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見知らぬ、天井。日経平均株価をこの水準から買い上げる主体とは誰か?=炎

日経平均は16連騰でストップとなりましたが、なおも過熱感はなく、年内2万2000円との見方も出てきました。ただ見慣れぬ水準での投資には注意が必要です。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)

プロフィール:炎のファンドマネージャー(炎)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。

歴史的変化の時代。「見慣れない株価水準」にどう立ち向かう?

投資家の期待が詰まった株式市場

総選挙が自公優位に終わり、政治の世界はこれから想定される国難の克服に向けた展開が続くと見られます。一方で、今回の選挙では投開票前から事前にそうした情勢がメディアで予測されていましたので、株式相場はそれを先取りするとともに、海外株式市場での株高に誘導された形で株高が続いてきました。

本来なら材料出尽くしのはずながら、週明けは15連騰(編注:原稿執筆時点。24日には16連騰を記録したが、25日には反落している)という歴史上初の出来事が見られました。東証2部やJASDAQなどの中小型株指数が高値更新を続けてきた一方で、つい先日まで日経平均は低迷して1万9200円台まで下落し、先日のまぐまぐ主催のセミナーでは各登壇者からも弱気の声が聞かれたのですが、まさに豹変した格好です。

続投が決まった安倍内閣がこれからの国難にどうやって立ち向かうのか、国民全体がどう国難に立ち向かうのでしょうか。

選挙後は歴史的な変化の時代に突入するとともに、漠然とした不安の中で、政策を打ち出せず国民目線から乖離した野党に対して圧倒的な優位に立つに至った安倍政権に託された課題克服への期待があります。現在の株式市場には、そうした投資家の期待が込められているものと考えられます。

15連騰とは言え、直近のボトムからの上げ率は12.9%に留まっており、じわじわと上昇するパターンからなおも過熱感なく、年内には22000円との見方も出て参りました。とは言え、上げピッチの速さは絶えず警戒感を投資家に抱かせることになります。

一体、誰がここからの上値を追う投資主体となるのか、個人投資家の皆様はここでの展開をできるだけ冷静に見て頂きたいと思います。

見慣れた株価 vs. 見慣れぬ株価

日経平均は23日、2万1723円という高値をつけて年初来高値を更新(編注:原稿執筆時点)。21年ぶりの株価水準に躍り出てきました。

一部の指数に寄与する銘柄(ファナック、ファーストリテイリング、ソフトバンク、東京エレクなど)のバリュエーションを抜きにした株高で、個人投資家にはさほど実感を伴わない上昇ぶりだと推察されます。

この道はいつか来た道…。見慣れぬ株価がいつまで続くのか…。足下を固めないままの株価上昇は長続きしない。ピッチの速さにいささか戸惑う投資家の皆さんも多く、指数だけが高い相場にしばらくはため息をしながら展開を眺めることにしたいと思います。

一方で東証2部、JASDAQなどの中小型株指数はやや頭打ちの状況が見られますので、ここはじっくりと投資するチャンスが来ています。

いつもの見慣れた株価で投資するのか、見慣れぬ株価水準で投資するのかの判断は、投資家各位に委ねられています。短期キャピタルゲイン狙い中長期スタンスの投資かによって、随分と投資対象は異なることになります。

安く買って高く売りたいとの願いが強い投資家心理からはこの上げ相場に乗り遅れるなとの思いを抱かせるのかも知れませんが、銘柄選びは慎重に、見慣れぬ水準での投資には十分な注意が必要です。

これは安値水準でも高値水準でも同じこと。安値を切る銘柄とて背景には何か良からぬことがあってのものかも知れません。高値水準を突破する銘柄には逆のこれまでにないポジティブな理由が考えられます。

全体相場も個別銘柄も高値水準・安値水準という位置を見極めながら、リスク分散を心掛けて投資活動を続けて頂きたいと考えます。

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時価総額が実質現預金を下回る銘柄

本コラムでも取り上げてきましたテノックス<1905>大成温調<1904>などのキャッシュリッチ銘柄に着目した筆者ですが、株高のトレンドの中にあって、未だに時価総額が所有している実質現預金(有利子負債控除後)を下回っている銘柄が存在するのに愕然としてしまうことがあります。

また、これだけでも驚きなのですが、保有する土地などの資産はデフレ経済の中ではまったく注目されてこなかったので、その資産価値を計算すると驚きの資産保有企業があちらこちらに存在していることがわかります。

デフレ脱却までは道半ばながら、資産価値(自らの収益力も含む)まで対象にした企業評価の中で時価総額が低水準のまま推移している銘柄群は、リスクテイクする投資家にとって魅力的に映るのではないかと思われます。

アドヴァン<7463>に注目

先日訪問した欧州産の高級床材・タイル販売会社として成長途上にあるアドヴァン<7463>(時価総額485億円・今期予想経常利益60億円)もそうした資産を保有する企業の1つ。原宿の一等地に本社ショールームを保有するほか、大阪や福岡などの都心部にショールームを設置。全国3か所の流通センターを活用した事業展開で高い粗利率を確保している企業なのです。

アドヴァン<7463> 日足(SBI証券提供)

TVCMによって一定のブランドを確立した同社は新たに1兆円市場へ積極的に参入しようとしています。ここでも自社の物流センターを活用したアマゾン型の事業展開を図れる点が強みです。

有利子負債はそこそこ抱えていますので一見してバリュー株には見えませんが、これは都心部に保有する資産価値の大きさで担保されており、含み益まで入れたバリュー株と言うことができます。B/Sには乗らない資産価値をベースに未来の収益拡大に向けた積極的な施策を打ち出しているのが目につきます。

東京オリンピック後のビジネス停滞を懸念する声があっての時価総額評価かも知れませんが、いずれ見直される余地があると思われます。

このところの株価は自己株処分価格よりも上に位置してはいますが全体相場が強い中にあって横ばい傾向にあり改めて見直しの期待が高まっています。

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億の近道』(2017年10月23日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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