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「子どもを貧乏にしたくない」親が知るべきルール。自己責任論は本当に悪か?=午堂登紀雄

「自己責任ばかり言うのは良くない」「社会の仕組みが悪いせいだ」という人がいます。しかし親がこの考え方にハマると、その子まで貧困に陥る恐れが高まります。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)

※本記事は有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2017年9月11日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

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「我が子への貧困連鎖」という悪循環を断ち切るたった1つの方法

多くの共感と異論反論

先日、『貧乏な家の子どもがお金持ちになれない本当の理由と「思考格差」の正体』という記事を書いたところ、多方面から反響がありました。

マネーボイスのアクセスランキングでも上位ですが、異論反論もありました。そこで本稿では、私の意見に違和感を感じた人に向けて、前回の内容をもう少し補足したいと思います。

「自分ではなく社会が悪い」に潜む罠

親自身が変わらなければならない」という主張に対し、「自己責任ばかり言うのは良くない」「社会の仕組みが悪いせいだ」という人がいます。もちろん、何を言おうとそれは本人の自由です。

では、責任の所在を社会という漠然としたものに転嫁することで、何かうれしいことが起こるでしょうか。自分の収入や子どもの未来の収入が改善するでしょうか。

政治が悪いとか、自分ではない誰かのせいにすれば、自分が悪いわけではない、自分は無能ではないと自尊心は維持できます。

「日本は未来に希望が持てない国」「社会が悪い」などと他者のせいにすれば、自分が努力をしなくてもいい言い訳ができ、安心できる。

しかし、誰か他人のせいで自分が不幸なのだとしたら、その誰かに振り回され続けることを意味します。その誰かがいないと生きていけない、あるいはその誰かに変えてもらわなければ満足できる人生にできないとしたら、これは非常に不安定な生き方ではないでしょうか。

自分が変わらなければ、生活も変わらない

野球にしても、うまくボールを打てなかったら、打ち方を変えるなど工夫します。同じ打ち方を続けて打てるようになりたいというのは無茶な話でしょう。

これと同様に、社会のせいにして同じ生活を続けて、それで違う結果を求めるというのは、まったく整合性がないことに気が付きます。

あるいは「努力する気持ちを削ぐ、やる気を見いだせない今の社会に問題がある」という人もいます。

しかし、たとえば同じ試験を受けて不合格になったとき、「くっそー!次は絶対受かってやる!」と発奮してさらに努力する人もいれば、「自分にはダメだ」とがっくり挫折する人もいます。

ではこうした違いも、社会の仕組みや政策がおかしいからもたらされるのでしょうか。

個人の努力だけではない」という人がいます。

では、生まれつき手足がない障がい者でも、文章を書いたり講演をしたり、人生を楽しんでいる人がいる一方、五体満足で生まれていながら、自分の境遇を呪い不平不満を言っている人がいるのはなぜか。

こうした違いも、何か社会の仕組みや諸制度に問題があるというのでしょうか。

そしてそういう話をすると「手足がなくても活躍できている人は特殊な例だ」などという人が出てきます。それなら、自分がその特殊な例になるよう努力すればいいだけのはず。

確かに芸能人や政治家の2世など生まれつき恵まれている人もいますが、ほとんどの人は「ただのフツーの人」から始まっているのですから。

Next: 事実として「貧困の連鎖」を止める方法はいくらでもある



「貧困の連鎖」を止める方法はいくらでもある

「お前だから言えるんだろう」と言われそうですが、私も大学を卒業したとき就職できずフリーターでしたし、最初に就職した会計事務所も1年でクビ同然で辞めたという、平均以下の存在でした。独立起業してからも、会社を2つ潰しています。

親の経済格差が子どもの教育格差を生み、貧困が連鎖・固定化するというのは、社会のせいでも政治のせいでもない。大学に進学させればハッピーになるわけでもない。

貧困の連鎖を本気で止めたいのなら、まず親(本人)が変わろうというのは、つまりそういうことなのです。

もちろん、孤児であったり早くに親を亡くしたり、虐待などで心の傷を負っていたり、ケガや病気をしたり、自分とは関係のないところで発生した様々な事情によって、ままならない人生に陥ってしまう人はいます。そうした人を支援することまで否定しているわけではありません。

そういった特別の事情がないのに、貧困の連鎖を社会や政治や他人のせいにする人は、自分が貧困から抜け出しさらに自分の子どもを貧困にさせないためにどうすればいいのかわからないし、考えるのも面倒くさい、努力するのはもっと面倒くさいという、怠惰な人間なのでしょう。

本を読み、思索しよう

そんな人間にならないためのお勧めの方法のひとつは、やはり本を読むことです。

怠惰な人間の部屋には本がない」という話を何かの本で読んだことがありますが、読書という多種多様な価値観に触れて考える習慣がないと、今までの自分が持っていない判断軸を取り入れられる頻度が少なくなり、生きる選択肢が狭くなるのだと思います。

