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「ビットコイン投資」超入門(7)長期保有や分散投資時のリスクと将来性=小田玄紀

本格的な利用が期待される仮想通貨「ビットコイン」。本連載では、仮想通貨・ビットコインを使った投資について、メリット・気を付けたいコトを株式・FX等にも精通する小田玄紀氏がわかりやすく解説します。仮想通貨や取引所の選び方は? 何をしたら得して、何をすると損する?仮想通貨投資への一歩をココから踏み出しましょう!【連載最終回(全7回)】

【連載第1回】「ビットコイン投資」超入門(1)〜いま国内参加者が急増している理由って?

【連載第2回】「ビットコイン投資」超入門(2)〜最初に買った人はどれくらい儲かった?

【連載第3回】「ビットコイン投資」超入門(3)〜まさかの大損を避ける賢い売買法とは?

【連載第4回】「ビットコイン投資」超入門(4)〜ドル円とビットコインの微妙な関係って?

【連載第5回】「ビットコイン投資」超入門(5)道端のBTC拾い「アービトラージ取引」って?

【連載第6回】「ビットコイン投資」超入門(6)少ない資金で大勝負!証拠金取引の基本

※本記事は2016年10月に発売された小田玄紀氏の書籍『1時間でわかるビットコイン入門』より、「ビットコイン投資の基礎」についての解説を再編集したものです。

プロフィール:小田玄紀(おだ げんき)
株式会社ビットポイントジャパン 代表取締役社長。1980年生。東京大学法学部卒業。大学在籍時に起業し、後に事業を売却した資金を元にマッキンゼー出身者らと共に投資活動を始める。「頑張る人が報われる」をコンセプトにして起業家や社会起業家の事業立上げ・経営支援を行う。株式、FX、債権などの投資にも精通し、仮想通貨取引にも携わる。2016年3月に上場会社子会社として初の仮想通貨取引所であるBitpointを立上げ、同社代表取締役に就任する。

長期保有や分散投資も有望なビットコインの注意点をチェックしよう

「売り」から入る(ビットコインの先物取引)

価格が上がったところで売ってリターンを得る、というのが一般的な投資ですが、反対に、値下がりする局面でリターンを得る方法もあります。一般的に「売りから入る(先物取引)」などといわれる投資手法です。

売りから入るとは、「買ったものを売る」のではなく、「まずは売って、あとから買う」というものです。ビットコインを借りて、それを売り、あとからビットコインを買って返すのです。

たとえば、1BTC=6万円のときにビットコインを借りて売り、5万円に下がったときに買って返せば1万円儲かる…ということになります。ビットコイン価格が値下がりすることで、リターンが生じるわけです。

売りから入る場合にも、「証拠金」が必要です。思うようにビットコインの価格が動かなかったとき(下がると思ったのに実際は値上がりしているなど)には、借りたビットコインを返せない可能性もあるため、証拠金を担保とするわけです。

また、ビットコインの価格が一定の水準を超えるなど、含み損が膨らんだ場合にはロスカットになることもあります。

証拠金取引をしている間は、取引所が定める一定のコストがかかることもあります。多くの取引所で先物取引ができ、レバレッジをかけることもできます。レバレッジが大きいほどリスクが大きくなりますから、注意してください。

Next: ビットコイン投資のリスクとは?取引所のトラブルには要注意



ビットコイン投資のリスクとは

投資は自己責任であり、株式、債券、外貨、金など、すべての投資にはメリットがある半面、リスクも伴います。ビットコインも同じです。

ビットコインの大きなリスクとして挙げられるのは、価格の急落です。

急落の要因として最も多いのが、取引所のトラブルです。2016年8月に、取引所最大手のビットフィネックス(香港)でビットコインが盗難された際には、取引停止から価格が急落し、数時間で約2割、下落しました。その後、すぐに1割程度戻し、急落前の水準まで回復していますが、取引所のトラブルが何度もビットコイン価格に影響していることは否定できません。

その多くはインターネット上のホットウォレットからハッキングによって盗まれており、コールドウォレットの場合には内部犯行の疑いが強いとされています。取引所がセキュリティを高めなければならないのはもちろんですが、取引の際には、安心できる取引所を選ぶことも大切です。

また、海外では国としてビットコインを認めていないところもあります。ロシアは取引を禁止していますし、中国は金融機関での扱いを禁止した際にビットコイン価格が暴落しました。もしも仮想通貨が犯罪に使われ、それが発覚した場合などは、取引停止になる可能性が考えられます。

日本では改正資金決済法が施行されますが、その背景の1つに、マネーロンダリング対策やテロ対策、つまり、仮想通貨が犯罪に用いられるのを防止する、という狙いがあります。当社では口座開設の際、反社会性確認を行っていますが、そのようなチェックが必須になっていくのが理想です。アメリカやヨーロッパで政府が管轄することになっているのも、そういった理由からであり、今後、犯罪抑止効果は高まっていくと考えられます。

とはいえ、今後も一時的に取引が規制されて、ビットコイン価格に影響が及ぶ可能性がないとはいえません。株式でも業績悪化や信用の失墜などで株価が暴落したり、上場廃止になったりするリスクがあるように、ビットコインにもリスクがあることは念頭においてください。

Next: ビットコイン投資の未来はどう広がる?



ビットコイン投資の未来はどう広がる?

長期保有や分散投資の1つとしてビットコインを買う

中長期的にビットコインの価格が上昇するのであれば、少しずつ買って、中長期で保有するということも考えられます。実際、中長期で保有している人もいるようです。

預金のように金利が付くことはありませんが、一定の条件を満たすとボーナスとして金利が付く取引所もあります。また、海外では信用取引をする人にビットコインを貸すことで、1日0.05%程度の貸ビットコイン代が得られる取引所もあります。最近は日本でも一部、貸ビットコインができる取引所も出てきているようです。

資産運用においては、株式や債券、金、不動産(REIT)など、さまざまな資産に分散投資するのがセオリーですが、今後は、仮想通貨も投資先の1つに数えられる可能性があると思います。

分散投資がセオリーとされているのは、株式や債券、金、不動産などが異なる要因で値動きすると考えられているためです。あくまでも理論上の話ですが、景気が良くなる局面では株価が上がる一方、景気が過熱しないように中央銀行が金利を上げるため、債券価格が下がりやすくなる、といった傾向があります。

また1つひとつの国や、新興国と先進国では、値動きの大きさが異なります。分散投資をしておけば、どこかの、何かの資産が値下がりしても、別の資産がカバーして全体の値動きが抑えられるという効果が期待できるのです。

金は金融危機や政情不安が起きたときに買われることが多いのですが、国の経済政策に左右されないビットコインも、金と同様、有事に値上がりする、という性質があります。最近ではイギリスのEU離脱問題のときがそうでした。

今後、分散投資先の1つとしてビットコインを持とうと考える人も、増えていくでしょう。
(今回で本連載は終了となります。ご愛読いただきありがとうございました。)

記事提供:biblion

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