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政府も後押し!本気で儲けに行く「サラリーマンの副業」入門以前=俣野成敏

政府が「働き方改革」の一環として、サラリーマンの副業を「原則禁止」から「原則解禁」へと方向転換することが決まり、この一年が大きな時代の幕開けとなることが予想されます。

副業が実際に解禁されれば、いずれは人々の間で「えっ、あなたまだ副業していないの?」という言葉交わされるような世の中になっていくものと思われます。

しかし、いきなり「副業してもいいよ」と言われて困るのが、「何を売るか?」「どう売るか?」ということ。そもそも、サラリーマンをやっている理由というのが、「自分の売り物も、売るためのルートも持っていない」ことによるからです。

たとえ副業にすぎなくても、「自分で商売をする」ということは、「自分の事業を持つ」ということです。そのためには、頭をサラリーマン脳から事業家脳に切り替えることがポイントになります。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2017年2月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目もすぐ読めます。

サラリーマン脳を事業家脳に切り替えて千載一遇のチャンスを掴む

「事業の本質を見失わない」ために

さて。一口に「副業が当たり前の時代が到来しました」と言われても、多くのサラリーマンにとって、副業は「寝耳に水」のできごとと言えるのではないでしょうか。今まで「ダメ」だったものが、いきなり180度方向転換したワケですから、戸惑うのもムリはありません。

しかし、以後は確実に「ウチは副業が禁止だから仕方がない」という言い訳が通用しない世の中が到来します。それは、いろいろな意味で実力社会になっていくということです。

サラリーマンが副業する場合、その方法は主に2種類に分けられます。ひとつは別の会社にも雇用されるパターン。いわゆる掛け持ちです。そして、もうひとつは自営業を起こすパターン。

当メルマガでは、複数の賃金労働の掛け持ちはお勧めしていません。「働き方革命」については政府方針でもあり、今年のキーワードでもあるので、さらに違う角度から改めて記事にするつもりですが、端的に言うと、2社目以降の労働賃金の時給は下がる傾向にあるからです。

サラリーマンが「自営業を起こすパターン」で副業を始めるにあたっては、「何を」「どう売っていくのか」が問題になります。たとえ売り物と販売ルートが決まったとしても、今度は事業を行うにあたっての、「さまざまな派生業務が必要になる」という事実に突き当たります。

サラリーマンとは、もともと会社の中で仕事を分担していますから、たいていは自分の専門外のことに関してはわからないのが実情です。そうなると、「経理なんてやったことないし」「税金わからないし」「帳票類はどうしたらいいんだろう?」「事業届って出さないといけないの?」「仕入れも交渉も全部自分がやらないと」…という状態に陥ります。

こうして、多くの人が事業を始める前の段階でつまずいてしまうのです。

私が主催しているマネースクールコミュニティでは、事業に関する講習会なども行っていますが、そこでよく挙がる質問というのが、「これは青色申告で認められますか?」とか「損益通算できますか?」といった内容です。しかし本来、事業でフォーカスすべきなのは、どう「顧客を獲得するか?」そして「その顧客にどうやって貢献するか?」ということです。

ところが実際は、目の前の些細なことが気にかかり、経営者が本当にやるべきことに向き合えなくなってしまう事例が後を絶ちません。事務作業に関する細かい疑問で思考がいっぱいになってしまい、本領を発揮できないでいるのは誠に惜しいことだと考えます。

ですから、事務の流れと注意点について、ポイントをあらかじめ理解しておけば、これから副業をする上において、いちいち立ち止まることも少なくなるのではないかというのが、本日お話する「スタートアップ戦略」特集を企画した意図になります。

大事を小事の犠牲にしてはならない」(スティーブン・R・コヴィー『7つの習慣』)のです。

「副業時代のスタートアップ戦略」事業をする上で欠かせない事務作業との付き合い方

ここまで、事業を持つためには発想の転換が必要であることや、事業立ち上げ当時に多くの人が陥りがちなつまずきポイントについてお話しました。

今回は、「副業時代のスタートアップ戦略」についてお届けいたします。

一般に、サラリーマンが「副業」を行おうと考える第一の目的とは「収入を増やすため」になるでしょう。もちろんそれがもっとも大事なことではありますが、目的を見誤ったばかりに、安易な低賃金労働に甘んじてしまう人が後を絶たなくなるのではないかと危惧するものです。