しかし今や人間のあらゆる活動領域において書籍が出版されていますから、自分が目指すべき生き方や、そうなるための方法論は簡単に知ることができます。

ただし、自分の価値観と違うからと、気に入らないからと反発するだけでは、本を読む意味はまったくありません。

著者の主義主張をいったん自分の中にくぐらせて、「では自分はどう考え、どう行動するか」と、自分の人生に応用する姿勢を持つことです。本の内容を参考に、自分の人生がレベルアップし、幸福感につながる行為こそが「本から学ぶ」ということです。

単なる反発や否定は何も生み出さないし、それは「自分とは違う意見を受け入れられない頭の固い人間」ということであり、つまり「学習能力がない」ことを意味します。

あるいは、著者の価値観や著者が指摘している懸念・不安・リスクなどに対して、「なぜ自分は著者とは違う意思決定をし、違う行動をしたのか」と振り返ることです。

すると、「だから自分はこうしたんだ」と自分の判断を支える根拠がより強くなり、自分の選択や生き方に自信が持てるようになります。

Next: 日本に「本当の格差」など存在しない



旅をして日本との違いを考えよう

もうひとつの方法は旅、特に海外旅行をすることです。

これは以前もこのメルマガや別の書籍で紹介した話なのですが、私にとって思い出深いエピソードなので、再度ご紹介します。

もう10年ほど前になりますが、カンボジアに旅行した時の経験です。

平均月収が1万円ちょっとというカンボジアの首都プノンペンでは、1台1500万円もする高級車レクサスがたくさん走っています。カフェブームで1杯500円のカフェも乱立しています。

一方、そこから車で約20分のゴミ処理場では、5~10歳くらいでしょうか。たくさんの孤児が働いていました。みな上半身ハダカで、靴も履いていません。カンボジアでは、親の教育放棄によってたくさんの孤児がいるといいます。

彼らはうず高く積まれたゴミの山から鉄くずを取り出す仕事をしています。夕方に来るブローカーから、見つけた鉄くずと交換にお金を受け取ります。

しかし、丸一日働いてもらえるお金は、日本円にしてわずか40円ほどという。彼らは限りなくブローカーに搾取されているのですが、生きていくために、もくもくと働いています。

子どもたちの多くは、15歳まで生きられないそうです。裸足なので、足をケガしてそこから雑菌が入り、病院にも行けず、ほとんど数年で死んでしまうとのこと。

ゴミ処理場に住んでいて、家もお金もなければ、学校にも行けないし、おいしいものも食べられない。彼らはその短い一生を、ゴミの山に囲まれて死んでいくのです。
(※現在は状況は変わっていると思いますが、当時の話)

彼らは携帯電話もパソコンも持てない。学校も行けないし就職もできない。パスポートも持っていないから海外にも行けない。人生を変えたくても変えられない。どこかへ逃げたくても、逃げられない。挑戦したくてもできない。

ひるがえって「日本は格差が広がっている」「夢が見られない格差社会」などと言われますが、カンボジアに限らず、私がアジアの諸外国を見てきて感じるのは、日本は世界一格差の小さい国のひとつではないかということです。

日本に「本当の格差」など存在しない

実際、

携帯電話を持てない大人はどれくらいいる?
小学校に行けない子どもはどれくらいいる?
コンビニで買い物できない人はどのくらいいる?
病気になったりケガをしたりしても病院にかかれない人はどのくらいいる?
服を買えない人、裸足で生活せざるを得ない人はどのくらいいる?

つまり「格差、格差」という人は、「本当の格差」がどういうものか知らないのでしょう。世界水準で比較すれば、日本には格差なんてないに等しい。確かに日本もいろいろ問題はありますが、世界の凄まじい格差を知れば、格差だなんて言えなくなります。

Next: 誰かのせいにするのは簡単。その誰かは何もしてくれないけれど



夢は誰かに見せてもらうものではない

「これはカンボジアという外国であって日本では当てはまらない」「貧困とは相対的なものだ」という人がいます。そうやって誰かのせいにするのは簡単ですが、その誰かは何もしてくれないのに

努力はしたくないけどカネはくれ、ということでしょうか。それこそ「夢が見られない社会」だなんて、夢とは誰かに見せてもらうものだと思っているのでしょうか

私はこの経験を通じ、自分がどれほど恵まれているかということに感謝するとともに、環境を言い訳にすることなく、自らの責任において、自らの努力で人生を切り拓こうという、前向きなモチベーションを得ることができました。

【関連】お金持ちを見習って「長財布」を使う人がますます貧乏になるワケ=午堂登紀雄

日本で日本人として生まれてきたことは、人生ゲームでサイコロの6の目を出して人生を始めたくらい幸運なこと。そして、やりたいことは何でもできる、あとは自分次第と考えるようになりました。そうした勇気が得られるのも、海外旅行の有意義なところです――

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【関連】平凡で幸せなお金持ちが「踏み台にする会社」はなぜ古くてダサいのか?=午堂登紀雄

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※本記事は有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2017年9月11日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。12/11に配信された最新号「老後NINJAを避けるためにできること」もすぐ読めます。(※本記事の続きは9月分バックナンバーをお求めください)

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午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』(2017年9月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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