ただお金を使わないだけでは、節約したことにはなりません。夫婦で一緒に取り組む「家計の節約」とは、具体的にどんなことをすればよいのでしょうか。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)
プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。
底値探しは非効率。家計を破綻させないために今すぐできること
お金を使わなければ節約か
節約とは、無駄使いをしないこと。そう思っている人もいれば、もっとお金の使い方の根本的なことじゃないの? と思っている人もいるでしょう。
結論から申しますと、私が考えている節約とは、「お金を使うのであれば、効率的にお金を使う」ということです。それができなかった時は、無駄にお金を使ってしまった、ということになるのです。
従って、「お金を使わなかったからといって、節約したとは言わない」ということです。
効率的なお金の使い方とは?
お金を使うのであれば、後悔をしないようにお金を使うことが重要です。
読者の皆さんも経験があると思いますが、もし、スーパーでソースを買おうとした時、同じ品物を、
- Aスーパー:270円
- Bスーパー:280円
で売っていたとします。
Cさんはソースが切れて、280円のBスーパーで買ったとします。
あとで、Aスーパーで同じソースが270円で売っていることを知った時、Cさんは、どのように思うでしょう?
何とも思わないかもしれませんが、お話を続けるため、Cさんは、支出に敏感に反応する人だとします。
Cさんは、次のように思うかもしれません。
- 単に10円分損した
- 自宅からはBスーパーの方が近いので仕方がない
- 今後は広告などをよく見てから買い物をしよう
しかし、毎日の買い物では、ソース以外にも買いたいものがあることがほとんどです。
例えば、10kgのお米が、
- Aスーパーでは5,000円
- Bスーパーでは特売で3,800円
で売っていたとします。
この場合、Bスーパーでお米を買って、同時にソース(Aスーパーよりも10円高い)を買った方が効率的です。つまり、Bスーパーでお米、Aスーパーでソースと別々に買うことは、節約にはならないと私は考えています。
ここまでは、単価的にも少額なお話をいたしました。ここからは、家計全体を効率的に考えるお話をいたします。
Next: 家計全体で見た「効率的な節約」とは?
夫婦で取り組む「家計の節約」
例えば、夫婦でそれぞれ収入があり、家計の支出について、双方の収入から必要な分だけを出しあっている場合。その支出額は、年間では数十万円から、数百万円になる家庭もあるでしょう。
お互いに現役中であれば、今のまま2つの財布でやりくりをしてもいいかもしれません。
夫が、Aスーパーでソースを買う。
妻が、Bスーパーでお米を買う。
という方法もありえるということです。
しかし、この夫婦が老後の生活に入り、主に収入が年金と今までの蓄えのみでの生活に入った場合。今まで通りに別々の財布を持つことは困難になり、1つの財布を持つことになるでしょう。
「財布の同居生活」が始まるわけです。長年連れ添ってきた夫婦でも、ここにきて、始めてお互いのお金の使い方、つまり金銭感覚を知ることもあるのです。
すでに、人格のできあがった初老の夫婦が、ご自身と相手のお金に対する、具体的なお金の使い方が違っていても、相手のお金に対する考え方を変える、または自身のお金に対する考え方を変えるというのは、ともに大変むずかしいことです。
破綻しないために大切なこと
考え方を変えることが、100%とは言わずある程度でも成功すればよいのですが、不幸にも失敗をすれば、お金とともに、今までの生活も破綻しかねません。
すでにお気づきだと思います。破綻しないためには、現役のうちから、夫婦で、お金に関する感覚を共有することが大切なのです。
ソースとお米を買うのに、
- Aスーパーだけで買う
- Bスーパーだけで買う
- AスーパーとBスーパーを回る
世間が何と言おうが、夫婦で決めて、夫婦が同じような行動をすればいいのです。
そして、一番重要なことは、現役中から、家計の財布は1つにすることです。これが、家計の節約のために、必ずしておくことです。
『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2018年1月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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