当メルマガでは、副業を「独立起業するための前段階」と位置づけています。それはたとえ副業であろうとも、自分の事業を持つことによって、独立後にいろんな意味で味わうことになる大変さを、先に味わっておけるという利点があるからです。

サラリーマンであるうちにさまざまな実験を行っておけば、本番である独立後に、起業家としてのスムーズなスタートを切ることができるのではないかと思います。

それでは、早速始めましょう。

Next: 「副業の最新常識」を徹底解説!最低でもこれだけは知っておこう



「給与所得以外で収入を得る」とはどういう意味なのか?

そもそも、法人、個人、個人事業主とは一体、何が違うのでしょうか?この違いを知らないがために、現在、すでに副業をしている人の多くが個人事業主の届け出をしておらず、中には「申告しなければ、副収入を得ていることを税務署に知られずに済むのではないか」と思い込んでいる人もいます。

税金に関して、詳しくはメルマガVol.25「もう『納税』は怖くない!」をご覧いただければと思いますが、副業とはいえ自分で事業を始める以上は、長期的視野からものごとを判断する必要があります。

【法人、個人、個人事業主は何が違うのか?】

一般に、営利活動などを「継続」を前提に行うことを「事業」といいます。国税庁のHPなどによると、「事業者」とは事業を行う個人と法人のことを指し、個人事業主の届け出を税務署に提出した人を「個人事業主」と呼びます。

法人とは、民法などによって認められている自然人(人間)以外の「権利・義務の主体」とされるもののことで、法人とするのが適当であると判断される実体に対して法人格(権利能力)が付与されます。

現在、日本国憲法によって納税は国民の義務とされています。サラリーマンの方にとって、確定申告はあまり馴染みがないかもしれませんが、本来であれば、確定申告とは日本に税金を納める人全員がすべきことです。ただ、日本では会社が年末調整を行うことによって、通常は納税が完了しているため、確定申告をする必要がないだけなのです。

年末調整で納税が完結する仕組みを採っているのは日本だけであり、たとえばアメリカなどになると、会社員であっても税金は基本的に自己申告するようになっています。しかし、日本でも大副業時代を迎えるにあたって、以後は自分で確定申告しなければならない人が激増するに違いありません。

【開業届は出した方がいいのか?】

国税庁のHPには、個人が新たな事業を開始した場合、開始日等からおよそ1ヶ月以内に「個人事業の開業・廃業届出書」を提出する必要がある旨が記載されています。ところが現実には、副業をしている多くのサラリーマンだけでなく、個人事業を本業としている人ですら、届出書を出していない人が多く見られるようです。

通常、給与所得者の副業所得が20万を超えていない場合は、確定申告をする必要はありません。それが、開業届を出してしまうことによって、かえって20万円以下でも確定申告をしないといけなくなります。そのことを手間に感じて、届出を出さない人が大半のようで、現状は開業届を出さなくても特に罰則などはないようです。

しかし、当マネースクールでは、(1)独立を前提にする以上は、本業を超える収入を目指す (2)届出を出すことによって、青色申告の利点を活かすという観点から、早めに開業届を出すことをオススメしています。

開業届を出すことによって、副業を「雑所得」として処理させることなく、事業として認めてもらえる材料のひとつになります。事業と見なされることにより、「損益通算が可能」になったり、「赤字を3年間繰り越しすることができる」「青色申告によって65万円の特別控除を受けられる」などのメリットを享受することができるようになります。

損益通算とは、事業によって出た赤字を、黒字の事業(サラリーマン所得)と合算することによって、納税額をその分、少なくできる制度のことです。青色申告とは納税の申告方法のことで、開業届を出していないと自動的に白色申告となり、青色申告のメリットが受けられなくなります(代わりに失業手当が出なくなるなどのデメリットもあります。詳しくはメルマガVol.25を参照)。

