最近のSNSでは、豪華なランチ会やパーティなどで散財している投稿に「いいね」が多くつきます。将来価値より現在価値を重視する人がチヤホヤされているのです。(『教育貧困にならないために』川畑明美)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。
インスタ映えはお金がかかる。「時間割引率が高い人」は損をする
「散財する人」がチヤホヤされる時代
学生時代のことを思い出してみると、私はいわゆるお嬢様学校の女子大生だったのですが、クラスメイトからチヤホチヤされていたのは派手な服装や高価なアクセサリーをして、夜な夜なディスコに入り浸っているような人たちでした(「ディスコ」という言葉に時代を感じますが…)。地方の会社の社長令嬢など裕福な家庭の方が多かったので、私はかなり、浮いていました(笑)。
そして感じるのは、インスタグラムやフェイスブックなどいまのSNSでも同じということ。豪華なランチ会とか、パーティの様子とか、お金を散財している投稿にはコメントが多いですね。
つまり、将来の価値よりも「現在の価値を重視する人」がチヤホヤされる傾向があるのです。
「将来なりたい自分」のためにお金を使っているか?
行動経済学では、現在の価値を重視する人のことを「時間割引率が高い人」と表現します。アリとキリギリスの童話だったら、キリギリスは、時間割引率が高い人なのです。今を楽しむタイプの人です。
お金を使うことは楽しいですし、否定はしません。ですが、「本当に使いたいことにお金を使っているか?」ということを考えて欲しいのです。
貯金というのは、将来の大きな買い物のために、お金を貯めること。私は、高校2年生からコツコツバイトをして、大学受験をしました。ですので、将来の大きな買い物のためにお金を貯めることの重要度が身に染みています。
将来なりたい自分になるために、お金を使ってくださいね。強く望んで行動すれば、叶わない夢はありません。
将来笑うのは「貯金する人」
もしも、やりたいことのためにお金を貯めるのでしたら、現在の経済は最適です。株価が上がり、最低賃金も850円(東京の場合)と高い水準なのに、物価は上がっていないのです。
つまり大学受験費用は、私が受験した頃と変わっていないのです。ところが、私の高校時代の最低賃金は450円程度でしたから、2倍くらい違うのです。
物価が低く、給料が高い水準にある今、お金は自然と貯まる時代なんです。今やらずに、いつお金を貯めるのでしょうか?
Next: なぜ今こそ「貯金」に励むべきなのか?経済学的に解説します
なぜ今こそ「貯金」に励むべきなのか?
「物価が低く、給料が高い水準にある」について、もう少し詳しく説明します。
これは日本だけではなく、アメリカやイギリスなどの先進国で起こっている現象なのですが、失業率が低下していて株価が上がっている、つまり「景気が回復」している状態なのに、賃金の伸びは緩やかでインフレ率も高まっていません。
通常、失業率と賃金やインフレには、強い関係があります。経済の教科書に書かれていることは、次のような感じです。
- 失業率が低下すると賃金の高い会社に人が集まるので、全体的に賃金が伸びる
- 賃金が高いということは、そこで生産されるモノやサービスの値段も上がるので、インフレ率が高くなる
ところが、失業率が低いのに、賃金もインフレも緩やかな状態が世界的に続いています。
この「夢のような状態」はいつまでも続かない
つまり、働く意思があれば職に就くのは可能で、モノやサービスの価格は依然として低いままという、夢のような状態が続いています。
バブル経済のときは、モノやサービスの価格が高くて本当に大変でした。私の学生時代はユニクロなどありませんから、安い服は質が悪かったりしたものです。ある程度の質を求めるとデパートで購入しなければならず、ビジネス用のコートなどは安いもので10万円はしていました。
つまり、お金を貯めるなら「今でしょ!」なんです。誰でも収入を得るチャンスがあって、モノやサービスが安いままなんですから。
もちろん、投資するにもチャンスです。確かに株は高い水準ですが、10~20年先を見据えるのでしたら、やらない理由もないのです。株式投資もはじめないと、いつまで経っても上手にお金を増やすことができませんよ。
『教育貧困にならないために』(2017年11月11日,12日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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