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プロの意見「個人年金には入るな」を疑え! あなたの有力な運用手段になり得る=午堂登紀雄

時折「個人年金には入るな」「保険は安い掛け捨てで十分」という論調を目にします。運用面で魅力がないことが理由のようですが、私はある側面からオススメです。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)

※本記事は有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2018年4月23日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

思考停止は禁物。最小の支出で「最大のメリット」を得る方法とは

お金のプロは「個人年金はやめておけ」と言うが…

時折、「個人年金なんかに入ってはいけない」「保険は安い掛け捨てのもので十分」という論調を目にすることがあります。理由は運用面でまったく魅力がないからということです。

それを言っているのはFPや経済ジャーナリストなど、お金や運用に詳しいであろう人だったりします。

しかし、私はもうひとつの側面からオススメだと考えています。

ずいぶん前に同じことを書いたような記憶もあるのですが、運用利回りだけで考えれば年利1%あるかないかという程度で確かに魅力はなくても、保険の「節税機能」を考慮すれば、安定した利回り商品になるからです。

なので「いけない」という人は、なぜこの点を無視しているのか、私にもよくわかりません。

「節税効果」を無視できない

ご存知の方も多いと思いますが、保険に加入すると保険料控除が受けられ、所得税と住民税が削減されます。

正確には、平成24年1月1日以後に締結した保険契約については新制度が適用され、それ以前に契約したものは旧制度での申告となり計算が異なります。

新制度では、一般生命保険、介護医療保険、個人年金の3区分があり、それぞれに年間8万円以上の保険料の払い込みで、最大で下記の所得控除(所得税の所得控除、住民税の所得控除)が受けられます。

・一般生命保険料控除(所得税4万・住民税2.8万)
・介護医療保険料控除(所得税4万・住民税2.8万)
・個人年金険料控除(所得税4万・住民税2.8万)

つまり、年間の払込保険料が合計24万円以上で所得税で最大12万円、住民税で最大7万円(住民税は3種類合わせても上限7万円)の所得控除が受けられます。

年収500万円~600万円で、家庭がある一般的な会社員の場合、所得税率はおおよそ10%、住民税は一律10%なので、節税できる(サラリーマンの場合は年末調整で還付される)金額は、

・所得税:120,000円×10% = 12,000円
・住民税:70,000円×10% = 7,000円

となり、合わせて最大19,000円の節約ができる計算になります(所得税率は他の収入や家族構成によっても変わります。復興特別税もここでは無視しています)。

Next: 返戻率120%超え! 最小の支出で「最大の控除」を受けるには?



最小の支出で「最大の控除」を受ける

これらを掛け捨てではなく、満期返戻金がある貯蓄型のタイプで、返戻率(払い込んだ保険料に対し、満期や中途解約で戻ってくる金額)が高い保険に加入することが有効です。

例えば私が加入している生命保険は、60歳まで払い込んで65歳で受給すれば、返戻率が110%を超えます。個人年金は65歳以降の受給で120%超です。

ただし、各々年間8万円以上を払い込んでも税制上のメリットは小さくなる一方です。

ですので、年間の保険料支払額が各々8万円を超えるギリギリの金額で加入すれば(月々7,000円程度)、最小の支出で最大の控除を受けることができます。

保険料をクレジットカード払いにすればポイントも

さらに、これらの保険料はクレジットカードで支払うことができるものが多いですから、カードのポイントもつきます。

私自身も生命保険を月9,000円、医療保険7,000円、個人年金1万円で年間312,000円の保険料をカードで払い込んでいます。

ポイント還元率は1%なので、仮に所得税率10%とすると、7%の利回りということになります。

個人年金・保険がまずまずの高利回り商品になる

こうして最大控除の最小金額で加入すれば、まずまずの高利回り商品となり、これが保険料を払い込んでいる期間ずっと続きます。

低金利の今、これほどの利回りが取れる商品はなかなかないですし、仮に金利が上昇したとしても、定期預金などで7%を超える利息がつく可能性は現実には考えにくいでしょう。

それに、節税による利回り効果は景気変動の影響を受けず、株価や為替レートがどうなろうと変わりません。さらに本人の努力や才能も運も一切関係なく、一律に恩恵にあずかれます。

もちろん個人年金・保険が向かない人もいる

ただし、自分が必要とする保障内容を得るには、貯蓄型保険では保険料が高すぎて払えないとか、貯蓄で代替できるほどの経済的余裕はなく、将来解約せざるを得ない状況に陥るかもしれないと思っている人には向かない方法です。途中解約は元本割れになりますから。

そしてもちろん、毎年7%以上で安定運用できる手段を持っている人には「個人年金なんかに入ってはいけない」「保険は安価な掛け捨てで十分」という指摘は正しいということになります。

Next: 確定拠出年金(iDeCo)はさらに高利回り



確定拠出年金(iDeCo)はさらに高利回り

ちなみに以前も書いたことですが、iDeCo(イデコ)と呼ばれる個人型確定拠出年金は、これら民間保険のような上限がなく、掛け金全額が所得控除となりますから、もっと利回りがアップします。

例えば、所得税率10%の人は住民税と合わせて20%の節税効果となり(住民税の計算はもう少し複雑なのですが、単純計算で)、しかも60歳まで引き出せませんから、老後資金が強制的に貯められます。

定期預金といった元本確保型の商品で運用すれば元本が目減りするリスクもなく、受け取るときは一時金方式なら「退職所得控除」、年金方式なら「公的年金等控除」の適用を受けることができるなど優遇されており、弱点はどこにもありません。

サラリーマン以外にも有効

自営業者企業経営者の場合は、経営者の退職金制度である小規模企業共済が利用でき、確定拠出年金と同じく掛け金全額が所得控除となります。

また、倒産防止共済にも加入可能で、これは掛け金全額が損金扱い(経費として落とせる)です。

小規模企業共済は最大7万円/月まで、倒産防止共済は最大20万円/月までで、総額が800万円になるまで払い込みが可能です。

いずれも運用利回りはゼロに等しく解約時には収入として課税対象になりますが、ほぼ掛け金全額が戻ってきます。

自分に合った資産運用がある

このように、目先の利回りだけでなく節税効果と合わせて検討すれば、個人年金など確定給付型の保険商品は、運用手段として有力な選択肢になることがわかります。

つまり「専門家の言うことは正しい」「みなに当てはまる」とは限らないので、安易に迎合したり短絡的に反発したりするのではなく、「本当かな?」とつねに疑い、自分でウラを取る習慣が大切です。

【関連】「団地の子と遊んじゃダメ」と我が子を教育する親が見逃していること=午堂登紀雄


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午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』(2018年4月23日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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