もともと、人間とは未経験のことに対しては行動する際に気後れがするものです。当マネースクールの受講生を拝見していても、開業届を出すことに対して「会社にバレるんじゃないか」とか「税務署に行って、事業についてどう説明すればいいのだろう?」といった抵抗感をお持ちの方が多いように見受けられます。

経験則から申し上げますと、税務署へ行って開業届を出すといっても、根掘り葉掘り聞かれたりすることはまずありません。たいがい、向こうにとっては単なる流れ作業であり、「ああそうですか。じゃあこれに書いてください」「はい、お疲れ様でした」で終わるのが一般的です。イメージ的には、「引っ越しした際に、住民票の届出を出すのと変わらない」と思っていただければ間違いないでしょう。

Next: 事務処理は極限まで効率化せよ/ありがちな「経費」の疑問にサヨナラ



事務の仕事とは、「会社が何をしたのかを記録する」こと

ここまで、事業についての基礎的なお話と、事業を始めるに際し、提出する開業届などについて説明しました。知識的な部分に関してはこれでお分かりいただけたと思いますので、今度は、営業をするにあたって必要になってくる事務作業等について見ていくことにしましょう。

【本来、事務の手間は少なければ少ないほどいい】

実際に、事業をしていく上で考えるべきこととは、一体何でしょうか?

先ほど、事業とは基本的に「営利活動などを行うこと」だとお伝えしました。民間で行われている事業とは、一般的には「商売(売買、取引)」を指すことがほとんどだと思います。では、その商売をしていく上で、もっとも大切なものが何かと言えば、「お金に関すること」です。

お金が出入りすることを「キャッシュフロー」と言います。お金は、動くことによってさらなるお金を生み出します。現在、この原理を活かそうとしている一例が日銀です。日銀がたくさんお金を刷ったり、マイナス金利を実行しているのは、市場にお金を供給して、それによって日本経済を動かそうとしているワケです。

国のことはさておき、経営者が事業でフローを回していくためには、(1)仕入れ(代金を支払う)(2)納品(受注した仕事の受け渡し)(3)報酬(対価を受け取る)の3つの大きなプロセスを中心に行います。これが事業の基本です。

一見、このプロセスは「当たり前」のことのように見えますが、実際に自分で事業をするとなった際には、この3つを意識して行わない限り、きちんと区別することができなくなります。

たとえば、「この支払はいつのものか?」「どの状態になったら『仕事が完了した』と言えるのか?」「このお金はどの仕事に対する報酬なのか?」といったことはっきりさせないと、お互いにわからなくなってしまいます。そのために必要となるのが各種事務作業ということです。

心配しなくても、いきなりすべてをきちんとやろうとする必要はありません。これが大企業であれば、人手も多く、仕組みもしっかりしているため、見積もりから始まって請求書、納品書、領収証、業務完了証、サンクスレター等、ひと通り揃っているかもしれません。その方が会社としての体裁が整っているようにも見えますが、大企業でそれを行っているのは、仕事がひとつの部署で完結せずに、複数の部署に渡っていることが多いからです。

ルールが煩雑になれば、その分、手間やコストがかかります。状況が許されるのであれば、中小企業の間では、なるべく略式にした方が余計な負担がかからずに済みます。とはいえ、見知った仲同士であっても「なあなあ」はかえってよくありません。事業が走り出してから変える方がリスクになりますから、始める前にお互いが納得するまできちんと話し合っておくことが大切です。

【「これは経費になるのか?」という疑問からサヨナラしよう】

副業について、サラリーマンの方からよく受ける質問というのが「この費用は、経費として認められるでしょうか?」というものです。

おそらく、質問された方は、あらかじめ知っておいて、「なるべく費用として認められるものにお金を使いたい」というお考えなのだと思います。しかしそれは、経営者としては真逆の考え方です。認められるものにお金を使うのではなく、「事業のために使ったお金を税務署に対して主張する」ということです。

もちろん、通るか通らないかはまた別の話にはなりますが、中には納得がいかずに裁判に訴える経営者がいることは、ご存じの通りです。

確かに、経費をつけやすい職業とつけにくい職業はあります。一例を挙げると、私が行っている「フランチャイズビジネス」「著者」「紹介業」といった仕事は、経費が比較的認められやすい職業です。

