不起訴となった元TBS・山口敬之氏の話を聞いていると、それが嘘だとかいう以前に「あ、これ自分で自分のやったことを告白してしまっている」と感じます。(『三宅雪子の「こわいものしらず」』三宅雪子)
※本記事は有料メルマガ『三宅雪子の「こわいものしらず」』2017年11月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
元衆議院議員。玉川学園女子短大、共立女子大学を卒業。テレビ局勤務を経て、2009年群馬4区で民主党から立候補し、比例復活当選。現在は、執筆やネット配信、福祉や介護のアドバイザーなどをしながら政治活動を行っている。
「復帰おめでとう会」って…見過ごせないマスコミ人の浮世離れ
マスコミの常識は世間の非常識
知人から1冊の本が届きました。レイプ被害に遭ったと訴えているジャーナリスト伊藤詩織さんの『Black Box』です。知人いわく、読んでいる間「何回か手が止まってしまった」とのこと。その意味がわかるでしょうか。
この事件について、今まで私はコメントを避けてきました。まず、両者を知らないのと、マスコミで長らく勤務していたこともあり、その現状を知りすぎているせいもあります。その現状とは世間の一般常識とはかけ離れたものです。
検察審査会で「不起訴相当」が決まり、みそぎが終わったとばかりに山口氏が雑誌に手記を発表したり、ネット番組に露出をし始めました。ネット番組ではシャンパンやワインが並べられ、さながら復帰おめでとう会のようでした。
山口氏が書いたり話していることを聞いて、その話が嘘だとかではなく「あ、これ自分で自分のやったことを告白してしまっている」と感じました。つまり、山口氏が「罪ではない」と信じ込んでいることは、マスコミという特殊な空間で、しかもそういうことに寛大な環境で許されてきたことなのです。「一般的には通用しない」ことだとまったく気がつかずにいるのです。
既婚者が酔っぱらいをホテルへ送る?
私見ですが、逮捕が直前で止められたかは疑念が残りますが、彼の主張は民事では厳しいのはないでしょうか? そもそも酔った人を送るのが、なぜ自宅でも病院でもなくホテルなんだろうという素朴な疑問も残ります。
なぜか、問題になっていませんが、そもそも山口氏は、少なくとも事件当時は既婚者だったはずです。日頃、不倫不倫と責め立てるメディアはなぜかこの件には触れません。山口氏は老父が入院したと同情を買おうとしていますが、「奥さんはどうなっているの?」と思ってしまいます。山口氏の奥さんと思われる女性はいつからかフェイスブックでは山口の名前を消して旧姓に戻っていました。ワシントン在住となっています。
『Black Box』はまだ最初の数十ページを読んだところですが、あらかじめ聞いていたとおり、あまりにもリアルで読み続けるのがつらいです。実は、事件が起きたのはうちから数分の距離にあるホテルなんですよね。そういうこともあり、その場面が想像できてしまうんです。
民事の動向を見定めながら、山口氏とそのオトモダチのこれからの様子を見守って(見張って)いこうと思います。
Next: マスコミだけではない、日本では司法の常識も狂っている
司法の常識も狂っている
『裁判官・非常識判決48選』(著:間川清著/刊:幻冬舎)を読んでいます。本のタイトル通り「びっくり判決」ばかりなのですが、現実にあった判決なので、当事者は堪らないでしょう。
司法の世界では、過去の判例は参考にするものの、裁判長によって判決は大きく変わります。言い方は悪いのですが、裁判長の「あたりはずれ」があるんですよね。1審、2審、最高裁と争って、最終的にトンデモ判決が覆ることがあるのが救いです(しかし、その逆も)。
例をあげると、有名なのが「認知症裁判」ですね。85歳(当時)の妻がうたたね寝している隙に91歳の夫が家を抜け出し、電車に轢かれて死亡した事件です。気の毒に思った方が多いと思いますが、こともあろうに、鉄道会社はお見舞いどころか、85歳の妻らを監督責任を果たしていなかったとして訴えたのです。さらに、驚くべきことに大方の予想に反し、1審、2審の判決は妻の責任を認めるものでした。
経験者はおわかりになると思いますが、家族が24時間要介護者を見張っていることなど不可能です。結局、最高裁で鉄道会社の訴えは棄却されましたが、訴えられた妻は、高齢でもあり、棄却になるまでの心労を考えると気の毒でなりませんでした。当然、社会の批判も集まりました。鉄道会社が仮に勝訴したとしても、請求金額以上に社会的評価を下げたように見えます。それを考えると、なぜこのような裁判を起こしたのか、まったくもって不思議でなりません。
私の(国会議員)現職時代には、「アスペルガー裁判」が問題になりました。罪をおかした障害者が「引き受ける先がない」という理由で、求刑(16年)より長い懲役を判決で言い渡されました。16年後のことなど誰にもわかりませんし、引き受ける先を探すのが行政の仕事です。発達障害の議員連盟では、会議を開き、法務省などに強く申し入れをしました。結果、判決は相応なものになりました。
人生で一度は裁判を経験する時代
ここ数年で日本も訴訟国家になりました。周囲を見渡しても、訴え、訴えられです。人生で一度は裁判を経験する時代ですね。
昔は争い事があっても、かならずいい意味で「お節介な仲介役」がいて、話し合いで解決していました。最近は、やりとりなくいきなり裁判です。こうした風潮は人間関係が希薄になったからでしょうか。
なにがあるかわかりませんから、裁判保険は安価ですし、入っていた方がいいかもしれません。
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※太字はMONEY VOICE編集部による
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