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なぜ買い豚も売り豚も自滅するのか?「次の暴落」が怖くなくなる投資術=鈴木傾城

投資家に市場動向の予測はまったく必要ない。この暴落の原因は何なのか、いつ戻るのかなど一切気にせず「焼け太り」を目指せばいいだけだ。どういうことか?(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

※本記事は有料メルマガ『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』2018年2月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

Mr.マーケットに打ち勝つのは買い豚か、売り豚か、焼け太る豚か?

久々の「暴落」に狼狽するトレーダーたち

2018年1月16日に入ってから、まずはビットコインを含む仮想通貨市場が暴落していった。

この仮想通貨の暴落は2月に入っても続いており、昨年12月には1BTC200万円を超えていたビットコインは60万円台に転がり落ちて半分どころか3分の1程度になってしまっている。

このビットコインの暴落で、2017年の11月以後に市場に参入した人たちの多くは大損失を出して資産を吹き飛ばしており、中でも仮想通貨にレバレッジをかけてやっていた人たちが軒並み破綻している。

こうした中で、今度は株式市場全体が揺らぎ出して日経平均もニューヨーク証券取引所も一気に暴落するという事態に見舞われた。アメリカの株式市場はここのところ調整らしい調整はほとんどなかったので、今回の調整は非常に劇的なものだった。

そんな中で、人々は動揺して蒼白になって持ち株を手放している。上がった下がったと相場だけを見て売買している投機家にとって、暴落というのは生きるか死ぬかの瀬戸際である。

しかし、「優良企業を安い時に買ってずっと保持する」というスタンスを持っている投資家にとって、暴落はそれほど大きなイベントではない。人々が阿鼻叫喚の地獄に落ちている中で、とても平穏だ。

「焼け太り」する可能性が高い投資方法がある?

長期投資家は優良企業を厳選して買う。長期投資家は株式を長く保有し続けることに意義があるので、ショート(空売り)をしない。

また長期保有を貫徹するために、レバレッジをかけることもない。そして、株数を極大化させるために基本的には配当再投資をする。

つまり、長期投資家は次の5点を心がけている

  1. 優良企業を厳選する
  2. 手持ちの余剰資金で買う
  3. 空売りをしない
  4. レバレッジをかけない
  5. 配当再投資で株数を増やす

これらの点をきちんと押さえて堅実な投資をしていれば、市場の極度な変動によって資産を喪失することは「ほとんどない」ということに気付くはずだ。

むしろ、市場が暴落しても配当再投資で買い続けることによって「焼け太り」する可能性が高い。安い時に買っているのだから当然だ。

もちろん、株式市場が暴落したら保有資産の評価額が一緒に暴落するのは間違いないのだが、どのみち売らないで増やしていくのだから、特に評価額の増減は大したことではない。

それよりも、安い時には大量に買えるので株式数が増え、さらに配当率も高いというオマケも付き、株式市場の安定や企業自体の成長によっていずれは株価上昇の恩恵も受けられるので、二重にも三重にも得することになる。

つまり興味深いことに、長期投資家にとって暴落は「得する」イベントなのである。

Next: 市場動向を「予測」する投資家から先に死んでいく



暴落をただ待っていればいいのか?

そうであれば、暴落の時だけ売買すればいいのではないかという話にもなるのだが、世の中はそう簡単にコトは運ばない。なぜなら、いつ暴落するのか誰も分からないからである。

実際、ニューヨーク株式市場は、リーマンショックの傷が癒えたのが2012年で、以後は調整らしい調整もなく6年も上がり続けていた。そのため、毎年のように「今年は暴落する」と言われていたのだが暴落しなかった。

暴落を待っていた投資家は機会損失で何も得られなかった。

だから、暴落の時に大量に買うのがいいという理屈は成り立っても、実際には「ほどほどの価格で手に入れる」くらいが現実的な対応となる。

市場動向は単なる暇つぶし、予測はしなくてもいい

長期投資家は、相場がいつ暴落するのか、暴落の原因が何なのか、いつ戻るのか、そんなことはまるっきり気にしなくても問題ない。

なぜなら、利ざやを稼いでいるわけではないからだ。

優良企業がきちんと利益を上げている限り、株価はいずれは上昇するし配当は増配される。短期的な市場動向は暇つぶしにはなるが、あくまでも暇つぶしであって資産運営に影響を与えるものにはならない。

