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ビットコインFXという死亡遊戯。レバ25倍の本当の意味を知っているか?=今市太郎

値動きの激しいビットコイン取引で高いレバレッジをかけると、すぐに証拠金が吹き飛びます。為替FXの延長線上で考えていると、死亡遊戯に巻き込まれるでしょう。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2017年12月15日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

ドル円感覚で飛び込むと死ぬ。ビットコインのハイレバ取引に注意

為替からビットコインへ流れる個人投資家

年末に入ってから、個人投資家のFX取引がかなり減少しているという噂を聞きます。どうもメディア報道などから見ても、このビットコインバブル状態に本邦の個人投資家が相当加担して、相場の上昇に一役買っていることが窺われる状況です。

取引形態が従来の為替FXとほぼ同様の形であるうえに、国内の為替FX並みにレバレッジがかけられるため、その延長線上でビットコイン取引に乗り出している個人投資家が非常に多くなっているようです。

しかし、ここまで数カ月ビットコインを見続けてきて、実際に取引もしてみた経験から言いますと、2倍程度のレバレッジでもリスク満載でかなり危ないわけですから、25倍のレバレッジで売買するというのは無謀すぎる話であることを十分に理解しておく必要があります。

証拠金維持率はすぐに「0%」になる

まず、証拠金維持率の計算方法を念のため書いておきますと、

証拠金維持率=(保有資産 −(買った時の通貨の価格 − 現在の価格)× 購入枚数)/(買った時の通貨の価格 × 購入枚数/レバレッジ倍率)

ということになります。

これは従来のFXとまったく同じ方法になるわけですが、問題は1日の値幅で25倍のレバレッジならば、たとえ1BTC=150万円で1枚を購入しても5万円程度のコストですから、ドル円1万通貨のコストよりも若干高めくらいにしか感じないところが大きな問題です。たとえば、証拠金を100万円投入して、1BTC=150万円で2枚25倍のレバレッジで購入した場合、価格がいきなり1BTC=100万円になった途端に、証拠金維持率は0%に下落することになってしまいます。

最近人気のGMOコインの場合には、15倍のレバレッジで証拠金維持率が80%、25倍で85%で強制ロスカットになる勘定です。また、通常300円~最大5000円といわれるスプレッドも、異常な暴落が起きるとさらに広がったり値飛びが起きて、証拠金維持率を簡単に0%まで吹き飛ばす可能性は十分にあることを考えておく必要があるということです。

GMOの説明サイトでは追加証拠金の制度はなく、この証拠金維持率を下回った場合には強制ロスカットになる旨が記載されていますが、自動ロスカット時に損失が証拠金を上回った場合には不足額を請求するとしています。

実際にそんなことがあるのかと思われる方もいらっしゃると思いますが、カバー先を10数社もってやっているFXの店頭取引業者との相対取引においても値が飛んで、想定していた強制ロスカットの価格以上に損失が出ることは年に必ず1回以上起きているのが実情です。ですので、240万円が瞬間150万円になるようなビットコイン取引では、日常的に起きるものであると考えるのが妥当な発想といえます。

Next: ビットコイン自体は安全でも、証拠金取引には危険がいっぱい



ハイレバを売り物にするXMですら、3倍強程度のレバレッジ

888倍というハイレバレッジで国内でも人気の「XM」は、リスクが高いということで日本の金融庁からは目の敵にされていますが、そのXMでさえBTC/USDのレバレッジは3~4倍がいいところで、そもそも顧客が過分なリスクをとらないような制度設計がされています。

GMOコインは比較的アクセスもリアルタイム決済もいまのところできているようですが、それ以外の先行取引所は約定までにえらく時間がかかったりして、およそこうしたFX的取引ができるシステム環境を提供していませんので、1倍のレバレッジの取引でさえ売買するのは相当な不安が残るものとなります。

【関連】ビットコインは一転暴落の可能性も?最新未来予測/仮想通貨とサウジ政変=高島康司

外国為替証拠金取引の黎明期に酷似

このビットコイン取引所の相場乱高下状態における体たらくな状況は、2004年ごろに店頭FXのビジネスに多くの新参者が参入して、ボロボロの状態だったころの黎明期のFX業界に極めて似ているといえます。

GMOは店頭FX業者としてはかなりまともな対応をしていると評価できますが、自己責任とはいいながら25倍のレバレッジを提供するのは、ビットコインを利用した今世紀最大の死亡遊戯場となる可能性がきわめて高く、利用者にそのリスクを徹底して告知する義務があるのではないでしょうか。

もちろんビットコインだけにリスクがあるわけではありませんから、過度に規制を受けることは良しとはしません。しかし、さすがに足元のハイボラティリティな状況と、売りがかさむと流動性パニックに陥る独特の相場状況は、かなりの博打打ちが参入しても勝ち残れない驚愕相場であることだけは、あらかじめ十分に理解していただきたいと思います。

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今市太郎の戦略的FX投資』(2017年12月15日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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