試しにフランチャイズショーに行ってみると一目瞭然ですが、実にさまざまな業種業態がフランチャイズ展開されています。ですからたとえば、ある分野の店を経営している私でも(※具体的な業態はメルマガ内でのみ公開しています)、FCラーメン店に行って食べたラーメンを「他業態の研究」と言うことはできます。経費化には常にストーリー(大義名分)が必要ですが、それが比較的つくりやすいということです。

その他、著者業であれば、ネタを求めて人と会う際に使った飲食代、旅費や出張費なども付けられますし、紹介業なども日々の活動を経費に結びつけやすいビジネスと言えるでしょう。しかし、だからといって「じゃあ、経費の付けやすい職業を選ぼう」とはならないのではないでしょうか。

結局のところ、経費というのは事業の本流ではありません。そもそも、経費というのは「売上を上げるためにある」のであり、何に使うかを決めるのが経営者の仕事です。すべては社長がどう判断するのかであり、「その経費が事業にどういう効果をもたらすのか?」「経営者として、税務署に対してどれだけ説得力のあるプレゼンができるのか?」ということにかかっていると言えます。

現実的には、税務署も職業別にすべての経費を白黒はっきりさせているワケではありません。税務署が確認するのは、あくまでも「事業に必要な経費だったのかどうか?」ということです。税理士の免許は国家が発行しているものですから、彼らに相談すれば仕事上、確実な経費だけを通そうとするのは仕方のないことです。

副業を行う上で、もっとも大事なのは稼ぐことであり、そのための経費だということを、どうか忘れないでいただきたいと思います。

Next: 「自分の事業を持つ」ことの意味/代行にも「マネジメント」が必要



「自分の事業を持つ」ことの意味

今回は、主にサラリーマンの方が掛け持ち型の副業を始める際に必要な情報をお届けしています。ですから、基本的には「すでに副業が決まっている人」を対象にお話していますが、そもそも「副業の選び方がわからない」などの疑問をお持ちの方も多いと思います。それに関しては、後日また改めてメイントピックスのひとつとして取り上げたいと考えています。

ではここで少し、事業が持つ本質的な面について触れてみたいと思います。

【「事業を持つ」とは「自分」で勝負すること】

たとえ副業であっても、「自分の事業を持つ」ということは「自分の名前で勝負する」ということです。それは、今まで「○○株式会社の××です」と名乗っているのが当たり前だった状態から、会社の名前が消えることを意味します。実際にやってみると、自分がそれまでいかに「会社に守られていたか」ということが、ご実感いただけると思います。

「自分のことをまったく知らない」という相手に対して、「△△をやっている××という者です」と名乗り、相手に「この人に仕事をお願いしたい」と思ってもらうためには、自分のことを信用してもらわなくてはなりません。ですから最低限、プライベートを公開する覚悟が必要になります。

人は、連絡先のわからない相手にお金を払うことはできませんから、そうなると商品自体を買いません。よって、少なくとも住所、電話番号、メールアドレス等を知らせる必要があります。

万一、自分の住所を公開するのがイヤだということであれば、現在はバーチャルオフィスなども用意されています。時々、会社の住所代わりに実家の住所や、住んでいない持ち家などを住所として使用する人がいますが、それだと会社宛ての大事な書類が届かない可能性がありますので、あまりオススメはしません。

メールアドレスはGメールでも構いません。ただ、見知らぬ相手とやり取りをする場合は、独自ドメインを取得した方が、相手に安心感を与えられるでしょう。

なお、余談になりますが、もし、副業などで他の収入を得ようとした時に、「経営と税金の仕組みがどうなっているのかを理解したい」ということであれば、国税庁のHPの中に確定申告作成ツールが用意されていますから、一度登録してみるのもいいと思います。これを利用すれば、最新の税法で計算でき、入力したものをプリントアウトすれば、それで確定申告することも可能です。保存しなければデータも残りませんし、これ以外のツールもたくさんあります。

