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コインチェックは序章か? ハッカーによる「仮想通貨お持ち帰り」の実態=今市太郎

国内大手の仮想通貨取引所「コインチェック」で、顧客の預かり資産約600億円分のXEMが不正に引き出されたことが報じられている。ハッキング被害の可能性が囁かれているが、原因や詳細は調査中。有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』によれば、取引所などを狙ったサイバー犯罪は今後も増加する可能性が高いという。

仮想通貨最大の成長ビジネスはハッキング?洒落にならぬ盗難額

ICO、調達資金の10%以上が盗難被害に

FX投資家にとって「隣の芝生」状態が続いてきた仮想通貨ICO(Initial Coin Offering = 新規仮想通貨公開)の領域ですが、実際のところは仰天の状況が展開されているようで、投資家として簡単に参入すべきかどうかは相当よく考えなくてはなりません。その1つが、仮想通貨やICOに対するハッキング問題です。

アーンスト・アンド・ヤング社が発表したICOに関する調査によると、なんとICOで調達された資金のうち実に10%以上が紛失か盗難に遭っているというのです。

372社のICOを調査した結果、37億ドルの資金のうち4億ドル(440億円強)が盗まれているということで、すでに「ICOハッキング市場」は、ちょっとした産業と言えるレベルにまで成長していることになります。

だいたい「盗難」や「紛失」という言葉づかいがそもそも曖昧なのであって、これを要するに「何だかわからないうちにお金がなくなりました」というのが正直なところでしょう。

これらはすべて、外部のハッカーから攻撃を受けたことによる被害とのことです。従前より、ブロックチェーン技術の安全性だけが強調されてきた仮想通貨ですが、その一方で、取引所やトークン発行元のセキュリティ問題は想像を絶する危険なレベルを示現していることを改めて認識しなければならないでしょう。

このレポートによれば、ハッカーは月間150万ドル以上のハッキングによる盗みを働いており、サイバー犯罪が常態化していることがわかります。

脆弱すぎるプラットフォーム、セキュリティ投資進まず

紺屋の白袴のような話(編注:他人のことに忙しく、自分のことに手が回らない状態)ですが、ICOでトークンなり新規の仮想通貨を発行・上場していく過程で十分な安全設計がなされていないこと、セキュリティ投資が満足に進んでいない中で安易な資金調達だけがなされていることが、この問題の根幹にあると言えます。

仮想通貨というと、一定以上のテクノロジーによってセキュアに守られている印象がありますが、その実態はとんでもない状態になっていることが垣間見えてきます。

ここに来て、こうしたリスクを反映してICOの案件数も減少しているようですが、レベルの低いホワイトペーパーだけを斜め読みして投資を決断することだけは、くれぐれもやめることをお勧めします。

Next: 今の仮想通貨やICOに、まともなリターンを期待するのは無理がある

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