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「本部だけ儲かる」の嘘と本当。本音で語るフランチャイズ起業の真実=午堂登紀雄

フランチャイズビジネスは本部だけが儲かる仕組みなのか? 私の実体験も踏まえて、ゼロイチ起業との比較オススメ業界、その他注意点を考えてみます。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)

※本記事は有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2018年1月22日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

日本に「まともなフランチャイズ本部」は存在するのか?徹底解説

フランチャイズ起業は儲かるのか?

読者様からご質問をいただきました!ありがとうございます!内容はこちらです。

自分で考えたゼロイチの起業ではなく、フランチャイズ起業についていかが思われますか?

よくフランチャイズは本部が儲かるだけだや、本当に儲かるならなぜ直営ではないのか?(つまりフランチャイズは儲からない)のような論調があります。

ただ、本部によるノウハウ・集客・経営の教育、さらに時間を買うといった観点や、ゼロイチ起業よりミドルリスク・ミドルリターンな点から総合するといかがでしょうか?

また、おすすめの業界注意点がありましたら教えて頂けますか?

ミニストップでフランチャイズ社長を御指導してきたご経験からも、アドバイス頂けたら嬉しいです。

儲からないことはない。ただし本部は絶対に損しないシステム

そうです。私は17年前までコンビニのミニストップ本部で5年間勤務していました。

コンビニ1店舗出すのに、3,000万から5,000万円ほどかかります。それを自前で出店するには資金も時間もかかります。銀行から借りるのも限界がある。

しかしFC方式でオーナーを集めれば、短期間に店舗網を拡大できます。すると、仕入れのパワー、物流の効率化など、規模のメリットが大きくなるからです。

また、本部は東京だけれども、北海道や九州でもビジネスチャンスがある。しかしそこまで遠くまで手はかけられないという場合、FC方式なら広く店舗網を張り巡らせることができる

地元の土地勘や人脈があるのはやはり地元の人なので、そういう人に任せよう、など。たとえばトヨタ自動車の販売店なども、たいていその土地の地元の名士の企業が営んでいます。

なので、FC加盟社は儲からないということはありません。ただし本部は絶対に損しないようなビジネスモデルを作りますから、加盟店が儲からなくても、本部はそこそこ儲かるという構図があることは確かにそのとおりです。

かつては詐欺的な本部もあり、FC事業での直接的な詐欺ではありませんが、バルチックカレーは経営者が逮捕されましたね。ただ、さすがに最近は評判がネットで出回ってしまうため、こうした本部はあまり見られなくなっています。

つまり、本部は損しないとはいえ、加盟店が損をすれば撤退されますから、本部にメリットはなくなります。それに加盟店が儲かれば本部はもっと儲かるので、加盟店をぞんざいに扱うことは少ないでしょう。

業種業態によってはアリ

そこで結論から言うと、業種業態によってはアリです。

たとえば学習塾などは有名ブランドのフランチャイズのほうが強く、聞いたこともないようなFC塾では開業しても結局は自分でチラシをまくとか、苦労しそうです。しかしこれが「明光義塾」であれば、それだけでブランド力があり、信頼できる。「公文」という看板があれば、親も内容がわかり、安心できる。

実際、私の知人に広島で学習塾のFCに加盟し、5店舗以上に拡大して成功している社長がいます。彼はその後、教育の経験を活かし、フィリピンで語学学校も設立しています。私もその語学学校に通いました。

というふうに、FCで学んだノウハウを他の業態開発に活かせる、というメリットはあるようです。

スポーツジムのFCに加盟し2店舗を経営している知人は、「立地が重要であり、駅前の一等地を借りられたのは本部のおかげ」と言っていました。立地が決定打となる業態の場合、そんな物件情報を探したり交渉したりするノウハウを本部が持っている、というケースもあるようです。

また、別の知人はブランド品買取店のFCに加盟して奥様に運営を任せていますが、かなり儲かっていると言っていました。これなども、

というメリットがあるそうです。彼は2店舗目の出店を考えているそうです。

Next: 本部の「がんばり度」が重要/「サポート体制の充実」も良し悪し



本部の「がんばり度」が重要

目線として重要なのは、認知度向上のための広告宣伝投資や商品開発投資をどれだけしているかです。

「○○○(教育事業 ※有料メルマガ内で読めます)」などは、TVCMを積極的に打つなど、広告宣伝に力を入れています。

一方、フランチャイズオーナーの募集は積極的なのに、肝心の集客に力を入れていないFC
本部はたくさんあります。「サポート体制充実」と言いながら、集客が厳しいと「チラシをまきましょう」といって、そのチラシ作成代が本部の収益源になっているとか(もちろん、デザイナーを探して文面を考えデザインしてもらい、印刷業者を探して印刷してもらうという手間を省けるわけですが)。