【代行にも「マネジメント」が必要】

たいてい、起業時は自分ひとりしかいないものです。そこで、多くの起業家はすべてを自分ひとりでこなそうとして、孤軍奮闘することになります。しかし、「事務を本業にしよう」という方以外は、基本的に事務のプロになる必要はありません。独立した人に必要なのは、広げることではなく「狭めること」です。

事業を立ち上げる際の基本とは、「一番評価されていることで独立する」「自分のできることしかやらない」というのが鉄則です。その際、自分の得意分野を絞れば絞るほど独立しやすくなります。

たとえば、あなたが現在、経理部で働いているのであれば、「経理を外注で受けます」ではなく、その中でも「資金調達の仕事を専門にやります」とか「決算書をつくって事業改善提案ができます」といったように、「ここなら誰にも負けない」というポイントを研ぎ澄ませることです。

そうやって、自分の得意分野を絞った結果、事務処理などの自分の手に余ってしまった作業はどうすればいいのかというと、「他人にお願いする」ことです。そうしなければ、時間がいくらあっても足りなくなってしまうでしょう。他人に支払う費用を惜しむべきなのか、それとも自ら手を動かす時間と労力を惜しむべきなのかは、自分の時間単価を考えてみればわかります。

幸い、現在は腕のいい外注先が非常に充実している時代です。方向性としては、「自分の本業以外はすべて他人に任せる」くらいのつもりでいるのが正しい考え方と言えるのではないでしょうか。

代行をお願いする際の注意点とは、依頼をしたとしても「自分の仕事の一部であることには変わりがない」ということです。中には「お金を払っているんだから、きちんとやってくれるはず」と放置してしまう人がいますが、必ずしも相手が自分の思った通りにやってくれるとは限りません。つまり、代行をお願いするにしても、そこにはマネジメントが必要です。

たとえば、税理士を雇うにしても、ただ単に「決算書をつくってさえくれればいい」となれば、1円でも安い方がいいでしょう。価格のことしか頭にないのであれば、人はどうしても「安かろう悪かろう」に流れてしまいます。

そうではなくて、「きちんと税金対策をしたい」ということであれば、それができる税理士を雇い、さらに欲しい結果を得るためには、雇った後もしっかり仕事をしてもらうように働きかけなければいけません。これが「代行を依頼した後もマネジメントが必要」の意味するところです。

Next: 副業と本業と両立させるための2つのポイント/失敗を恐れるな



「副業」は通過点にすぎない

副業でお金を稼ぎ、独立起業を果たすこと」――これが今、この文章をお読みのあなたが叶えたい夢なのだと思います。ですが、それを叶えた先のことまで考えていらっしゃいますか?

今回の特集も、終わりに近づいてきました。筆を置く前に、「副業で成功し、独立につなげるための考え方」についてお話しておきましょう。

【本業と両立させるための2つのポイント】

副業へ向けた第一歩とは、小さく始めることです。「これは実験だ」と思って、思い当たることから始めてみてはいかがでしょうか。まずはやってみることが大切です。

本業をやりつつ、副業を行うにあたり、気をつけるべきなのは2つです。それは、(1)本業との競業禁止 (2)秘密保持の2つです。これらは「副業解禁の流れになったから注意すべき」ということではなく、これまでも、何かと問題になりやすい部分でした。

(1)は、会社の顧客を奪ってしまうことです。会社の得意先と懇意にしているうちに、「これは自分の客だ」と思い込んだ挙句、独立と同時に会社の顧客を連れていってしまうという「横取り独立」を時々見かけます。そもそもその顧客と知り合えたのは、バックに会社の看板があったからに他ならず、それを自分の実力と勘違いしているような人が、厳しい競争社会で生き残るのは難しいのではないでしょうか。

ただ、競業禁止も業界によるようで、たとえば人手の足りない建設業界などでは、サラリーマン大工が個人事業でも大工をやっていて、会社の規定勤務日数を超えても、なおかつ取引先から個人指名される場合などがあるようです。ジムのトレーナーなどでも同じような例はしばしば見受けられますが、どちらにしても腕を見込まれての「立っての願い」ということです。

