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投資のプロならスルーできぬ、あのバリュー株の理不尽な急落を見逃すな=炎

今日取り上げるのはバリュー株の1つ。中間決算後に株価が急落しましたが、同社に訪問して話を聞く限り、業績面でさらに売り込まれる要素はないと感じられます。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)

プロフィール:炎のファンドマネージャー(炎)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。

上昇基調からの急落をチャンスにできるか?企業の実力を吟味せよ

理不尽なバリュー株の急落

あなたは成長株指向ですか? それとも、バリュー株を指向されていますか?

先日開催した私のセミナーでもこの2つの投資スタンスを問いかけさせて頂きましたが、多くの投資家にとって、どちらを指向するにしても企業内容の吟味が必要なことは言うまでもありません。

成長株投資を指向する投資家にとっては、PER、ROE、業績の伸び、経営者の成長への取り組み姿勢、リスクの把握、セクターの位置づけ、先行投資などのキーワードが注目したいポイントです。成長株投資では変動リスクもありますが、キャピタルゲインを得る機会が多く、株式投資の醍醐味が味わえるものと思います。

一方、バリュー株投資では、PBRや配当利回り、配当性向、ROE、保有現預金、有価証券、投資有価証券、有利子負債、時価総額に加え、潜在的な成長企業としての位置づけがチェックポイントになります。

成長株にしろバリュー株にしろ投資家の期待が外れた場合は、それまで上昇トレンドを描いていたとしても、一気に下落に転じることもあります。

バリュー銘柄「テノックス<1905>」の値動き

例えば、これまで当メルマガで取り上げられてきたバリュー銘柄の中でも代表的な銘柄であるテノックス<1905>株が、先々週(11/13~)は中間決算の発表前につけた直近の高値1355円から一気に1075円まで20%余りも短期間に売られてしまいました。積み上げ型で上昇してきた株価の久々の大幅安ですので、多くの読者の皆様も関心を持たれているのかも知れません。

1075円をボトムにして同社株は次第に落ち着きを取り戻しつつありますが、先週末(11/17)はなおも売り物がちに推移してしまいました。下値模索局面を経て反転に向かうのか、ここは冷静に評価していく必要がありそうです(編注:本稿執筆時点11月20日)。

テノックス<1905> 日足(SBI証券提供)

いかにもバリュー株らしいやや保守的な同社に訪問してお話をお聞きする限りでは、業績面でさらに売り込まれる要素はないと感じられます。出来高面では、既に約81万株と見られる浮動株のうち54.5万株(67%)が決算発表後の5日間でできた計算になります。

過去の業績推移や今後の業績見通しを踏まえて強弱感が対立していると考えられますが、皆さんの評価はいかがでしょうか。バリュー株が成長株に脱皮しようかというタイミングで起きた株価の急落ではありますが、皆さんも改めて吟味願えれば幸いです。

なお、同社株については有料メルマガ「炎の投資情報」でさらに詳細をご報告申し上げますので、ご参照賜りましたら幸いです。

Next: IPO銘柄は悲喜こもごも。上場後不人気の東証1部銘柄に妙味あり?



IPO後に下落トレンドが続く東証1部大型銘柄

15日のCSランバー<7808>まで、今年も63社が上場を果たしました。公開価格に対して多くは初値が高くなり、その後は安くなる銘柄もあれば高くなる銘柄もあり、二極化の様相が見られます。

マザーズ銘柄はIPO後の成長期待が高まるケースも見受けられますが、中には期待外れに推移する銘柄もあり、悲喜こもごもの状態です。

一方で、東証1部に上場を果たした銘柄は3月22日のマクロミル<3978>から始まって、オークネット<3964>スシローグループHD<3563>再上場組が相次ぎました。

マクロミルは上場初値が公開価格を4.3%下回り、その後も値を下げ、公開価格から15.9%の値下がりを見せましたが、その後は10月31日の高値3500円まで2倍以上の水準にまで上昇しました。オークネットやスシローについては上場後、上値が重い状況が見られます。

マクロミル<3978> 日足(SBI証券提供)

オークネット<3964> 日足(SBI証券提供)

スシローグローバルHD<3563> 日足(SBI証券提供)

その後は、4月12日にLIXIL系のLIXILビバ<3564>、9月29日に西本貿易を子会社に持つ西本Wismettacホールディングス<9260>が上場しましたが、いずれも上場初値が公開価格を下回るなど不人気な状況が見られます。

東証1部に上場した銘柄は極端に高い成長性は期待できませんが、安定した成長が見込めるほか、配当利回りが高いなどの買い安心感があります。PERが市場平均を下回っている場合などは見直し人気につながる要素もありますので、改めてチェックしてみてはどうでしょうか。

12月は、佐川急便をグループに持つSGホールディングス<9143>をはじめ、既に公表されている分だけでも12月20日までに20銘柄のIPOが予定されており、このうちの6銘柄は東証1部に上場が予定されています。

上場後不人気の東証1部上場銘柄にも、多少は関心が向く可能性もありそうです。

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億の近道』(2017年11月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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