定期的な研修制度あり」と言いながら、参加は実費とか。

商品開発という意味では、たとえば以前、車のキズを直すリペアの資料請求をしたことがありますが、リペア手法や使う溶剤・ペイントなど、ほぼ昔のままで進化が見られませんでした。外食の場合は、新メニューの開発頻度が少ない・技術革新が少ないなどのケースがあります。

「サポート体制の充実」も良し悪し

本部のサポート体制が充実していることをアピールするFCチェーンもあります。ただ、そのサポートの中身と有効性は調査しておく必要があります

たとえばコンビニの場合、SV(スーパーバイザー)が週に2回ほど店舗を訪問してサポートしますが、だいたい本部からの連絡事項の伝達とそのチェックがメイン。なので、コンビニオーナーはあれこれと指図されますから、独立心の強い人にとってはいちいち面倒かもしれません。

もちろんオペレーションの統一性や一貫性はチェーンとしてのブランドを維持するために必要なので、本部があれこれ言うのはやむをえないですが、これでは雇われ経営者的だなぁと感じたこともあります。しかし、コンビニは長期の休暇も取りづらく、その渦中で働いていた身としては、なかなかしんどいなぁという印象でした。

これは外食チェーンも同様で、外食は特に接客クレームなどが口コミ・ネットで広がりやすいし、食中毒でも起こせば一発アウト的なリスクがあるので、本部はうるさくチェックするほうがむしろ健全かもしれません。

また、オープンまではいろいろやってくれても、オープン後はめっきりサポートが減り、結局は自分で何とかしなければならないのが通常です。サポート体制の充実度というのは、実態はあまり役に立たないなぁというのが私の印象です。

Next: ゼロから自分でやることのメリットは?



ゼロから自分でやることのメリット

それと、収支シミュレーションは疑った方がよいと思います。初年度からなぜそんなに集客できるの? 売上が立つの? その根拠は? というものが結構あります。

フランチャイズの情報・比較サイトなどには、たくさんの事業が掲載されています。しかし、たとえばエステサロンやマッサージは、時間をかけて認知度が高まり固定客がついていく業態ですから、初年度からそんなに売上が立つのはおかしい、と感じます。私も以前、エステサロンをやって撤退したことがありますので…。

個人的には、ゼロから自分で試行錯誤しながらやったほうが起業の地力がつく、つまり成功の再現力が養われ、ほかの事業に参入するときもハードルなく取り組める。

私もすべて自前でやってきたからこそ、何に参入するにもまったく怖くないし、成否の
判断がある程度の確度でわかる。また外食など、初期投資が大きく手間もかかるものほど、自分でやったほうがよいと思います。

たとえば厨房設備や店内造作、調理器具などの相場感覚は、自分で合見積もりを取ったり実際に発注したりしないとわからない。これでは他の業態に転換あるいは進出するときに必要な経験が獲得しにくいのではないでしょうか。

もっとも、たとえば「○○○(飲食チェーン店 ※有料メルマガ内で読めます)」などのようにブランド力があり、「職人不要の調理システム」という独自のオートフライヤーを採用し、アルバイト店員でも品質が落ちないようにシステム化されているなど、個人では導入が難しいオペレーションノウハウが得られる、というチェーンもあります。

あるいは、そば店やカレー店は立地が最優先で、美味しくなくても場所さえ良ければそこそこはやります。好立地を押さえられるなら、FCでも個人経営でもどちらでもいい

ラーメンは味さえよければ客は探してでも来るので立地はさほど重要ではなくなり、FC
かどうかもあまり重視されないとか。

Next: フランチャイズのほうが有利な点は?



フランチャイズのほうが有利な点は?

フランチャイズのほうが有利とすれば、

という業種業態でしょうか。将来性や安定性という観点では、教育・介護・買取・ハウスクリーニングといった――

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image by: Takamex / Shutterstock.com

FCへの幻想と本当の活用法

自分向きなビジネスの探し方

初期投資を決断するためのポイント

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※本記事は有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2018年1月22日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。本稿で伏せ字となっているFC名もすぐ読めます

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午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』(2018年1月22日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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