このような、会社公認の共存共栄ならまだしも、通常はどこも社員による顧客の連れ去りは警戒しています。保険業界などでは、社員が個人事業主になって、契約内容を成果報酬に切り替えたりすることはよくありますが、副業や独立が今以上に増えてくれば、競業禁止は大きくクローズアップされることになるかもしれません。

本業と副業を両立するためのもうひとつのポイントである(2)「秘密保持」については、詳しい説明は不要でしょう。要は、会社の知的財産や個人情報などのリークを禁止することです。「競業禁止」と「秘密保持」の2つさえ満たしていれば、基本的に副業は問題にならず、むしろ社員の活躍の場が増えることによって、他での経験が本業でも活かされたり、視野が広がったりすることとなり、会社側からも歓迎されるようになるに違いありません

【副業のウチに「失敗しておく」】

実際のところ、多くの人が本業であるサラリーマンだけで手いっぱいなのが実情でしょう。そういう人は当然、掛け持ちのアルバイトをするような時間もありませんから、「手軽」「簡単」「楽に副収入」という言葉に惹かれてしまう気持ちもわかります。

ネット上には、こうした言葉を誘い文句に、「初期費用」と偽ってお金をダマし取る悪質な業者もはびこっているようですが、これらの言葉をご覧になって、何かお気付きのことがないでしょうか?それは、「自分にとって都合がいいか悪いか?」が基準になっているということです。

商売とは、相手に利益を提供することです。なのに業者が「あなたの利益になりますよ」と誘いかけてきているということは、「自分がお客さんになっている」可能性があります。もちろん、真っ当に商売している中間業者はたくさんいますが、「これは業務提携なのか、それともただのセールスなのか?」を見極める目を持てるように、ぜひ意識してみてください。

普通は、一度で成功できる人などそうそういません。確かに、成功したノウハウを買うことはできますが、それを自分のモノとし、使いこなせるようになるまでには一定の時間がかかります。逆に一発屋になってしまうと、一時的に稼げてもビジネス自体の寿命が短かったり、時代の変化に対応できなかったりといったことが起こります。ワケも分からず勝てた時というのは、継続できることが少ないものです。

ここに、「サラリーマンのうちに副業をする」意味があります。

サラリーマンでいるうちは、たとえ副業で失敗しても、それが致命傷にはなりません。何度もトライする中で、自分が本当に目指す世界が見えてきます。「失敗という選択肢」を外すことによって、だんだん自分のストライクゾーンが定まってくるのです。
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【2017年2月2日号 Vol.36『副業スタートアップ戦略』~目次】

太字は本記事で割愛した項目です。ぜひご購読のうえお楽しみください!

1、「給与所得以外で収入を得る」とはどういう意味なのか?
◎法人、個人、個人事業主は何が違うのか?
◎開業届は出した方がいいのか?

2、事務の仕事とは、「会社が何をしたのかを記録する」こと
◎本来、事務の手間は少なければ少ないほどいい
◎「これは経費になるのか?」という疑問からサヨナラしよう

3、事業をするにあたって付随する事務作業
◎契約書とは「仕事の範囲を明確にする」もの
◎「お金を受け取る」にも費用がかかる

4、個人「事業主」になるための心得
◎帳簿を付ければ「フローが見える」
◎「相手は本当に自分の顧客なのか?」を見極める

5、「自分の事業を持つ」ことの意味
◎「事業を持つ」とは「自分」で勝負すること
◎代行にも「マネジメントが必要」

6、「副業」は通過点にすぎない
◎本業と両立させるための2つのポイント
◎副業のウチに「失敗しておく」

7、副業こそ「自由への第一歩」

★本日のワンポイントアドバイス☆★
天職を見つけるための黄金の方程式

〔3〕次回予告(予定):
「FPってどんな仕事?」
~人気の資格に隠された素顔とは~

〔4〕今週のQ&Aコーナー:
現物資産の賢い購入方法って?

〔5〕今週の気になるトピックス:
「生命に手を加える」ことは、どこまで許されるのか?

〔6〕編集後記:
思いがけない「誕生日プレゼント」


※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2017年2月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目もすぐ読めます。

【関連】「ビットコインは怪しい」と思う日本人が知るべき仮想通貨の未来=俣野成敏

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俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2017年2月2日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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