また長期投資家は、相場が上がるのか下がるのか、それを予測する必要すらもない

短期トレーダーにとって予測の当たり外れは資産の増減に直結しているが、優良企業の株式を長く保有する人間にとってはそうではない。予測はしたければしてもいいが、したから何が変わるわけでもない

Next: FRBも北朝鮮も長期金利も、そんなことは全てどうでもいい



重要なのは「企業が利益を出しているかどうか」だけ

重要なのは企業が利益を出しているかどうかであり、FBRが何を言おうが中東がどうなろうが北朝鮮が何をしようが、そんなことはまったく関係がないのである。

長期金利が上がった、失業率が上がった、相場が暴落した、中東で戦争が始まった、どこかのならず者国家が何かした……としても、それで人々の生活が変わるわけではないことに気付かなければならない。

2018年2月の株式市場の崩落はアメリカの長期金利の上昇が原因だと推測されているが、長期金利が上がったらスターバックスのコーヒーを飲むのをやめたり、マクドナルドを食べるのをやめたり、グーグルで検索しなくなるのだろうか。

あるいは、失業率が上がったら車に乗るのをやめ、銀行に行くのをやめ、保険を解約したりするだろうか。中東で戦争が始まったらアルコールを飲むのをやめ、タバコを吸うのをやめ、ディズニーの映画を観るのをやめるだろうか。

ならず者国家が何かしたら、私たちは薬を買うのをやめ、シャンプーを使うのをやめ、買い物をやめるのだろうか。

そんなことは、考えられない。

人々が今の生活パターンを変えないというのであれば、スターバックスもマクドナルドもグーグルも、銀行も保険もタバコ会社もアルコール会社もディズニーも製薬会社も、成長の余地があるということなのである。

将来価値よりも安いと思えばどこで買ってもいい?

市場が暴落したところで、最も叩き売られた優良企業の株式を丹念に拾っていけば「いずれ良いことはある」という理屈は誰でも分かっている。

ところが、分かっていても普通は動けない。

人々にそれができないのは理由がある。それは「どこまで下がるのかまったく分からない」からである。チャートは何の役にも立たない。未来がどうなのかを何も示していない。どこが底なのかも示していない。

まわりは阿鼻叫喚で正気を失っている。普段は偉そうにあれこれ解説しているアナリストも急に自信を喪失して「今は買い時ではない」と言い始める。トレーダーは蒼白になって資産を投げ売りしている。絶望した人たちが、突如として終末論に目覚めたりする。

底が見えないというのは、人々の猜疑心と不安感を極限まで刺激するので、相場は往々にして「想定以上」に落ちていくことが多い。相場は常に上にも下にも行き過ぎるのである。

だから、「安くなった」と思って買ったら、もっと下がっていくのが暴落時の光景だ。

昔の相場師は「落ちるナイフをつかむな」と表現した。「下がっていると思って買うのは落ちるナイフをつかむのと同様で大怪我をする」と言っているのだ。

実際、暴落時は買っても買っても落ちていくことが多い。だから、「どこが底なのか?」を見極めたいと思って人々は暴落時には「買えない」のだ。

しかし、優良企業の株式の保有数を極大化させたいと思っているのであれば、別に相場の「底」がどこかなど特に見極める必要はなく、その企業の将来価値よりも安いと思えばどこで買っても構わない

Next: 株はたいてい「今が買い時」暴落など怖くない



「底で買えない」のは想定内。安い時に買っておこう

相場は読めないし、そうである以上は「底で買えない」のは想定内なのだから、底で買うという不可能を求めるよりも、安い時に買っておくという現実を優先すべきである。

「優良企業を厳選」して「手持ちの余剰資金で買う」ということを守り、空売りをせず、レバレッジもかけず、配当再投資で株数を増やしていく投資家にとって、暴落は別に恐怖することでも何でもない。資本主義が崩壊しない限りはダメージを受けることもない。

常識と節度があれば、ダメージはない。

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2017年

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2016年

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・トランプ政治で暴落が来たら落ちるナイフを思いきりつかめ(11/13)
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鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』(2018年2月6日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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