきでしょうが、成長性の高い国は新興国の場合が多く、一般的にそのような国はコインの歴史は浅く、したがってコイン市場も貧弱です。

それでも一部の例外はあります。例えば、タイアンナン(今のベトナム)です。ほかにもイギリスドイツフランスなど、かつての列強の旧植民地コインもおもしろいでしょう。

上記事例でアメリカコインの停滞について紹介させていただきましたが、安値に放置された銘柄はいずれ適正相場に戻るものです。

アメリカコインの歴史は浅く、収集対象としてみた場合はおもしろみに欠けるのですが、それでも残存枚数が少ない初期1ドル銀貨や、同じく初期の5ドル10ドル金貨などは狙い目としておもしろいと思います。

あと将来性があるのは、第二次世界対戦以降に発効された金貨のうち、鋳造枚数が少ないコインでしょう。1950年あたりでも発効後70年ほど経っており、そろそろクラシックコインの仲間入りです。デザインが良いもの、経済的に豊かな国が発効した金貨は、先行投資の価値があるでしょう。

このように既に高騰したコインを追いかけるのではなく、次世代のスター銘柄を発掘する作業もまた、コイン収集の1つの楽しみではないでしょうか。

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一緒に歩もう!小富豪への道』(2017年10月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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