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私が「安倍総理との会食」で感じたこと。財務省主権国家日本への不安=三橋貴明

記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年12月15日号より
※本記事のタイトル・リード・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

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安倍総理との会食「3つの要点」

さて、ご存知の方が多いでしょうが、総理と会食し、小学館『財務省が日本を滅ぼす』を進呈。本書の内容について、多いに議論をさせて頂きました。

まずは、2010年の参議院選挙の際に、応援演説をして頂いたことについてお礼申し上げ(今まで機会がなかったので)、その上で和やかに「シビアな話」をさせて頂きました。

内容について、全て書く気はありませんが、重要なポイントだけ申し上げると、

  1. 「財務省が日本を滅ぼす」を書いた三橋との会食を持ちかけたのは両端の方々ですが、「クローズではなく、オープンで」と決めたのは官邸であること(オープンなので、総理動静にも載りました)
  2. 何をやるにしても、全てPB(プライマリーバランス)黒字化目標が「壁」となり、何もできない。という現実を、総理は認識していること
  3. だからと言って、「総理はPB黒字化目標が問題であることは分かっているんだ。ああ、ならば大丈夫だ」などと思ってはいけないこと

の3つになります。

日本の「緊縮路線」は変わらない

特に重要なのは(3)で、総理が真実、PB黒字化目標が問題であることを理解していたとしても、だからと言って現行の緊縮路線が転換されるわけではありません

財務省主権国家「日本」をなめてはいけません。現在の日本を財政拡大に転換させるのは、たとえわたくしが総理大臣の座にいたとしても無理です。

なぜならば、「政治家」「世論」「空気」が緊縮歓迎になってしまっているためです。そのように、財務省のプロパガンダが展開され、多いに成功を収めているのです。

この空気を変えるためには、やはり「言論」を動かさなければなりません。特に、緊縮路線を進み続ける安倍政権を、「正論」に基づき批判しなければならないのです。

といいますか、安倍総理の支持者の方々こそ(わたくしは違います)、むしろ積極的に安倍政権の緊縮路線を攻撃する必要があるのです。

何しろ、政治は「結果」が全てです。そして、安倍政権の「結果」は、緊縮路線なのです。「安倍総理は、財政拡大が必要だと分かっている!!」などと、総理を褒め讃えたところで、結果的に緊縮路線が継続するならば、我が国は「亡国」です。

Next: 政治は結果が全て。安倍政権の結果は「大増税」だ



安倍政権の結果は「大増税」

2018年度与党税制改正大綱の原案が12日、明らかになった。所得税改革では年収850万円超の会社員を増税することを盛り込んだ。

多様化する働き方に対応するため、誰もが使える基礎控除を増やし会社員向けの給与所得控除を減らす

20年1月から実施する。

大綱では21年以降も基礎控除の充実をはかり、労働市場の構造変化に対応する方針を明記した。

与党は14日に大綱を正式決定する。(後略)

出典:所得税改革、21年以降も 労働市場変化に対応 – 日本経済新聞(2017年12月13日配信)

総選挙の際には「しょとくぜいかいかく」の「しょ」の字も出てこなかったわけですが、選挙が終わった途端に当たり前のように「所得税改革」が推進され、増税が決まる。所得税増税に加えて、出国税(観光促進税)たばこ増税と、次から次へと増税路線。

これが、安倍政権の「結果」です。

勝負は「PB目標破棄」に絞られる

何しろ、プライマリーバランス黒字化という「毒針」を抜くことができていませんので、高齢化により社会保障支出が増加する以上、19年の消費税増税、さらには所得税等の増税、診療報酬・介護報酬の削減、公共投資削減、防衛費や科学技術予算、教育予算、食料関係費等の抑制は「既定路線」です。

例えば、昨夜は「農業問題」でも議論し、少なくとも、「日本のコメ等を輸出し、食料生産能力を維持するには、輸出補助金を(アメリカのように)つけなければならない」という点は一致を見たのですが、結論は、「でも、PB黒字化目標があるから、できない」なのでございます。

すなわち、勝負は「PB目標破棄」に絞られます。最低でも、18年6月の閣議決定の際にPB目標を破棄できなければ、話になりません(それが実現したとしても、予算に反映されるのは19年度から…)。

PB黒字化目標という「毒針」を抜くためには、世論や政治家の空気をそちらの方に動かさなければ、誰が総理大臣であっても「不可能」なのが現実の日本なのです。

Next: だが「PB黒字化目標が問題」という点では合意を見た



「PB黒字化目標が問題」という点は合意を見た

日本には救世主はいません。『財務省が日本を滅ぼす』を書いた三橋が総理と会食した程度で、政策が良き方向に向かうはずがないのです。

(ついでに、会食したからといって、「三橋が安倍に懐柔された」などという話にもなりません。何で税金で1回ご飯を食べさせてもらったくらいで、そうなるのですか。政治は、あるいは政治家は結果が全てです)

それでも、『財務省が日本を滅ぼす』の三橋が総理と会食し、「PB黒字化目標が問題」という点について合意を見たことは、もしかしたら政治的な影響があるかも知れないわけです(というわけで、ツイッターの背景写真はしばらくあのままにしておきます)。

それにしても、ここまでやっている以上、近い将来、わたくしに何らかの「スキャンダル」が出るか、痴漢冤罪で捕まるか、弊社に国税が来るのは避けられないでしょう。

わたくしは政治家ではないため、スキャンダルは大したダメージにならず、痴漢冤罪を避けるために電車移動もしないため、やはり「国税」という攻撃が最も可能性が高いと思います。

それでも、やりますし、続けます。わたくしたちの子孫が、中国の属国民として生きるという悪夢の未来を避けるために、現代を生きる日本国民として責任を果たすために。

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三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年12月15日号より

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